Aerospace Engine Review Vol.7 OKB-2 Scud Engines 推進器研究会
スカッドミサイルのロケットエンジン本
2020年2月下旬前後にて、通販の取り扱いを辞めます(引き上げます)ので、スカッドミサイルのロケットエンジン本については、手に入るのは最後の機会となります。(次の販路は未定)長らくありがとうございました。
◆販売委託先
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=451215
◆本誌概要
旧ソ連のロケットエンジン解説本。スカッドミサイルのS5.2ロケットエンジンを旧ソ連内部資料等を基に技術解説。合計約18万文字、198p。250を超える図面・写真を基に開発の歴史から実際のエンジンシステムに至るまでを紹介。
ロケットエンジンシステムについて、これ程具体的に書かれた日本語書籍は今まで無かった様に思います。制御、バルブ、系統等も扱い、製造手法にも及んだフルパッケージ本となりました。第一宇宙速度を目指す、ロケットエンジンのシステム統合教科書。自作ロケットエンジン13t級の扉は開き、日本のDIYロケッティアに、ここ10年で最も衝撃を与える1冊。(扉を開くだけで、DIY出来るとは言っていない)
This is the Russian/Soviet Union rocket engine Commentary book. Technical commentary on S5.2 rocket engine of Scud missile based on Soviet internal manuals etc. A total of about 180,000 characters, 198 p. Based on over 250 drawings and photographs, we introduce from development history to actual rocket engine system.
We also handled control, valves, systems, etc., and it became a full package book covering manufacturing methods. System integrated textbook of rocket engine aiming at first space velocity. We will open the door of 13t class rocket engine.
This is the Russian/Soviet Union rocket engine Commentary book. Technical commentary on S5.2 rocket engine of Scud missile based on Soviet internal manuals etc. A total of about 180,000 characters, 198 p. Based on over 250 drawings and photographs, we introduce from development history to actual rocket engine system.
We also handled control, valves, systems, etc., and it became a full package book covering manufacturing methods. System integrated textbook of rocket engine aiming at first space velocity. We will open the door of 13t class rocket engine.
◆執筆経緯 ~Orbital Next Door
SpaceXが道を示したように、今後10年~15年の間に、民間宇宙開発は活発になると予想される。小型衛星を打ち上げる際に、第1段目に必要なロケットエンジンをシステムとして描きたいと考えたのが、執筆の始まりである。
その中で、現実に存在するロケットエンジンを組み合わせて、軌道衛星を投入する最小の宇宙ロケットを考えたが、第1段エンジンには少なくとも13t級のロケットエンジンを搭載する必要性があることが、簡易計算の結果分かった。 【計算結果は、以下参照】
何故S5.2ロケットエンジンかと言えば、ソ連崩壊によって情報公開された中で比較的情報量が多かったことと、そして何より、そのエンジンが信頼性があると言われており、なおかつ宇宙への扉を開くために、最低条件の性能(推力13t級)を満たしていたのが、S5.2ロケットエンジンだったからである。
何故S5.2ロケットエンジンかと言えば、ソ連崩壊によって情報公開された中で比較的情報量が多かったことと、そして何より、そのエンジンが信頼性があると言われており、なおかつ宇宙への扉を開くために、最低条件の性能(推力13t級)を満たしていたのが、S5.2ロケットエンジンだったからである。
◆内容説明
基礎的な数式の混じった、ロケットの専門書を読んだからといって、直ぐにシステムが理解できるとは限らない。システムは複雑であり、概要的な事しか書いておらず、それをどう利用するかという具体的なケースは分からない。
同様に、博物館でロケットエンジンを見たからといって、構造は理解出来ない。カットモデルがなければ、表面しか見えないのだから。そして、冶金工学、バルブ構造等のノウハウ情報は、省かれ、ぼかされ、簡略化されるものである。本を読んでも、実物を見ても、分からない。専門書を理解したり、博物館で構造を追いかけるには具体例が必要であろう。本誌は、具体的なエンジン構造を紐解き、エンジンシステムの理解を飛躍させる、ロゼッタストーン的位置付けとなっている。
「十分な情報とは何か?知的好奇心が満たされれば十分な記載なのか?否、「作製する・システムを動かすのに十分な情報」である」というのが、Vol. 1で示した問題提起であったが、今回は歴史・技術開発的背景を知った上でアプローチを行い、加えて、制御、バルブの仕組み、系統図等の細かい所も扱い、解説は部分的に製造手法にも及んだ。言わば、フルパッケージ本である。
スカッドは、所詮ゲスなSRBMである。しかしこれら旧ソ連の技術に基づき、イランは、サフィールで人工衛星を軌道へ送った。北朝鮮も銀河3号で人工衛星投入に成功した。つまり、そのエンジンの性能を発展させれば宇宙ロケットとして通用するということである。
そもそも、独力・国内生産のみで最初の軌道に到達する宇宙ロケットを開発した国々は、4.日本(LS-4, 1969年)以外において、
1. ソ連 (R-7(ICBM), 1957年)
2. 米国 (ジュピターC (レッドストーン MRBM), 1958年)
3. フランス(ディアマン (弾道ロケット組合わせ), 1965年)
4. 日本 (LS-4 (宇宙専用ロケット), 1969年)
5. 中国 (長征1号 (東風4号 MRBM), 1970年)
6. 英国 (ブラックアロー (ブルースストリーク MRBM), 1970年)
7. インド (SLV, 1980年 (米国スカウトの模倣 → 1段目ポラリス SLBM, 2段目MGM-29 SRBM))
8. イスラエル (シャヴィト (エリコII MRBM), 1988年)
9. イラン (サフィール(シャハブ3(ノドン, スカッド S/MRBM), 2009年)
10.北朝鮮 (銀河3号(ノドン, スカッド S/MRBM), 2012年)
※韓国(KSLV-I, 2013年)の第1段目はロシア製であるため、リストから除去。
全て、弾道弾を転用した歴史を持ち、それがグローバルスタンダードである。アビオニクス等は分からないが、機体を持ち上げるエンジン技術は、同じであり、宇宙ロケットとの違いはない。
なお、これは有人宇宙計画についても同様であり、ルーツは宇宙専用に作られたロケットではなく、ICBM等を転用・改造して行っている。アポロを運んだSaturn IB, Vの前身であるSaturn Iでさえ、全地球を射程に収めるミサイルとして計画されていた。(実際には配備されなかったが)
実績のある軌道投入型の純有人宇宙ロケットは、そしてスペースシャトル(ソ連のブランを含む)位ではなかろうか。しかし、それでさえも、少なくとも敵国の軍事衛星を奪取して地球に持ち帰る等の軍事利用ミッションを担っていたし、レーガン政権のSDI構想に組み込まれていた。
1. ソ連(ヴォストーク(軌道飛行), R-7(ICBM), 1961年)
2. 米国(マーキュリー(弾道飛行), レッドストーン(MRBM), 1961年)
米国(マーキュリー(軌道飛行), アトラス(ICBM), 1962年)
3. 中国(神舟(軌道飛行), 長征2号F(長征2号→東風5号 ICBM), 2003年)
近年、大学等を含めた日本の自作ロケットエンジン界隈も、推力 1桁kgf級から、2桁、3桁、4桁kgfと確実に進化している。しかしながら、宇宙空間、そして第一宇宙速度へ到達するためには、十数トン級のエンジンが必要となるだろう。それは、たった2秒間で推進剤(燃料+酸化剤)を100kg以上消費する、信じられない燃費、巨大なシステム工学の世界である。
本誌は、宇宙を目指す、DIYロケッティアに向けたコンセプトで執筆する。
▼S5.2系ロケットエンジンの燃焼試験の様子
▼S5.2 ロケットエンジン 外観詳細動画
◆目次 Chapter
1. はじめに1.1 本誌について
1.2 輝きを失った本屋の書籍達
1.3 本書の位置付け
1.4 執筆の経緯 Orbital Next Door
1.5 R-17(Scud-B)ロケットエンジンS5.2について
1.6 表記等の説明
2. R-17 (Scud-B) 開発史概要
2.1 短距離弾道ミサイル(SRBM)
2.2 OKB-2
2.3 アレクセイ・ミハイロヴィッチ・イサエフ
2.4 R-11 Zemlya/R-11M(Scud-A)
2.5 R-11A 観測ロケット
2.6 R-11FM(SS-1B)SLBM
2.7 R-11FM ライセンス計画1060(中国)
2.8 R-13(SS-N-4 Sark)並行開発された新型SLBM
2.9 R-17開発概要
2.10 OKB-3とS3.42T-3 ロケットエンジン
2.11 R-17B
2.12 長距離R-17;多薬室砲によるマスドライバ計画
2.13 対地攻撃ミサイル巡洋艦 プロジェクト1080
2.14 世界に拡散したR-17
2.15 北朝鮮とR-17
2.16 イラクとR-17
2.17 湾岸戦争におけるスカッド狩り(Scud Hunting)
2.18 米軍のスカッドへの対処と迎撃
3. R-17 (Scud-B) 技術概要解説
3.1 R-17技術概要
3.2 R-17テレメトリ仕様
3.3 弾頭部とノーズコーン
3.3.1 核弾頭
3.3.2 化学弾頭
3.3.4 通常弾頭及び緊急破壊システム
3.3.5 ノーズコーン
3.4 安定尾翼と機体後部
3.5 保証期間・点検・保守
3.5.1 製品保証期間
3.5.2 点検検査
3.5.3 保守
4. R-17 (Scud-B) ロケットエンジン技術解説
4.1 S2.253 ロケットエンジン
4.2 S2.253バッフルプレート部と振動対策
4.3 S5.2 ロケットエンジン概要
4.3.1 S5.2推進システム概要
4.3.2 S5.2推進系統概要
4.3 推進剤
4.4 推進剤の取扱いと防護対策
4.5 S5.2 燃焼室概要
4.6 S5.2 燃焼室上部・インジェクタ部
4.7 S5.2 バッフルプレート部
4.8 S5.2 再生冷却流路
4.9 S5.2 エンジン底部, コレクタ・マニフォールド部
4.10 S5.2 エンジンマウント部
4.11 S5.2 ステアリングユニット, TVC, 推力偏向
4.12 S5.2 ターボポンプユニット
4.13 始動用固体ガスジェネレータ(始動用GG)
4.14 ガスジェネレータ(GG)
4.15 熱交換器付GG排気管
4.16 推進剤タンク充填概要
4.17 推進剤タンク構造概要
4.18 燃料タンク構造
4.19 酸化剤タンク構造
4.20 燃料供給配管構造
4.21 圧縮空気加圧システム
4.21.1 推進剤タンク加圧システム
4.21.2 エアシリンダ(圧縮空気タンク)
4.22 エンジン運転シーケンス
4.22.1 エンジン起動シーケンス
4.22.2 エンジンカットオフシーケンス(停止)
4.22.3 緊急エンジン停止(АВД)シーケンス
4.23 バルブシステム
4.23.1 圧力センサユニット
4.23.2 破断スクイブ(ДП1)
4.23.3 加圧開始用バルブ(BП1)
4.23.4 推進剤タンク始動用バルブ・シャットオフバルブ
4.23.5 酸化剤・燃料始動用バルブ
4.23.6 酸化剤・燃料シャットオフバルブ
4.23.7 燃焼室内パージバルブ・ドレンバルブ
4.23.8 電磁バルブ(ЭПК, EPV)
4.23.9 酸化剤タンク緊急用バルブ(АП1, АП3)
4.23.10 燃料タンク緊急用バルブ(АП2)
4.24 減圧器
4.25 推力レギュレータ
4.26 圧力レギュレータ
4.27 ターミナルコネクタ
4.28 北朝鮮のロケットエンジン技術開発
4.29 中 国のロケットエンジン技術開発
5. 技術性能解析
5.1 R-17(S5.2)を用いた小型衛星軌道投入の検討
5.2 NASA CEAプログラムによる簡易性能解析
5.3 S5.2 ロケットエンジン性能解析
6. ロケットエンジン製造技術解説
6.1 波状板溶接・溶接一般
6.2 燃焼室製造方法概要
6.2.1 波状板製造方法と再生冷却流路への適用
6.2.2 燃焼室とノズルのろう付け及び組み立て
6.2.3 燃焼室とノズルの連結
6.3 ろう付け加工方法概要
6.4 インジェクタ製造方法
6.4.1 インジェクタハウジング・ノズル製造方法
6.4.2 インジェクタ旋回スクリュー部 製造方法
6.5 燃焼部頭部 製造方法
6.5.1 インジェクタプレート/ヘッド製造方法
6.6 ターボポンプ製造方法
6.6.1 インペラの製造方法(クローズドインペラ)
7. 最後に
8. 付 録
Appendix. 1 Wasserfall地対空ミサイルが与えた影響
Appendix. 2 イランのロケットエンジン開発
Appendix. 3 ISISがシリアから奪ったR-17
Appendix. 4 RD-216 バルブ
Appendix. 5 5D12, S-200(SA-5)用ロケットエンジン
Appendix. 6 S5.41(5D25)用ターボポンプ
9. 参考文献
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