2018年5月20日日曜日

日本のロケット工学の教科書・専門書 まとめ

日本のロケット工学の教科書・専門書 まとめ

小学生~社会人まで、全てに対応したロケット工学の教科書・専門書 完全ガイド






更新日:2018年  5月20日
    2018年  8月11日
    2019年  8月13日
    2021年12月  3日
    2023年  6月18日
    2024年  3月17日


2018年時点で、日本語で読めるロケット工学関連の教科書・専門書をまとめてみた。
適宜、更新を行っていく予定である。

名著であるサットン著のロケット推進工学(翻訳版)2018年に同人誌としてで復刊しました)や木村逸郎氏著のロケット工学等2018年にオンデマンドで復活しました)が、禁書にでも指定されているのかと疑いたくなるぐらい、次々と絶版になっている事実より、日本には航空宇宙工学分野は、相当に需要が無いと見える。しかし、過去から現在に至るまで、まとめてみると、それなりに冊数はある。ないね。ないわ。


衛星方面には詳しくないので、誰かまとめてくれると嬉しい。あと関係ないですが、原子力工学の教科書・専門書とか、航空工学の教科書・専門書等まとめると、需要あると思いますよ!


  1. 「ロケット工学」の解説書を紹介する(人工衛星は対象外)
  2. 小説や動向調査的な書籍は除く
  3. 絶版の書籍についても、紹介する


なお、オススメのロケット工学教科書については、以下を参照

 ◆ロケットエンジン工学の教科書 オススメベスト6
  http://orbitseals.blogspot.jp/2018/05/rocketbooks.html


自作ロケットやロケット開発を題材にした物語のまとめは、以下を参照

 ◆自作ロケット、ロケット開発を題材にした漫画・アニメ・小説,
  DIY rocket or rocket development Manga, Animation and Novel in Japan
  http://orbitseals.blogspot.jp/2018/05/rocket-manga-anime-novel.html







◆入門書 ―――――――――――――――――――――


数式等を追わなくて良い、導入として最適な本を紹介する。


◎トコトンやさしい宇宙ロケットの本, 的川泰宣, 2002年



宇宙工学関係の研究者・教育者の的川先生の本。ロケットの基礎知識と理論をトピックス形式で紹介している。中学生、高校生~社会人まで、入門書として幅広くお勧め出来る1冊。日刊工業新聞の「トコトンやさしい」シリーズは、多くの技術的話題を平易な言葉で解説しているので、他の本もお勧めです。



◎トコトンやさしいミサイルの本, 久保田浪之介, 2004年



上記と同じシリーズで、ミサイル関係の入門書。著者は、防衛庁のミサイル研究者。「ロケット燃焼工学(1995)」の執筆者でもある。宇宙ロケットの始祖は、第2次大戦中ドイツで開発されたV-2弾道ミサイルなので関連本として掲示。ロケット工学関係の部分を読むと良い。表紙は可愛いが、「撃破する」等の文言があり、内容はエグい。



◎はじめての宇宙工学, 鈴木弘一著, 2007年



著者は、石川島播磨重工業株式会社で、ロケット開発に従事。その後、大学教授となり、専門書(「ロケットエンジン」下記参照)も書いている。辞書的にトピックスを追っていく入門書である。ロケットの基礎~宇宙ステーションまで話題が書かれている。


◎超図解でよくわかる! 現代のミサイル, 鍛冶俊樹, 2013年


ミサイル関係の解説書。宇宙ロケット関連として、弾道ミサイルの部分を参照。イラスト、解説の語句、近年出た本の中では、国際情勢等を交えて、技術内容についても極めて分かりやすく解説している。中学生、高校生~社会人まで、入門書として幅広くお勧め出来る1冊。







◆初級専門書・教科書 ――――――――――――――――



◎宇宙ロケット工学入門, 宮澤政文著, 2016年




最近出た教科書で、入門書として勧めるならこれ。ロケットの知識を、数式をあまり使わずに平たく解説している。高校生レベルの物理と数学の知識があれば読めると思われる。




◎ロケットエンジン概論, 桑原卓雄著, 2009年





日本大学教授の桑原先生の本。著者は、日産自動車でロケット開発に従事した経歴を持つ。内容は、他の先行して出版された専門書からの引用しているためか、被っている情報も多い。大学生のための教科書として執筆したため、税込1944円と、この手の教科書・専門書としては、かなり安い部類である。数式を交えた入門書としてとっかかりやすい一冊である。




◎宇宙システム入門―ロケット・人工衛星の運動, 冨田信之, 2011年(1993年)







他の本の執筆でも活躍している、冨田先生の本。個性的な内容ではなかったと記憶している。ざっくり、全体の宇宙システムについて解説している本。1993年の第1版と、2011年の第2版(オンデマンド)が存在する。





◎アマチュア・ロケッティアのための手作りロケット完全マニュアル, 2007年, 2000年



日本モデルロケット協会監修の一冊。2000年初版(表紙灰色赤字)2007年の改訂版。モデルロケットを主軸に置いているが、ホビーである「モデルロケットの打上げ」を交えて、ロケットの基礎物理、ロケットシステム工学を学ぶことが出来る。用語集、法令、モデルロケットの設計手法、翼・パラシュート設計、数値計算、モデルロケット打上げノウハウ等、小中高大学生まで、幅広い読者が長く読める本である。子供をロケットサイエンティストにさせたいなら、オススメの一冊。絶版ではあるが、中古市場で割と出回っていて手に入れやすいので、ここに掲示しておく。今後品薄になるのではないか、と思われる。






◆中級専門書・教科書 ――――――――――――――――



◎Aerospace Engine Review Vol.7 OKB-2 Scud Engines, 推進器研究会, 2015年



ロケット本マイスターの私(Orbit Seals管理人)が、執筆時間300時間をかけて世に送り出した1冊。巷では、「スカッド本」なる名称でささやかれている青い本。冷戦後に流失したロシアのスカッドミサイルのロケットエンジン図面を基に開発史から、具体的に実際の部品系統等全て解説した、具体的なロケットエンジンのシステム統合教科書。エンジンを中心に、ロケット構成要素との関連を具体的に解説している。情報量が多すぎて、1ページ読むのに相当に時間がかかるのが難点。部品構造単位で、どう機能しているのか具体的な情報を満載しており、博物館に展示されているロケットエンジンの配管や部品を追っかける際の基礎知識の全てが詰まっている。日本のDIYロケッティアに、ここ10年で最も衝撃を与える1冊です(2005-2015)。 まだ絶版にはなっていない模様内容は、こちら




◎ミッション解析と軌道設計の基礎開発, 半揚稔雄 著, 2014年



筆者は、防衛大学校、東京大学宇宙航空研究所および改組後の文部省宇宙科学研究所などで、惑星間飛行の軌道設計に関する研究を手掛ける。この装丁で、この値段はお買い得な部類と思われる。ロケット工学に関する記述もあるが、大半は、数式大目で衛星の軌道投入関連に関して書き連ねている。軌道設計関係の本で、途中式大目で式展開してくれている。衛星関係は、この記事では扱っていないが、ロケット工学に関する記述があるため、ラインナップに入れておく。



◎ロケットターボポンプの研究・開発―35年間の思い出, 上條謙二郎 著, 2013年




航空宇宙技術研究所(NAL, 現 JAXA)の推進研究部長も務め、ロケットエンジンのターボポンプ開発を専門としていた著者の書籍。H-IIに搭載されたLE-7ロケットエンジン、H-IIAのターボポンプに至る、日本のロケットエンジン用ポンプ開発の歴史と技術解説が綴られている。


◎イオンエンジンによる動力航行,  國中均他 著, 2006年



著者らは、探査機はやぶさのプロジェクトチームメンバーや、はやぶさ2のプロマネであり、イオンエンジンの研究者である。イオンエンジンの動力航行に関する、日本語で書かれた市販されている唯一の専門書。電気推進ロケット入門がエンジンを主体に書かれているのに対して、こちらは書籍の半分を割いてイオンエンジンの動力航行について書かれている。もう半分は、イオンエンジンの基礎知識の紹介である。




◎ロケットエンジン, 鈴木 弘一著, 2004年



著者は、入門書~中級編としてオススメ。ロケットエンジンに関する一通りの知識と数式が書かれている。(実際に、大学で使用されているのだろうか?)実際にドリル形式で計算問題が出題されているので、独学等でとっかかりの良い教科書として良書である。気軽に入手できる事もポイントが高い。他の本が、絶版につぐ絶版を経ている中で、15年近く経っても生き残っているツワモノ。話しは変わるが、著者が書いた、小説「ロケットが来た」もオススメである。



◎MATLABによる誘導制御系の設計, 江口 弘文, 2004年




MATLABを使用した、飛翔体の誘導制御について書かれた本。「飛翔体」と書いているので、ロケット?と思いきや、大気中を飛行する戦術ミサイルの発射から会合制御、着弾までのシミュレーションについて扱っている。著者は、防衛庁でミサイル研究を行っていた九州共立大学の教授。ロケットかな?と思って購入したが、内容はちょっと分かりにくかった。



◎電気推進ロケット入門, 栗木恭一他 著, 2003年


日本で、電気推進ロケット、イオンエンジンについて学びたいなら、この一冊。ISASの國中先生の恩師である、栗木先生が執筆している。計算式等を交えて、各種イオンエンジンの解説がなされている。電気推進「エンジン」について学びたいなら、本書籍をお勧めする。





◎ロケット工学 (宇宙工学シリーズ 2), 柴藤羊二他 著, 2001年





元宇宙開発事業団理事の柴藤先生の書籍。2001年6月出版。半年後に出た、ロケット工学基礎講義, 冨田信之他 著は、2001年11月に出版された。同じ出版社(オーム社)から同時期に、ロケット工学に関する書籍を2冊出している。このスピードでどんどん出してくれれば、嬉しいのだが・・・企画が被ったのだろうか?内容としては、一部図等も同じだったりと、冨田先生の互換書籍と言えるので、下記をお勧めする。




◎ロケット工学基礎講義, 冨田信之他 著, 2001年



三菱重工勤務後、武蔵工業大学教授として勤務した冨田先生等が書いた書籍(共著)。著者らは、三菱重工宇宙ロケット部門の元関係者である。大学生向けの教科書として書かれている。一通りのロケットシステム、それに関する数式等が記述されている。もっと書きたいことがあったと見受けられるが、ページ数の制約の中で絞って書かれている印象を受ける。H-IIやLE-7等、日本のロケットを図例として挙げている。





ロケット推進工学, George P. Sutton 著, 1995年



原題「Rocket Propulsion Elements」ロケット工学のバイブル的存在。言わずと知れた名著。Rocketdyne社元社員のサットン先生が、戦後のロケット開発において、自分の知識を取りまとめた一冊。この一冊で、ロケットエンジンの知識の大半を網羅しており、数式も追える。全世界で使用されている標準教科書。英語版の最新版は、9th Edition。Kindleでも入手可能。糸川英夫先生の下でロケットを開発した秋葉鐐二郎先生も、最初はこの教科書だった模様。改定を続けて、世界中でで読まれている。 日本語版は絶版。「ロケット推進工学」という名前で、1995年9月に山海堂から翻訳版が出版されていたが、出版社が倒産し、絶版状態。ヤードポンド法を単位換算してくれてたのに...

追記情報(2018年8月11日):同人誌として復刊したとのこと。
風虎通信さんから復刊。以下のサイトで8/12から扱うそうです。
https://shop.comiczin.jp/products/list.php?category_id=2376 

 

電子版のみを販売中 
https://bookwalker.jp/de815293b5-8d91-4e4a-9499-d7074d5945d1/



◎ロケットシステム(復刊), 田辺英二著, 2024年



三菱重工で、宇宙ロケット開発に関わっていた技術者の田辺氏が書いた、ロケットシステムの本。分かりやすく全般を説明しており、見やすく記述されている。三菱重工退職後、大学での講義資料をそのまままとめた1冊。




◆上級専門書・教科書 ――――――――――――――――


未知のエリアへー

◎スロッシング - 液面揺動とタンクの振動, 小松敬治 著, 2015年


液体燃料ロケットを宇宙空間に打ち上げる際に、参考となる教科書。加振による液体の揺動現象(スロッシング現象)について解説した、世界初の専門的教科書である。自由表面をもつ液体の振動理論から、数値計算法やタンクとの連成解析まで、各種基礎理論の導出とその実応用を例題を交えながら体系的に説明している。




◎液体ロケットの構造システム設計, 幸節雄二 著, 2013年, 改訂版 2023年



著者は、三菱重工にてN-IロケットからH-IIロケットまで開発に携わっている。ロケット工学基礎講義(2001)の共著者でもある。本書籍は、九州大学修士課程の航空宇宙工学の講義で使用した資料を加筆修正したもの。液体燃料ロケットの構造力学、飛行について内容を全振りしている。


◎構造振動学の基礎, 幸節雄二 著, 2010年


著者は、三菱重工にてN-IロケットからH-IIロケットまで開発に携わっている。「液体ロケットの構造システム設計」と同じ著者。サターンVロケットの振動特性を理論を体系的に説明。式の導出まで詳しく記載されている。


◎航空宇宙工学便覧, 日本航空宇宙学会, 2005年


      

最新版は、第3版。日本語で書かれた航空宇宙工学に関する最高価格の書籍。めちゃ高い。航空宇宙工学の辞書的な書籍。詳細に書いてあると言うよりは、幅広く書いてある印象。前の版の型落ちは、割と安めに出回っているので、そちらを買って気を紛らわすというのも有りかもしれない。



◎ロケット工学, 木村 逸郎著, 1994年





602pに及ぶ大著。これ一冊で、ロケットエンジンの設計が可能なレベル。日本語で書かれた、ロケット教科書の最高峰。(実際にW大は、これによって自作ロケットエンジンを設計した模様)。ロケット設計用の具体的な数式に力を全振りている。長らく絶版であったが、オンデマンド印刷で復活。日本で入手できる、最高峰のロケット工学専門書である。

復刊の経緯については、以下を参照。 
木村逸郎先生のロケット工学(養賢堂)が復刊したよ!(オンデマンドで)  
http://orbitseals.blogspot.jp/2018/04/kimura-rocket.html


◎宇宙の溶接, B.E. パトン, V.F. ラプチンスキー, 黄地 尚義 訳, 2000年




これは、ロケット工学と言えるのか分からないが、広義の宇宙開発書籍として紹介。元はロシア語の書籍を訳したもの。宇宙ステーション建設における宇宙空間での溶接作業について書かれた、おそらく日本語で読める唯一の書籍。真空である宇宙空間で溶接を行うというニッチな技術分野について書かれている。




◆絶版書籍 ―――――――――――――――――――――


◎宇宙飛行体の熱力学, 久保田弘敏他 著, 2002年



スペースシャトルやスペースプレーンを想定して書かれた専門書。著者は、東大の教授等を務めている。大気圏再突入における物理現象及びその防護手法や実験方法について書かれている。再突入技術に関する日本語書籍数える程であり、その内の1冊である。 






◎宇宙工学概論, 小林繁夫著, 宇宙開発事業団監修, 2001年



宇宙開発事業団監修の書籍。著者は、東大、東京理科大学の元教授である。書籍の半分が、ロケット工学について割かれている。基礎的な数式等がざっくり、短くまとめられている。



◎ロケットシステム, 田辺英二著, 1999年



三菱重工で、宇宙ロケット開発に関わっていた技術者の田辺氏が書いた、ロケットシステムの本。分かりやすく全般を説明しており、見やすく記述されている。三菱重工退職後、大学での講義資料をそのまままとめた1冊。加えて、後書きが、個性的な1冊でもある。分厚い本だが、定価は2000円と破格。しかし、自費出版のため絶版・入手不可。そもそも市場に流れたかが怪しく、ISBNは付いていない。 

 
2019年8月に再版された様です。以下で購入が可能です。 上記は新旧比較。また、上記に紹介する様に、ISBN付で復刊。
https://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=39825


 

 
   


◎ロケット燃焼工学, 久保田波之介著, 1995年



防衛庁のミサイル用ロケットモータの研究者が書いた本。そのため、固体燃料ロケットモータの専門書であり、特化している。著者の論文は、サットンの最新の「Rocket Propulsion Elements」固体ロケットモータ編でも、引用されている。




◎スペースプレーン-超高層飛行力学, 加藤寛一郎 著, 1989年


宇宙飛行体の熱気体力学(久保田弘敏他)と並んで、再突入に関する本であり、日本語で書かれたスペースプレーンに関する唯一の専門書。著者は、川崎重工に入社後、ボーイング社勤務、東大教授になった経歴を持っている。出版答辞はH-IIロケットに搭載するHOPE計画が進んでいた時代である。





◎飛しょう体の空気力学, 玉木章夫著, 1974年



著者は、東京大学航空宇宙研究所元所長(現 ISAS, JAXA)であり、衛星打ち上げロケット開発にも尽力し、L-4Sによる、日本初の人工衛星おおすみの軌道投入にも関わった。L-4Sの母体技術である、観測ロケットが飛行する際の工学的解説、物理学的解説を扱っている。小型の観測ロケットをベースに人工衛星投入を成し遂げた頃の東大宇宙研所長の筆者が解説する本として、歴史的にも貴重と思われる。




◎ロケット工学, 佐貫亦男 著, 1970年


旧日本陸軍の九七式戦闘機を設計し、第二次大戦後に東大教授、日大教授を務めた佐貫先生の本。古い本だが、とても分かりやすく書かれており、当時のロケット開発、宇宙開発との関連も記載されている名著。現在の専門書、教科書の参考文献にも、本書籍は度々引用されている。中古価格が落ち着いているので、現在では安価に手に入る。




◎宇宙工学概論,  斎藤利生著, 1967年



防衛大学校の教授が執筆した、宇宙工学の本。全体の2/3が、ロケット工学に割かれている。熱防護の基礎、再生冷却方式、耐熱材料に関する記述等、近年の専門書ではあまり取り上げられない、再生冷却関連の記述が目立つ。かなり古い本だが、中古価格は落ち着いている。




◎ロケット工学,  遠藤宏二 他著, 1960年


防衛庁技術研究本部のミサイル研究者が共著して執筆した本。1960年出版の本としては、空力やエンジン、電子機器等、ロケットシステムを全て網羅し、かつその背景となる数式も多く書かれている。また、解説に必要な具体的な図面も掲載されており、この時代に、情報をよく集めたな、という感想。電子機器関係を除いて、今でも通用する内容である。ロケット推進工学(サットン先生)、ロケット工学(木村先生)と並んで、オススメ出来る1冊。(絶版)





◎ロケットエンジン, 黒田泰弘 著, 1958年




著者は、防衛庁の研究所でミサイル用の液体ロケットエンジン開発に従事していた。再生冷却や試験方法等、当時開発を進めていたノウハウを教科書にしたと思われる。その後、N-Iロケット開発にも携わっている。 黒田氏は、東大工学部航空原動機科卒、米空軍基地で航空機修理、パデュー大学助手、富士重工、三菱重工、防衛庁、科学技術庁、航空宇宙技術研究所ロケット部長、宇宙開発事業団システム計画部長等、考えられる限りの経歴を経ており、執筆当時は航空自衛隊3空佐だった様だ。山海堂自体が倒産したので、ロケット推進工学(同じ出版社)と同じく、絶版である。




◎熱機関体系〈第4〉ガスタービン・ジェットエンジン・ロケット, 八田桂三他 著, 1956年









紹介する中で、最も古い本。とりまとめは、ガスタービンの研究者の八田先生。ガスタービン、ジェットエンジン、ロケットの熱機関関係を取りまとめた専門書となっている。ロケットの部分は、藤平右近氏と黒田泰弘氏が執筆。スプートニク軌道投入成功前の本であり、外国文献調査と紹介を主眼におく内様となっている。ロケットエンジン工学の紹介等が数式を交えて書かれている。1952年に航空機の生産・研究・教育等活動禁止解除から4年後の執筆であり、またロケット工学の発展途中とあって、当時の雰囲気が感じられて興味深い。

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