Update:2020.09.05
2019年8月ロシアで、原子力推進巡航ミサイル「9M730 ブレヴェストニク」が開発中に原子力事故を起こしたのではないかと話題になっている。本記事では、9M730 ブレヴェストニク 原子力推進巡航ミサイルに関する考察を記す。
1.9M730 ブレヴェストニク 原子力巡航ミサイル
9M730 Burevestnik ブレヴェストニク、ブレヴェスニク(NATO CODE:SSC-X-9 Skyfall スカイフォール)(007のタイトルみたいなNATOコードだな…)は、ロシアが開発中の原子力推進巡航ミサイルである。プーチン大統領が2018年3月1日に、様々な新兵器と共に発表したミサイルであり、原子力のエアブリージングエンジンを搭載する。化学推進ではなく原子力推進を行うため、全世界規模の広大な射程距離を持つとされている。
2.冷戦時代のコンセプトがリバイバル
冷戦時代、原子力推進巡航ミサイルは、1950~1960年代に米国で検討された大陸間を横断可能な長距離巡行ミサイルであった。しかしながら、より短時間で目標に到達できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)等の技術の発展により、当時の開発計画は中止となった。
近年、米国は弾道ミサイルを迎撃可能な、弾道ミサイル防衛(MD)の整備を進めており、ロシアはこれに対抗するため複数の対抗手段を模索しており、その答えの一つが、1950~1960年代の米国のコンセプトをリバイバルさせた、ブレヴェストニク巡航ミサイルである。
MDをかいくぐる目的で複数の新兵器開発がロシア国内で実施されており、プーチン大統領が同2018年3月1日発表したアバンガード等の新兵器群と方式は異なるが、目的は同じである。
【プーチン大統領が2018年3月1日に紹介した新兵器に関する関連記事】
- ロシアの新型ICBM 極超音速グライダー型スクラムジェットエンジンミサイル:アバンガルド 第1回目, Russian new ICBM with hypersonic glider scramjet engine missile: Avangard (1)
- ロシアの新型ICBM 極超音速グライダー型スクラムジェットエンジンミサイル:アバンガルド 第2回目, Russian new ICBM with hypersonic glider scramjet engine missile: Avangard (2)
なお、ソ連においても、大陸間巡航ミサイルというコンセプトは存在したが、「原子力推進」での開発とはなっていない。ブーリャ(Burya La-350)等の大型化された化学推進ラムジェット巡航ミサイルの開発に留まった。
Burya La-350 ラムジェット大陸間巡航ミサイル
米国でも化学推進の長距離巡航ミサイルは、原子力推進ラムジェットミサイル SLAMを開発していたのと同時期に、ナヴァホ(SM-64 Navaho)ラムジェット巡航ミサイル、スーナク(SM-62 Snark)ターボジェット巡航ミサイルが別の計画として開発を実施していた。これらは、SLAM同様、大陸間横断可能な長距離飛行が可能な性能を目指していた。
SM-64 Navaho ラムジェット巡航ミサイル
3.かつて計画された原子力推進ミサイル:原子力ラムジェットミサイルSLAM
公開情報において、かつての米国では原子力ラムジェットミサイル:SLAMを開発していた。原子力推進の超音速低高度ミサイル:SLAM(Supersonic Low Altitude Missile)は、米国で1955年に構想され、1964年に中止になった開発計画である。
SLAM(Supersonic Low Altitude Missile)
SLAMは、原子力推進のラムジェットエンジンを搭載し、低高度において地上防衛レーダーをかいくぐり、核弾頭を敵地に打ち込むミサイル計画であった。約182,000kmの航続距離が計画され、地球の直径の4.5倍以上を飛行出来る目標性能を掲げていた。しかしながら、この計画は、1950~1960年代のICBMの技術開発により時代遅れの概念となる。また、地上配備の防衛レーダーの発展により、低高度でレーダーを回避するという回避戦略も陳腐化した。
加えてSLAMは、実現性に対する深刻な問題も抱えていた。化学燃料を燃焼するのではなく、空気取入口から取り込んだ空気を加熱(原子炉側としては冷却)することで推進するタイプのラムジェットエンジンを搭載していたが、空気を原子炉に対して直接冷却・熱交換することで、推進ガス(高温空気)を得るため、大量の放射性物質を大気中に放出する仕様であり、これは問題視されていた。
(ただし、ミサイルが高速化されているため、原子炉の熱を受け取って放出される放射化した空気は、一か所に留まることなく、広い範囲に拡散する。このため地上への影響は低レベルであると当時は主張されていた。)
巡航ミサイル用原子力推進ラムジェットエンジン開発としては、「プロジェクトプルート」という計画が進んでいた。アプリケーションとしての応用先・搭載先は、先に述べたSLAMである。1961年と1964年に、米国エネルギー省ネバダ実験場にて2つの原子力推進エンジンが試験されている。
当時のエンジンに対する主な技術的課題は、原子炉小型化とエンジンの耐熱性であり、冶金学と材料工学が実現のボトルネックであった。試験を行っていた「Tory」というコードネームのエンジンは、運転状態において、通常のジェットエンジンで使用される金属を溶かす高温状態となるため、それに耐えうる材料開発が必要で、高温耐性を持つセラミックを含む核燃料、セラミック耐熱材の新規開発が実施されていた。
3-1.原子力ラムジェットエンジンの作動原理
原子力ラムジェットエンジンの概要図と
ローレンスリバモア研究所が見積もったマッハ数と熱交換器の温度例
※混同しないために、この方式はSLAMの方式で、ブレヴェストニク巡航ミサイルの作動原理でないことをまず断っておく。
SLAMは、原子力推進ラムジェットエンジンを使用していた。これは、固体ロケットブースターにて機体を加速させ、エンジンの空気取入口に単に空気が入ってくるだけで、空気を圧縮出来るラム効果が利用できる速度域(実用的には、マッハ1以上)でエンジンを起動させる。これにより、圧縮した空気を取り込み、原子炉との熱交換器で空気を加熱、高温の空気をノズルから膨張させることで、高速ガスに変換し、推力を得ることが出来る。
通常のラムジェットエンジンは、空気と燃料を混ぜて化学燃焼させて高温高圧のガスを得るが、原子力ロケットエンジンは、原子炉から直接空気を熱して高温ガス(空気)を得る。推進装置ではなく、原子炉側を主体とした場合は、この熱交換過程が、原子炉の冷却過程となる。つまり、熱交換のバランスが崩れるとメルトダウンする可能性がある絶妙なバランスの上に成立するエンジン技術である。
4.公開されたブレヴェストニク巡航ミサイルの映像
かつて米国は、ラムジェット式の原子力推進エンジンを開発を試みたが、今回ロシアはジェットエンジン式、即ちターボジェットエンジンやターボファンエンジン型の原子力推進エンジンを開発しようとしている様に見える。それは、公開されているプレヴェストニク巡行ミサイルの映像から判断できる。
ロシアが公開したブレヴェストニク巡航ミサイルの試験映像
4.公開されたブレヴェストニクは、ステルス性を意識した亜音速巡航の原子力ジェットエンジンミサイルか?
先に紹介したSLAMの様にラムジェットエンジン搭載の機体は、超音速飛行が前提であり、衝撃波発生を想定しているために機体先端やエンジンの空気取り入れ口は鋭角になっている事が多い。しかしながら、公開された映像を見ると、ブレヴェストニク巡行ミサイルのノーズ部分は、その様な形状にはなっていない。
ブレヴェストニク巡航ミサイルと各国の亜音速巡航ミサイルの先端部比較
ステルス性を考慮した亜音速ミサイルである様に見える
ノーズ部の先端形状がそれほど尖っていないことから、このミサイルはマッハ1を超えるような高速度域を狙っている様には見えない。亜音速巡行ミサイルのノーズ部先端形状の様に見える。
似たような先端形状をしているミサイルとしては、米国のAGM-158 JASSM、ロシアのKh-101、フランス&英国のStorm Shadow等が挙げられる。どれも亜音速巡行に対応したミサイルで、加えてステルス性も意識された設計になっている。
ブレヴェストニク巡行ミサイルのノーズ部は、断面が三角形になっており、横から来るレーダー波を垂直に反射させない形状になっている。またノーズ部正面形状は上記の他ミサイル同様にステルス性に気を使っている様に見える。この映像を信じるなら、ブレヴェストニク巡行ミサイルは、ステルス性をある程度意識した亜音速巡航ミサイルとして設計されているのではないか。
ここから、ブレヴェストーク巡行ミサイルに搭載されているのは、原子力推進ラムジェットエンジンではなく、原子力推進ジェットエンジン(即ちターボジェットエンジンやターボファンエンジン型の原子力推進エンジン)を搭載していると考えられる。原子力によって射程は無限大だったとしても、速度は音速以下でそれほど早い訳ではなさそうだ。
ソ連時代において、有人航空機用途の大型の原子力推進ターボジェットエンジンの研究開発実績をロシアは持っているが、米国の様にミサイル用途の小型の原子力推進ラムジェットエンジンの開発実績はない。(公開情報としては無い)
この辺の過去の開発実績が、規模は異なるが方式として実績のある原子力推進ジェットエンジンを選択した理由の一つなのではないか。
4-2.ブレヴェストニク巡航ミサイル発射シーンに関する考察
ブースター燃焼時のブレヴェストニク巡航ミサイル
機体の腹に大きなブースターを抱えている
(下2つは画像解析のため白煙が消えている)
試験時の発射動画を見ると、腹に抱えた単純な固体燃料ロケットブースターで加速し、その後原子力エンジンに切り替える方式であることが分かる。この様な本体に対して、腹に抱えた大型のロケットブースターは、エンジン始動後切り離すと見られる。
チェイサー機のコックピットからの試験映像画像
動画では、ロケットブースター作動時「のみ」の映像を映しており、試験時のチェイサーとして有人航空機からの映像が映っているが、ブースターの白煙が雲の間に続く状態の場面しか撮影してない。(つまり、ブースター燃焼時)
同時に映っているミサイル映像も、ブースター火炎と白煙が続く状態の拡大図のみである。つまり、公開された映像は終始原子力ジェットエンジンが「作動してない状態」の映像しか見せていないと判断できる。
5.ブレヴェストニク巡航ミサイルの技術課題
5-1.かつて存在した米ソの原子力推進ジェットエンジン
米ソ両国とも、1950~1960年代において、原子力推進ジェットエンジン(原子力推進ターボジェットエンジン)の開発を行っていた。
米国GEが開発を行っていた原子力ジェットエンジン例:XNJ-140E
酸化ベリリウム原子炉式の原子力ジェットエンジンであった
最大出力121MW、最大乾燥重量27.5 トン(4.4kW/kg)
米国では、ロスアラモス国立研究所で研究されていた直接サイクルのガス冷却式原子炉が、各種の原子力推進エンジン研究開発へと発展した。直接サイクル型原子炉の開発(1951~1961年)は、主に3つの推進システム、原子力推進ターボジェットエンジン、原子力ラムジェットエンジン、原子力推進ロケットエンジンの開発が実施された。(SLAMはこの内の原子力ラムジェットエンジン)
1956年にソ連で検討された2形式の原子力ジェットエンジン
ターボ機械とシャフトが原子炉の外側にあるロッカー型(上)と同軸型(下)である
ソ連については、公開されている情報は米国に比べて限られるが、原子力推進ジェットエンジンの計画が米国と同時期に存在した。ソ連にはSLAMの様な原子力推進ラムジェットの研究開発を行っていたという情報はないが、一方で原子力推進ターボジェットを搭載した有人航空機の研究開発は実施されていた。
Myasishchev設計局では、M-30、M-52、M-56K、M-60等といった、原子力推進ジェットエンジン搭載型航空機の開発を行っていた。これらの原子炉では、原子炉からエンジンに熱を伝達するため、リチウムやナトリウムといった溶解金属冷却材が使用されていたという情報がある。一方で、エンジンは巧妙に作られており、「通常の航空燃料」でも作動するデュアル式であったらしい。(航空燃料を使用する場合は、原子炉を停止した状態での使用と見られる)
因みにこれらの原子力ジェットエンジンは、SLAMの原子力ラムジェットエンジンとは異なり、直接空気で冷却(1次冷却)するわけではなく、リチウムやナトリウムで1次冷却した後、熱交換器で2次冷却材として空気を使用していた。つまり、放射性物質を直接まき散らす訳ではない。
なお、ブレヴェストニク巡航ミサイルは原子力ジェットエンジンを搭載しているとみられるが、SLAMの様に、放射能をまき散らすタイプか、それが有人用原子力ジェットエンジンの様に、2次冷却を噛ましてまき散らさないタイプかは不明である。
5-2.ミサイル用原子力推進ジェットエンジンの技術課題
米ソが原子力推進ジェットエンジンの研究開発を中止して、半世紀以上経つ。しかし、再度原子力推進のジェットエンジンを開発しようとすれば、以下の様に、その技術課題というのは、今もなお当時と同じ要素になると考えられる。
当時の研究開発は、ソ連は有人大型爆撃機に搭載することを目指したが、ブレヴェストニクは巡航ミサイルであり、「小型化」という課題もある。
1.熱制御・熱マネージメント技術
ミサイルは航空機に比べて規模が小さく、搭載できるジェットエンジンも小さくなる。その結果、原子炉にとっては冷却用の空気流量が少ないので、どう効率よく冷却するかが課題となる。(=どう空気を効率よく加熱して空気を膨張させて推進力を与えるか)
2.耐熱性材料技術
冷却出来ない部分は、材料の耐熱性で対応するしかない。
3.小型原子炉技術
ミサイル規模の機体に実装できる原子炉の小型化が必要。その他各種補機の小型化。
⇒ 空気は推進剤である一方で、原子炉を冷却する冷却材である。(ブレヴェストニクがSLAMの様に直接冷却(1次冷却)で放射能を吐き出すのか、2次冷却でそれが抑えられているのかは不明)入ってくる空気流量や空気密度の関係で、巡航高度が制限されたりする可能性があるのではないか?
6.ブレヴェストニク巡航ミサイルの事故原因は何だったか?(推論)
以下は全て推定・推測となることをご了承願いたい。
2019年8月8日にロシア北部アルハンゲリスク州ニョノクサ近くにある、海軍の海上実験場で8日、爆発事故が発生し、実験作業にあたっていたロシアの原子力企業ロスアトムの職員5人が死亡した。
この事件について発表では、当初「ジェットエンジンの実験中に爆発」「液体燃料ジェットエンジンの実験中に爆発」と報道されていた。その後、「アイソトープ動力源(電池)」等、発表内容錯綜しており、原子力推進エンジンの事故を隠すためなのではないかと専門家等から意見が出ていた。
数日経過して、ブレヴェストニク巡航ミサイル開発中の事故であることの可能性が濃厚となってきたが、詳細については秘密事項であり、公にされていない。
当初の発表が嘘だったのではないかという意見があるが、言い回しの問題で、一部については嘘をついてないかもしれない。理由は以下のとおりである。
- ブレヴェストニク巡行ミサイルには、原子力推進ジェットエンジン(ターボジェットエンジン or ターボファンエンジン)が搭載している物と見られる。ジェットエンジンは、外部から空気を取り入れて噴流(ジェット)を生成する推進機関と定義されるので、「ジェットエンジンの実験中に爆発」という報道は嘘ではないとロシア側は主張出来る。
- 以前、ソ連が開発していた大型爆撃機用の原子力推進ジェットエンジンは、原子力推進を行いつつも、「通常の航空燃料」でも作動するデュアル式であったという情報がある。もしもブレヴェストニクに搭載されているエンジンがデュアル式であれば、液体燃料でも稼働するので、「液体燃料ジェットエンジンが爆発した」とロシア側が主張しても嘘ではない。
- また、エンジンを始動するためのスターターに「液体燃料」を使用していれば、始動時の一部を切り取れば、「液体燃料ジェットエンジン」とも言えなくはないので、ロシア側は嘘ではないと主張出来る。
事故原因は、発表が二転三転しており、真実は不明だが、「原子力推進ジェットエンジンの地上運転時に失敗した」という辺りが妥当な線ではないか。
上記の3番目で、スターターの話に触れたが、固体燃料ロケットブースターを使用して、ジェットエンジン回転部、原子炉が起動してない状態から発射されると考えられる。原子力推進ジェットエンジンの始動は、空中で行われることになると推測する。この推測には、以下の様な理由がある。
- ロケットブースターによる急激な加速度環境に起動した原子炉を晒すよりは、加速度が弱くなってから起動する方が、安全上理にかなっている。
- 地上で原子炉を始動して、ランチャー内部・周辺で事故があった場合、自爆状態になり、放射能をまき散らしランチャー周辺に近づけない。このため、発射後に距離を取った上でエンジンを始動する可能性が高いと推測する。(まあ今回は、自爆した訳だが…)
- 有人航空機にソ連がかつて搭載した原子力推進ジェットエンジンは、運転時に発生する放射線から乗員を守るために金属製の重たいシールドが必要であり、それらを搭載していた。積めば積むほど機体重量が重くなるシールドを余裕のないミサイル機体内部に搭載し、原子炉全方位から放射線が出ない様にシールド処理を施すだろうか?敵に対して打ち込む使い捨てのミサイルに、そこまで配慮するだろうか?仮に軽量化のためにシールドが不十分とすると、地上で十分な環境を整えず、原子炉を起動する行為は、被爆行為となる。
- 仮に軽量化のためにシールドが不十分とすると、ロケットブースターはジェットエンジンを起動できる所定の速度に到達させるための加速装置だけでなく、ロシア側から十分離れた安全圏でエンジン内部の原子炉を起動するために必要な安全装置になる。
(余談だが、ブレヴェストークに対して迎撃を行うため近づくミサイルを考えると、シールドが不十分な方向から接近すれば、放射線によって、電子機器が誤作動を起こす可能性があるのではないか?)
そして、原子力推進ジェットエンジンが始動する際には以下の様なシーケンスを取るものと考えられる。
- 固体燃料ロケットブースターでエンジンが起動できる所定の速度まで加速。
- 液体燃料等の化学剤スターターにより、ジェットエンジンを起動、空気を取り込み回転数を定常状態まで上げる。
- 原子炉を起動、空気での冷却開始・推進ソース切り替え。
- エンジンの定常巡行運転開始
といった具合だろうか。始動時の一部を切り取れば、「液体燃料ジェットエンジンの実験中」とも言えなくはない。
しかし、ブレヴェストニク巡行ミサイルの開発が進めば、この手の兵器は搭載弾頭が何であろうと、目標に命中しても、飛行に失敗しても、「原子力推進ジェットエンジン」という名の小型原子炉が、地面や海面に叩きつけられる。結果として、今回の事故の様に放射能汚染されることになる。弾頭抜きでも、この手のミサイルは、デフォルトのダーティーボムとなる、やっかいな兵器になるだろう。
7.追記:小型原子炉の構造と液体燃料スターターの推測
先に紹介したアメリカの有人用原子力推進ジェットエンジン:XNJ140E のレポートから、原子力推進ジェットエンジンの仕組みを紹介し、液体燃料が必要だった推定理由を追記して述べる。
XNJ140Eは、小型高出力原子炉を達成するために、地上の蒸気型大型原子炉の様に低濃度ではなく、ウラン単体で見れば、その濃度を核兵器級にまで上げた、高濃縮ウランが使用されていた。
XNJ140Eに搭載された小型原子炉の燃料は、濃縮二酸化ウラン(~93% U235)を含む酸化ベリリウムによって構成されていた。二酸化ウランは、酸化イットリウムによって安定化され、二酸化ウランのより高い酸化状態への変換を制限した仕様である。また燃料表面は、酸化ジルコニウムでコーティングされていた。このコーティングにより、酸化ベリリウムの蒸気腐食を防げた。なお、XNJ140E 原子炉の最大動作温度は、1388℃ である。
【参考文献】
COMPREHENSHIVE TECHNICAL REPORT GE DIRECT AIR CYCLE AIRCRAFT NUCLEAR PROPULSION PROGRAM
https://www.osti.gov/opennet/servlets/purl/1048135.pdf
冷却材には、冷却能力の高さ(=沸点及び比熱容量の高さ)から、液体金属であるリチウム(水素化リチウム)が使用されていた。物質としての冷却能力が高いため、過度に冷媒の圧力を高くすることなく、軽量構造のままで熱を原子炉から奪える。
ロシアの過去の原子力推進エンジンにも、先に説明した様に、リチウムやナトリウムで1次冷却を行っており、大きさこそ違えど、小型で高出力を達成する原子炉を搭載しなければならない理由から、濃縮型核燃料+液体金属冷却材という構成が、ブレヴェストニク巡行ミサイルのエンジンにも採用されている可能性は高いと考える。
そして、この様なタイプの原子炉を起動する場合には、常温で冷却材が固体であるために、冷却材を融点以上にエンジン起動前に事前加熱(余熱)せねばならない。つまり始動時には、スターターとなる化学剤が必要であり、それが液体燃料だった可能性はないだろうか。
もちろん、小型原子炉だけでなく、回転機械としてジェットエンジン機構に対しても、空気流れを送り込まなければならない。始動時にはブレードの回転数を上げるため、スタートガス発生が必要であり、ガス発生のスターターとなる化学剤が必要である。
この様に、原子力推進ジェットエンジンシステム全体の起動にスターターが必要であり、そのための液体燃料が搭載されていた可能性があると考える。
8.追記:事故原因(Update:2020.09)
事故は8日、白海(White Sea)沿岸の北極圏にある軍事施設で起きたが、当局が原子力関連の事故であることを認めたのは2019年8月10日になってからであった。爆発により放射線レベルの急激な上昇がみられたということである。
ロスアトムは、職員らはミサイルの「放射性同位体供給源」に関する工学および技術サポートを行っていたと説明。爆発は海上の施設でミサイル実験を行っていた際に燃料に引火して発生し、爆風で複数の職員が海に吹き飛ばされたとしている。これらは、核爆発ではなく、ミサイルエンジンの実験中に起きた爆発で、燃料に使用された放射性物質が周辺に飛散したとロシア軍当局者が地元住民らに説明した。
事故を巡り専門家の間では、開発中の原子力推進式巡航ミサイルのエンジンの小型原子炉が爆発したとの推測と、「放射性同位元素を使った液体燃料推進システム」の事故との推測、2つの見解が出ていたが、少なくとも発表からは、「化学液体燃料が爆発を引き起こし、原子力部分が巻き添えになって破損した。」と考えるのが、整合性が合う。
References
[1] Ракета 9М730 / Крылатая ракета с ЯЭУ, http://militaryrussia.ru/blog/topic-895.html[2] ロシア軍施設で5人爆死 原子力推進式ミサイル実験で事故か,
https://www.bbc.com/japanese/49327600
[3] В "Росатоме" рассказали подробности взрыва при испытаниях ракеты,
https://ria.ru/20190810/1557375134.html
[4] "Росатом" объяснил радиационный скачок в Северодвинске,
https://rg.ru/2019/08/10/reg-szfo/radiacionnyj-skachok-v-severodvinske-poluchil-obiasnenie-v-rosatome.html
[5] 放射線量も上昇「ロシア爆発事故」を引き起こした「秘密兵器」実験, 小泉悠 2019年8月10日
https://www.fsight.jp/articles/-/45733
[6] ロシア軍施設で爆発事故、原子力推進巡航ミサイルの可能性, JSF, 2019/8/10(土) 23:58
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20190810-00137920/
[7] ロシア爆発、兵器用の小型原子炉開発に関連, 共同通信
https://this.kiji.is/533750027298817121?c=39550187727945729
[8] М-60. Атомный самолёт В.М. Мясищева
https://topwar.ru/77826-m-60-atomnyy-samolet-vm-myasischeva.html
[9] SOVİET TOP SECRET NUCLEAR AIRPLANE M-60,
https://www.akademiportal.com/soviet-top-secret-nuclear-airplane-m-60/
[10] SLAM, https://www.globalsecurity.org/wmd/systems/slam-pics.htm
[11] “Flyable” Reactors & Neutron Coupling,
http://www.holosgen.com/about-us-1-2/
[12] XNJ140E part 1, http://www.aerospaceprojectsreview.com/blog/?p=894
[13] XNJ140E part 2, http://www.aerospaceprojectsreview.com/blog/?p=903
[14] https://www.wikipedia.org/
[15] https://twitter.com/toughsf/status/1016013116067500032
[16] University of California Radiation Lab, Livermore site,
https://www.osti.gov/servlets/purl/4217328
[17] ロシアのミサイル実験中の爆発事故、放射性物質を使った動力源が関与,
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-13/PW5VFC6TTDS101
[18] Burya La-350, https://fas.org/nuke/guide/russia/icbm/burya.htm
[19] ミサイル実験場爆発事故で死亡した研究員ら、「新兵器」開発に従事 ロシア
In August 2019 in Russia, there is a lot of talk about the 9M730 Brevestnik nuclear-powered propulsion cruise missile, which may have caused a nuclear accident during its development. This article describes a discussion of the 9M730 Brevestnik nuclear-powered propulsion cruise missile.
In the Soviet Union, too, the concept of an intercontinental cruise missile existed, but it was not developed as a "nuclear propulsion" missile. It was limited to the development of larger, chemically propelled ramjet cruise missiles such as the Burya La-350 (Burya La-350).
At the same time that the United States was developing the SLAM nuclear-propelled ramjet missile, the SM-64 Navaho (Navaho) ramjet cruise missile and the SM-62 Snark (Snark) turbojet cruise missile were being developed as separate programs for chemical-propelled long-range cruise missiles in the United States. These, like the SLAM, were intended to be capable of long range intercontinental flights.
In public information, the United States once developed a nuclear-powered ramjet missile: the SLAM. The nuclear-propelled Supersonic Low Altitude Missile (SLAM) was a development program in the United States that was conceived in 1955 and cancelled in 1964.
*To avoid confusion, let me first say that this is the SLAM system and not the working principle of the Brevestnik cruise missile.
Whereas in the past the US tried to develop a ramjet nuclear propulsion engine, this time Russia appears to be trying to develop a jet-powered, i.e. turbo-jet or turbo-fan engine-type nuclear propulsion engine, which can be judged by the video footage of the Prevenik cruise missile that has been released. This can be judged from the footage of the Prevestrnik cruise missile that has been released.
The air intake of the ramjet-powered aircraft, like the SLAM, is designed to fly at supersonic speeds, and the air intake of the fuselage and engine is often at a sharp angle to generate shock waves. However, the nose of the Brevestnik cruise missile is not shaped like that.
1.9M730 Brevestnik Nuclear Cruise Missile
9M730 Burevestnik Burevestnik, Burevestnik (NATO CODE: SSC-X-9 Skyfall Skyfall Skyfall) (NATO code like the title of 007...) is a nuclear-powered propulsion cruise missile under development by Russia. The missile was announced by President Putin on March 1, 2018, along with a variety of new weapons, and will be powered by a nuclear-powered air-breathing engine. It is said to have a vast global range, as it will be nuclear propelled rather than chemically propelled.
2.A revival of a Cold War-era concept
During the Cold War, the nuclear-powered propulsion cruise missile was a long-range cruise missile capable of crossing the continent that was considered in the United States in the 1950s and 1960s. However, developments in technology such as intercontinental ballistic missiles (ICBMs), which could reach targets in a shorter time frame, led to the cancellation of the program at that time.
In recent years, the United States has been developing a ballistic missile defense (MD) system capable of intercepting ballistic missiles, and Russia has been exploring multiple countermeasures to counter this, one of which is the Brevestnik cruise missile, a revival of the US concept from the 1950s and 1960s.
Several new weapons developments are being carried out in Russia with the aim of going under the MD, and while the formula is different from the Avangard and other new weapons groups announced by President Putin on March 1, 2018, the objectives are the same.
【Related article on new weapons introduced by President Putin on March 1, 2018】
In the Soviet Union, too, the concept of an intercontinental cruise missile existed, but it was not developed as a "nuclear propulsion" missile. It was limited to the development of larger, chemically propelled ramjet cruise missiles such as the Burya La-350 (Burya La-350).
Burya La-350 Ramjet intercontinental cruise missile
At the same time that the United States was developing the SLAM nuclear-propelled ramjet missile, the SM-64 Navaho (Navaho) ramjet cruise missile and the SM-62 Snark (Snark) turbojet cruise missile were being developed as separate programs for chemical-propelled long-range cruise missiles in the United States. These, like the SLAM, were intended to be capable of long range intercontinental flights.
SM-64 Navaho Ramjet cruise missile
3.Once Planned Nuclear Propelled Missile: Nuclear Ramjet Missile SLAM
In public information, the United States once developed a nuclear-powered ramjet missile: the SLAM. The nuclear-propelled Supersonic Low Altitude Missile (SLAM) was a development program in the United States that was conceived in 1955 and cancelled in 1964.
SLAM(Supersonic Low Altitude Missile)
SLAM was a missile program to launch nuclear warheads into enemy territory at low altitude, under the radar of ground defence, powered by a nuclear propelled ramjet engine. It was planned to have a range of approximately 182,000 km, with a target performance of more than 4.5 times the diameter of the Earth. However, the development of ICBM technology in the 1950s and 1960s rendered this plan an outdated concept. The development of ground-based defensive radars also made the evasive strategy of avoiding radar at low altitude obsolete.
In addition, SLAMs also had serious problems with feasibility. The SLAM had a ramjet engine that was propelled by heating (or, on the reactor side, cooling) the air taken in through the air intake rather than burning chemical fuels, but the air was cooled and exchanged directly against the reactor to obtain propulsion gas (hot air), which resulted in large amounts of radioactive material being released into the atmosphere. The specification of the air is to be emitted, and this was considered a problem.
(However, because of the speed of the missiles, the activated air released by the heat from the reactor would not stay in one place, but would be spread over a wide area. (It was claimed at the time that this would have a low level of impact on the ground.)
A project called "Project Pluto" was underway to develop a nuclear propulsion ramjet engine for cruise missiles. The application and destination for application was SLAM, mentioned earlier; two nuclear propulsion engines were tested in 1961 and 1964 at the U.S. Department of Energy Nevada Test Site.
The main technical issues for the engines at that time were reactor miniaturization and engine heat resistance, with metallurgy and materials engineering being the bottleneck to realization. The engine, code-named "Tory", which was being tested, was under high temperature conditions that would melt the metals used in a conventional jet engine under operating conditions, which required the development of materials that could withstand these conditions, and so new developments of nuclear fuels, including high temperature resistant ceramics and ceramic refractory materials were carried out.
3-1.Operating principle of the nuclear ramjet engine
Schematic diagram of the nuclear ramjet engine and
Examples of Mach numbers and heat exchanger temperatures estimated by Lawrence Livermore Laboratory
*To avoid confusion, let me first say that this is the SLAM system and not the working principle of the Brevestnik cruise missile.
SLAM used a nuclear propelled ramjet engine. This involves accelerating the aircraft with a solid rocket booster and simply allowing air to enter the engine's air intake to start the engine at a speed range where the ram effect could be used to compress the air (practically speaking, above Mach 1). This allows the compressed air to be taken in, heated in a heat exchanger with the reactor, and the hot air expanded through the nozzle to be converted into high speed gas for thrust.
A normal ramjet engine mixes air and fuel to obtain hot, high-pressure gas by chemical combustion, but a nuclear rocket engine heats air directly from the nuclear reactor to obtain hot gas (air). If the main focus is on the reactor side instead of the propulsion system, this heat exchange process becomes the cooling process of the reactor. In other words, it is an engine technology that is established on the basis of a fine balance that can lead to meltdown if the balance of heat exchange is disrupted.
4.Footage of the Brevestnik cruise missile released
Whereas in the past the US tried to develop a ramjet nuclear propulsion engine, this time Russia appears to be trying to develop a jet-powered, i.e. turbo-jet or turbo-fan engine-type nuclear propulsion engine, which can be judged by the video footage of the Prevenik cruise missile that has been released. This can be judged from the footage of the Prevestrnik cruise missile that has been released.
Test footage of the Brevestnik cruise missile released by Russia
4.Is the released Brevestnik a subsonic cruising nuclear jet engine missile with stealthy intent?
The air intake of the ramjet-powered aircraft, like the SLAM, is designed to fly at supersonic speeds, and the air intake of the fuselage and engine is often at a sharp angle to generate shock waves. However, the nose of the Brevestnik cruise missile is not shaped like that.
Comparison of Brevestnik cruise missiles and the tips of subsonic cruise missiles from different countries
It appears to be a subsonic missile designed to be stealthy.
Since the nose tip is not so sharp, this missile does not appear to be aimed at a high velocity range exceeding Mach 1. It looks like the nose tip shape of a subsonic cruise missile.
Missiles with a similar tip shape include the U.S. AGM-158 JASSM, Russia's Kh-101, and the French and British Storm Shadow. All of these missiles are designed for subsonic cruising and, in addition, are designed to be stealthy.
The nose of the Brevestnik cruise missile has a triangular cross-section, which prevents vertical reflection of radar waves coming from the side. The front shape of the nose section, like the other missiles mentioned above, appears to be designed to be stealthy. If these images are to be believed, the Brevestnik cruise missile may have been designed as a subsonic cruise missile with some degree of stealth consciousness.
From this, we can assume that the Breveznik cruise missile is powered by a nuclear propelled jet engine (i.e., a turbojet engine or turbofan engine type nuclear propulsion engine) rather than a nuclear propelled ramjet engine. Even if nuclear power provided infinite range, the speed is unlikely to be much faster than the speed of sound.
During the Soviet era, Russia has experience in research and development of large nuclear propulsion turbojet engines for manned aircraft, but unlike the United States, Russia has not developed small nuclear propulsion ramjet engines for missiles. (Not in the public domain.)
This is one of the reasons why the nuclear propulsion jet engine was selected as the method of choice, although the scale of the propulsion system is different.
4-2.Thoughts on the Brevestnik cruise missile launch scene
Brevestnik cruise missile during booster burn
He's got a big booster in the belly of the fuselage.
(The bottom two are missing white smoke due to image analysis.)
The video of the test launch shows that it is a simple solid-fuel rocket booster held in the belly to accelerate the rocket and then switch to a nuclear engine. In contrast to this type of body, the large rocket booster held in the belly is supposed to be detached after engine start-up.
Test image from the cockpit of a Chaser
The video shows footage of the rocket booster "only" in operation, and footage from a manned aircraft is shown as a test chaser, but it only shows a scene with the booster's white smoke continuing through the clouds. (That is, when the booster is burning.)
The missile footage shown at the same time is also only an enlarged view of the booster flame and white smoke continuing. In other words, it can be concluded that the footage released to the public only shows images of the nuclear jet engines "not working" throughout.
5.Technical Challenges for Brevestnik Cruise Missiles
5-1.U.S. and Soviet nuclear propulsion jet engines that once existed.
Both the U.S. and the Soviet Union developed nuclear propulsion jet engines (nuclear propulsion turbojet engines) in the 1950s and 1960s.
Example of a nuclear-powered jet engine developed by GE in the United States: XNJ-140E
It was a nuclear jet engine with a beryllium oxide reactor
Maximum output 121MW, maximum dry weight 27.5 tons (4.4kW/kg)
In the United States, direct-cycle gas-cooled reactors, which were being studied at Los Alamos National Laboratory, evolved into research and development of various types of nuclear propulsion engines. The development of direct-cycle reactors (1951-1961) involved the development of three main propulsion systems: the nuclear propulsion turbojet engine, the nuclear ramjet engine, and the nuclear propulsion rocket engine. (SLAM is the nuclear ramjet engine.)
Two forms of nuclear-powered jet engines considered in the Soviet Union in 1956
The turbomachinery and shaft are rocker (top) and coaxial (bottom) types outside the reactor
The Soviet Union had a nuclear-powered propulsion jet engine program in existence at the same time as the United States, although publicly available information about the Soviet Union is more limited than that of the United States. There is no information that the Soviet Union had research and development of nuclear propelled ramjets such as the SLAM, while research and development of manned aircraft with nuclear propelled turbojets was underway.
The Myasishchev Design Bureau was developing nuclear propulsion jet engine-powered aircraft, such as the M-30, M-52, M-56K, M-60, etc. There is information that these reactors used molten metal coolants such as lithium and sodium to transfer heat from the reactors to the engines. The engines, on the other hand, were apparently cleverly built and were dual-engineered to run on "normal aviation fuel". (If aviation fuel was used, it appears to have been used with the reactor shut down.)
Unlike the SLAM nuclear ramjet engines, these nuclear jet engines were not directly cooled by air (primary cooling), but used air as a secondary coolant in a heat exchanger after primary cooling with lithium and sodium. In other words, it does not spew radioactive material directly.
The Brevestnik cruise missile is believed to have a nuclear-powered jet engine, but it is unclear whether it is the type of missile that spews radioactivity, as SLAM does, or the type of missile that doesn't spew secondary cooling, as the manned nuclear-powered jet engines do.
5-2.Technical issues of nuclear propulsion jet engines for missiles
More than half a century has passed since the United States and the Soviet Union stopped research and development of nuclear propulsion jet engines. However, if they try to develop a nuclear propulsion jet engine again, the technical challenges will still be the same factors as they were then, as described below.
Research and development at the time was aimed by the Soviet Union at mounting it on a large manned bomber, but the Brevestnik was a cruise missile, and there was also the challenge of "miniaturization".
1.Thermal control and thermal management technology
Missiles are smaller than airplanes, and the jet engines they can carry are also smaller. As a result, the air flow for cooling the nuclear reactor is low, so the challenge is how to cool it efficiently. How to efficiently heat the air and expand it to provide propulsion.
2.Heat-resistant material technology
The only way to deal with the parts that cannot be cooled is to deal with the heat resistance of the materials.
3.Small nuclear reactor technology
Miniaturization of reactors that can be mounted on missile-sized aircraft. Miniaturization of various other auxiliary equipment.
⇒ Air is a propellant and a coolant for the reactor. (It is unclear whether Brevestnik spits out radioactivity by direct cooling (primary cooling) like SLAM, or whether it is suppressed by secondary cooling), but there is a possibility that the cruising altitude may be limited due to the incoming air flow rate and air density.
6.What was the cause of the Brevestnik cruise missile accident? (Reasoning)
Please note that all of the following is an estimate and speculation.
On August 8, 2019, an explosion occurred at the navy's maritime test site near Nyonoksa in the northern Russian province of Arkhangelsk on August 8, 2019, killing five employees of the Russian nuclear company Rosatom, who were working on the experiment.
The incident was initially reported as "an explosion during a jet engine test" or "an explosion during a liquid fuel jet engine test". Later on, the details of the announcement, such as "isotope power source (battery)," were mixed, with experts and others suggesting that it was an attempt to hide the nuclear propulsion engine accident.
A few days later, the possibility that this was an accident during the development of the Brevestnik cruise missile has become stronger, but the details are confidential and have not been made public.
Some have suggested that the initial announcement may have been a lie, but due to a matter of wording, they may not have been lying about some of it. The reasons are as follows.
- The Brevestnik cruise missile is believed to be equipped with a nuclear propulsion jet engine (turbojet engine or turbofan engine). A jet engine is defined as a propulsion engine that draws in air from the outside to generate a jet stream, so the Russians can claim that the reports of a jet engine explosion during testing are not false.
- There is information that the Soviet Union had previously developed a nuclear-powered propulsion jet engine for a large bomber, which was a dual system that provided nuclear propulsion but also ran on "conventional aviation fuel". If the engines on the Brevestnik were dual type, then they could run on liquid fuel, so it would not be a lie for the Russians to claim that the "liquid fuel jet engine exploded".
- Also, if "liquid fuel" was used for the starter to start the engine, the Russians can claim that it is not a lie, because if you cut out part of the start-up, it could be called a "liquid fuel jet engine".
The cause of the accident has been announced in two or three different ways, and the truth is unknown, but I think a reasonable line is around "failure of the nuclear propulsion jet engine during ground operation".
In the third above, I mentioned the starter, but it is believed that the jet engine was launched from the rotating part of the jet engine and the reactor not yet started, using a solid fuel rocket booster. We assume that the nuclear propulsion jet engine would be started in the air. This supposition is based on the following reasons.
- Rather than exposing a nuclear reactor to the rapid acceleration of a rocket booster, it makes more sense to start the reactor after the acceleration has decreased.
- If the reactor is started on the ground and there is an accident inside or around the launcher, it will self-destruct, spreading radioactivity and preventing it from getting close to the launcher. For this reason, it is highly likely that the engines will be started after the launcher has been fired and at a distance. (Though in this case it did self-destruct...)
- The nuclear propulsion jet engines that the Soviets used to mount on manned aircraft required heavy metal shields to protect the crew from radiation generated during operation, and they were loaded with them. Would the shields, which became heavier and heavier as they were loaded, be placed inside a missile fuselage with no room to spare, and then shielded so that radiation would not be emitted from all sides of the reactor? Would we give that much thought to a disposable missile launched against an enemy? If the shielding is inadequate to save weight, then the act of starting the reactor without adequate ground conditions would be an act of exposure.
- If shielding is inadequate to save weight, the rocket booster would not only be an accelerator to get the jet engine to a predetermined speed at which it could be started, but it would also be a safety device necessary to start the reactor inside the engine in a safe zone far enough away from the Russian side.
(As an aside, given a missile approaching to intercept against Brevezstoke, could the radiation cause the electronics to malfunction if it approaches from a poorly shielded direction?)
And the sequence of nuclear propulsion jet engine start-up is considered to be as follows.
- The solid rocket booster accelerates the engine to a predetermined speed at which it can be started.
- A liquid fuel or other chemical agent starter starts the jet engine, and air is taken in to increase the speed to steady state.
- Start up the reactor, start air cooling and switch propulsion sources.
- Start of steady-state engine operation.
With regard to the above, if we cut out some of the start-up time, it could be said to be "testing a liquid fuel jet engine".
However, if the development of the Brevestnik cruise missile goes ahead, no matter what warhead this type of weapon carries, whether it hits the target or fails to fly, the small reactor called a "nuclear propulsion jet engine" will be slammed into the ground or sea surface. The result would be radioactive contamination, as was the case in this accident. Even without a warhead, this kind of missile would be a tricky weapon, a default dirty bomb.
7.Postscript: Small Reactor Structure and Liquid Fuel Starter Speculation
This article introduces the mechanism of the nuclear propulsion jet engine from the report of the US manned nuclear propulsion jet engine: XNJ140E, and explains the presumed reason why the liquid fuel was necessary.
XNJ140E used highly enriched uranium to achieve a small size high power reactor, which was not low in concentration like the large steam type reactors on the ground.
The fuel for the small reactor on XNJ140E consisted of beryllium oxide containing enriched uranium dioxide (~93% U235). The uranium dioxide was stabilized by yttrium oxide, a specification that limited the conversion of the uranium dioxide to higher oxidation states. The fuel surface was also coated with zirconium oxide. This coating prevented steam corrosion of the beryllium oxide. The maximum operating temperature of XNJ140E is 1388°C.
【Reference】
COMPREHENSHIVE TECHNICAL REPORT GE DIRECT AIR CYCLE AIRCRAFT NUCLEAR PROPULSION PROGRAM
https://www.osti.gov/opennet/servlets/purl/1048135.pdf
Because of its high cooling capacity (= high boiling point and specific heat capacity), lithium hydride, a liquid metal, was used as the coolant. Because of its high cooling capacity as a substance, it can remove heat from the reactor without excessively high refrigerant pressure and in a lightweight structure.
Russia's nuclear propulsion engines in the past also used lithium and sodium for primary cooling, as explained earlier, and for the reason that they had to have small, high-powered reactors of different sizes, I think it is highly likely that the configuration of enriched nuclear fuel plus liquid metal coolant was used in the engines of the Brevestnik cruise missiles as well.
And when starting up such a reactor, the coolant must be pre-heated (preheated) to above its melting point before starting up the engine, since the coolant is solid at room temperature. This means that a chemical agent is needed as a starter at start-up, and I wonder if it is possible that it was liquid fuel.
Of course, an air stream has to be pumped into the jet engine mechanism as a rotating machine as well as the small reactors. At start-up, a chemical agent as a starter for the gas generation is needed to generate the starting gas to increase the speed of the blades.
Thus, we believe that a starter is needed to start the entire nuclear propulsion jet engine system and that a liquid fuel may have been installed for this purpose.
8.Postscript: Cause of accident (Update:2020.09)
Alexei Likhachev, president of the state-run nuclear company Rosatom, said the five researchers who died were developing "new weapons" over an explosion at a missile test site in Russia's far northern Arkhangelsk province. He admitted that he would continue to conduct the tests after the explosion.
The accident took place on August 8 at a military facility in the Arctic Circle off the coast of the White Sea, but it was not until August 10, 2019, that authorities acknowledged it was a nuclear-related incident. They said the explosion caused a sharp increase in radiation levels.
Rosatom explained that officials were providing engineering and technical support for the missile's "radioisotope source". The explosion occurred when the fuel ignited while conducting missile tests at an offshore facility, and the blast blew several personnel out to sea, he said. These were not nuclear explosions, but rather explosions that occurred during missile engine testing, and the radioactive material used in the fuel was scattered around the area, Russian military officials explained to local residents.
There were two schools of thought among experts over the accident, one speculating that a small reactor in the engine of a nuclear-propelled cruise missile under development exploded, and the other that it was an accident of a "liquid-fueled propulsion system using radioactive isotopes," but, at least from the announcement, "the chemical liquid fuel caused the explosion and the nuclear part of the It was damaged by collateral damage. It fits the consistency of the idea.
References
[1] Ракета 9М730 / Крылатая ракета с ЯЭУ, http://militaryrussia.ru/blog/topic-895.html[2] ロシア軍施設で5人爆死 原子力推進式ミサイル実験で事故か,
https://www.bbc.com/japanese/49327600
[3] В "Росатоме" рассказали подробности взрыва при испытаниях ракеты,
https://ria.ru/20190810/1557375134.html
[4] "Росатом" объяснил радиационный скачок в Северодвинске,
https://rg.ru/2019/08/10/reg-szfo/radiacionnyj-skachok-v-severodvinske-poluchil-obiasnenie-v-rosatome.html
[5] 放射線量も上昇「ロシア爆発事故」を引き起こした「秘密兵器」実験, 小泉悠 2019年8月10日
https://www.fsight.jp/articles/-/45733
[6] ロシア軍施設で爆発事故、原子力推進巡航ミサイルの可能性, JSF, 2019/8/10(土) 23:58
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20190810-00137920/
[7] ロシア爆発、兵器用の小型原子炉開発に関連, 共同通信
https://this.kiji.is/533750027298817121?c=39550187727945729
[8] М-60. Атомный самолёт В.М. Мясищева
https://topwar.ru/77826-m-60-atomnyy-samolet-vm-myasischeva.html
[9] SOVİET TOP SECRET NUCLEAR AIRPLANE M-60,
https://www.akademiportal.com/soviet-top-secret-nuclear-airplane-m-60/
[10] SLAM, https://www.globalsecurity.org/wmd/systems/slam-pics.htm
[11] “Flyable” Reactors & Neutron Coupling,
http://www.holosgen.com/about-us-1-2/
[12] XNJ140E part 1, http://www.aerospaceprojectsreview.com/blog/?p=894
[13] XNJ140E part 2, http://www.aerospaceprojectsreview.com/blog/?p=903
[14] https://www.wikipedia.org/
[15] https://twitter.com/toughsf/status/1016013116067500032
[16] University of California Radiation Lab, Livermore site,
https://www.osti.gov/servlets/purl/4217328
[17] ロシアのミサイル実験中の爆発事故、放射性物質を使った動力源が関与,
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-13/PW5VFC6TTDS101
[18] Burya La-350, https://fas.org/nuke/guide/russia/icbm/burya.htm
[19] ミサイル実験場爆発事故で死亡した研究員ら、「新兵器」開発に従事 ロシア
誤字報告です。
返信削除誤:その技術課題は以下の様に今もなお当時と同じ物なものになると考えられる。
正:その技術課題は以下の様に今もなお当時と同じ様なものになると考えられる。
誤:放射線によって電子機器に誤作動が発生する可能性があのではないか?
正:放射線によって電子機器に誤作動が発生する可能性があるのではないか?