2022年12月14日水曜日

Space One スペースワン カイロスロケット打ち上げ能力推定2, Space One KAIROS rocket launch vehicle capability estimation 2

Space One スペースワン カイロスロケット打ち上げ能力推定2

Space One KAIROS rocket launch vehicle capability estimation 2




Update:2022.12.14

English Version


この記事では、前回の記事に引き続き、公表データより、スペースワンが和歌山県串本町から打ち上げを計画している、固体燃料ロケット:カイロス(KAIROS:Kii-based Advanced & Instant ROcket System)の構造、打ち上げ能力等を推定する。







     




       





1.Space Oneの新型固体燃料ロケット:カイロス(KAIROS)の外観情報




 


当日のNHKの報道



【参考資料】以前に開かれたシンポジウム動画(2020年11月08日)


このシンポジウムにおいて、KAIROSロケットに関する、以下の様な、外観情報が公開された。この様な、追加情報を加味して、KIROSロケットに関する能力推定を整理する。






2.KAIROS ロケットの寸法・構造の推定

2次元モデル、分解モデルとして、より詳細な情報が公開された。この情報を使って、寸法、構造の推定を行う。



カイロスロケット寸法推定


カイロスロケット 機体概要図


カイロスロケットの構造の寸法推定を上記に掲載する。3段式+4段目PBSのロケット構造であり、全体的に複合材が多用されている印象を受ける。CGの色合いだけから判断するが、第3段目は複合材のロケットモータケースを使用しており、構造重量低減を狙っている。第4段目と第3段目を連結する、ISA 3/PBS(3/PBS段間構造)も、外観から肉抜きがなされた、炭素系複合材である可能性が高い。




3.KAIROS ロケットモータ、推進系の情報整理


得られた画像から、寸法について割り出し、ロケットモータの諸元について、推定を行った。



カイロスロケット寸法推定


カイロスロケット ロケットモータ比較画像


画像の様に、カイロスロケットの外観から、ロケットモータは、全て2軸のリニアアクチュエータによって稼働するTVCを持っている。ノズルは、接続部分を金属ライナーとして、C/Cコンポジット剤等の複合材で造られた、可動式ノズルが装備されている様に見える。第3段目は、外観から複合材ロケットモータケースを使用しているが、恐らく、第2段目ロケットモータ、第1段目ロケットモータも、複合材ケースを使用していると考えるのが妥当である。


高性能にするなら全段CFRPロケットモータを採用するべきだが、製造コストを抑えるのであれば、金属ロケットモータの方が安いため、第1段目のみ金属ロケットモータにしてコストを抑えつつ、上段に力を注ぐ等の選択肢を取る等、トレードオフで、ハイブリッド構成にしている可能性もある。



【第1段 ロケットモータ】B-1 モータ

 ・全  長 約 8.34m(寸法推定)
 ・直  径 1.35m
 ・推  力 ?
 ・燃焼時間 ?


【第2段 ロケットモータ】B-2 モータ

 ・全  長 約 3.14m(寸法推定)
 ・直  径 1.35m
 ・推  力 ?
 ・燃焼時間 ?



【第3段 ロケットモータ】B-3 モータ

 ・全  長 約 1.8m(報道情報より), 推定寸法 1.76m
 ・直  径 1.35m(新聞記事より
 ・推  力 約9トン(最大推力)
 ・燃焼時間 70秒


【第4段 PBS】KAIROS PAM (Payload Assist Module?)

 ・方  式 1液式スラスタ?×3ユニット
 ・全  長 約?m
 ・直  径 m
 ・推  力 ?
 ・燃焼時間 ?




4.KAIROS 第4段目PBS、KAIROS PAM



カイロスロケットの第4段目PBS部


第4段目PBSとして、「KAIROS PAM」と呼ばれるユニットが搭載されている。PAMは、「Payload Assist Module」の略であろう。PAMは、タンク内部が分かれてない限り、1液式のスラスタとなっている。このスラスタは、PBSの演習120°毎に、合計3基搭載されており、これによって、ピッチ、ロール、ヨ―を制御するものと見られる。

参考までに、イプシロンロケットPBS(ヒドラジン1液式)との比較画像を下記に示す。



KAIROS PAMとイプシロンロケットPBSの比較


スラスタについては、画像情報より、細長いスラスタを利用しているため、IHIが公表している下記のグリーンプロペラントスラスタの様な形状のものを使用していると見られる。


KAIROS PAMとIHIのグリーンプロペラントスラスタ







References


[2] 宇宙シンポジウムin串本,

[4] 串本シンポジウム スライド,
[5] スペースワンパンフレット, 
[6] Pinot Propulsion Module Series, IHI







Continuing from the previous article, this article estimates the structure, launch capability, etc. of the solid-fuel rocket KAIROS (Kai-based Advanced & Instant Rocket System), which Space One plans to launch from Kushimoto-cho, Wakayama Prefecture, based on published data.






     




       





1.KAIROS rocket Information


On July 24, 2021, an event titled "Space Symposium in Kushimoto" was held. Such symposiums have been held several times in Kushimoto, Wakayama Prefecture, where the launch site is located. This time, too, the symposium was hosted by Wakayama Prefecture. (The registration page has already been removed.)


 


当日のNHKの報道



[Reference] Video of a previously held symposium (November 08, 2020)


The following additional information about the KAIROS launch vehicle was disclosed at the symposium. The following is a summary of the capability estimation for the KAIROS launch vehicle, taking into account such additional information.






2.Estimation of dimensions and structure of the KAIROS rocket

More detailed information is now available as a 2D model and a decomposition model. This information is used to estimate dimensions and structure.



Kairos rocket estimation



Kairos Rocket Outline Drawing


The Kairos rocket is a 3-stage + 4th stage PBS rocket structure, and the overall impression is that composite materials are used extensively, and judging from the CG coloring alone, the 3rd stage uses a composite rocket motor case to reduce structural weight. The ISA 3/PBS (3/PBS interstage structure), which connects the fourth and third stages, is also likely to be made of carbon-based composite material, which has been thinned from the outside.




3.KAIROS Rocket motor and propulsion system information


From the images obtained, we determined the dimensions and estimated the rocket motor specifications.



Kairos rocket estimation



Kairos rocket Rocket motor comparison image


From the appearance of the Kairos rocket, as shown in the image, the rocket motor has a TVC that is operated entirely by a 2-axis linear actuator. The nozzle appears to be equipped with a movable nozzle made of a composite material such as C/C composite with a metal liner at the connection. It is reasonable to assume that the second stage rocket motor and the first stage rocket motor are also made of composite material.

However, if the production cost is to be reduced, metal rocket motors are cheaper, so it is possible that a hybrid configuration is used as a trade-off, such as using metal rocket motors only for the first stage to reduce costs while focusing on the upper stage. The first stage may be a metal rocket motor to reduce cost.



[1st stage rocket motor] B-1 motor

 Length : approx. 8.34m (estimated dimensions)
 Diameter : 1.35m
 Thrust     : ?
 Burning time : ?


[Second stage rocket motor] B-2 motor

 Length : approx. 3.14m (estimated dimensions)
 Diameter : 1.35m
 Thrust : ?
 Burning time : ?


[3rd stage rocket motor] B-3 motor

 Length : approx. 1.8m (based on press information), 
                 estimated dimensions: 1.76m
 Diameter : 1.35m (from newspaper article)
 Thrust Approx. : 9 tons (maximum thrust)
 Burning time : 70 seconds


[4th stage PBS] KAIROS PAM (Payload Assist Module?)

 Method : 1-liquid thruster? ×3 units
 Length  : ?
 Diameter : ?
 Thrust : ?
 Burning time : ?




4.KAIROS 4th stage PBS、KAIROS PAM



4th stage PBS section of Kairos rocket


The fourth stage PBS is equipped with a unit called "KAIROS PAM" (PAM stands for "Payload Assist Module"), which is a single-component thruster unless the tank interior is divided. There are three thrusters mounted at every 120 degrees of the PBS maneuver, which are supposed to control the pitch, roll, and yaw of the rocket.

For reference, a comparison with the Epsilon launch vehicle PBS (hydrazine one-component type) is shown below.




Comparison of KAIROS PAM and Epsilon rocket PBS


As for the thruster, from the image information, it appears that IHI is using a green propellant thruster similar to the one shown below, as it utilizes a long and narrow thruster.


KAIROS PAM and IHI's Green Propellant Thruster


References


[2] 宇宙シンポジウムin串本,

[4] 串本シンポジウム スライド,
[5] スペースワンパンフレット, 
[6] Pinot Propulsion Module Series, IHI


2021年11月30日火曜日

日本のロケットエンジンマップ, Japan's Rocket Engine Map

日本のロケットエンジンマップ,  

Japan's Rocket Engine Map





Update:2021.11.30


Google Mapを用いて、日本中のロケットエンジンが見ることが出来るスポットの地図を作製した。




                






2.ロケットエンジン展示施設に関する特徴等


この地図は、日本全国のロケットエンジンが見れる場所をプロットしたものである。作成していて、以下の気づきを得たので、箇条書きで書き記す。

  • 大型ロケットエンジンは、LE-5とLE-7が多い。これは、H-2ロケット開発時に試験されたエンジニアリングモデルが全国の博物館等に貸与、配られたものだと考えられる。(H-3ロケット開発時のLE-9はどうなるのだろうか?)
  • 海外製ロケットエンジンは珍しく、数える程である。海外製ロケットエンジンは、JAXA種子島宇宙センターの非定常見学コース、静岡理工大学 静岡航空資料館(大阪 交通博物館からの移管)、コスモアイル羽咋、新潟市西蒲区 西川不動産倉庫(展示場) の私設博物館で見られる程度である。
  • 海外製ロケットエンジンの展示数が一番多いのは、新潟市西蒲区 西川不動産倉庫(展示場) の私設博物館である。 V-2 (A-4) ロケットエンジン 初期型、Rocketdyne LR105 ロケットエンジン 燃焼器 (Atlasロケット 第1段目)、Aerojet LR87 ロケットエンジン (Titan ロケット 第1段目)、Aerojet AJ10-137 ロケットエンジン (アポロ司令船SPSエンジン)を所有しており、大型ロケットエンジンの数量は、国内最大級であり、JAXA等の展示施設に引けを取らない充実度である。
  • 公的な博物館でも、ロケットエンジンの展示は数える程であり、大きな博物館でも展示されているエンジンの数は1基のことも多い。
  • このことから、1基のロケットエンジンがあるだけで、博物館を名乗ることができる。




2021年8月13日金曜日

X-1 X-15のXLR11 ロケットエンジン ターボポンプ, XLR11 Rocket Engine Turbopump Reaction Motors for X-1/X-15 rocket plane

X-1 X-15のXLR11 ロケットエンジン ターボポンプ,
XLR11 Rocket Engine Turbopump Reaction Motors for X-1/X-15 rocket plane





Update:2021.08.13



人類発の有人音速飛行を達成したX-1、宇宙空間まで到達できる有人ロケット飛行機のX-15には、リアクションモーターズ製XLR11ロケットエンジンが搭載されていた。XLR11ロケットエンジンのターボポンプのカットモデルに関して、記事を掲載する。


【関連記事】




    





1. Reaction Motors XLR11


Reaction Motors XLR11(正式名称。「XLR-11」と書く文献もあるが、正式名称では、ダッシュは不要)または、LR11は、人類発の有人音速飛行を達成したX-1、宇宙空間まで到達できる有人ロケット飛行機のX-15に搭載されたロケットエンジンである。X-15には、正式なロケットエンジンである、XLR99を搭載までのつなぎとして、XLR11が2機搭載されていた。

LOX/75%アルコールを推進剤としており、アルコールで再生冷却される4つの燃焼室を有している。推力の出力変更は、燃焼室を個別に運転、停止することで行う。推進剤の種類と構成は、V-2ロケットと同等である。

XLR11-RM-1は、エンジンを作動させるために、窒素加圧された。XLR11-RM-3はヘリウム加圧、XLR-11-RM-5は水素加圧である。X-1に搭載された、XLR11-RM-5は、推力26.67kNであり、推進剤供給をターボポンプで行った。D-558-2 ダグラススカイロケットのブースタとしても使用されており、この時の名称は、XLR8-RM-5と呼ばれていた。





X-15に搭載された、XLR11 ロケットエンジン

それぞれのロケットエンジンの左下にターボポンプの排気管が確認できる(左図)



XLR11は、人が乗るロケット航空機に搭載されるロケットエンジンのため、信頼性に配慮した設計となっている。推進剤である、LOX/アルコールは、大きな毒性もなく、比較的扱いやすい。LOX/ケロシンと比べて、比推力は低くなるが、XLR11は、再生冷却流路を持ったロケットエンジンであり、オーバーホールして再使用することを考えると、航空機の整備や運用において、コーキングの心配がない点は利点である。

これは、1960年代までの米国製ロケットエンジンにおいて、航空機用途、再使用が可能、再生冷却方式のロケットエンジンには、ケロシンの使用が避けられている理由と考えられる。X-15が後に搭載した、XLR99ロケットエンジンの推進剤は、LOX/アンモニアという珍しい推進剤組み合わせを採用しているが、この理由は、再使用する前提に立ち、再生冷却流路やインジェクターへのコーキングが無い利点を優先したと筆者は推測する。




X-15に搭載された、XLR11とXLR99




XLR11の再生冷却燃焼室のカットモデル



日本においても、XLR11の展示を見ることができる。かつては、XLR11は、大阪の交通科学博物館で展示されていたが、2014年4月の閉館に伴い、静岡理工科大学・航空資料館に移管された。



大阪交通科学博物館から静岡理工大学へ移管された
XLR11-RM-5ロケットエンジン





2. XLR11ロケットエンジン ターボポンプのカットモデル







XLR11のターボポンプは外観から目視しづらいが、珍しいカットモデルの写真を手に入れたので、上記に記載する。



XLR11ロケットエンジン ターボポンプ 諸元


サイクル:ガス発生サイクル
駆動ガス:過酸化水素(90%)
回転数:12240rpm
燃料流量:132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
     305PSI 昇圧, 2.1MPa 昇圧 
酸化剤流量:132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
        275PSI 昇圧, 1.9MPa 昇圧


また、エドワーズ空軍基地に展示されているXLR11ターボポンプの画像を以下に示す。





References

[3] Rocket Power for X-15,
[4] Tag Archives: Reaction Motors XLR11-RM-5
[5] 静岡理工科大学・航空資料館を見に行ってきた,
     https://mataari250r.hatenablog.com/entry/2018/03/03/070000
[6] 静岡航空資料館に行ってきた話 その3【2018/3/7】,
[7] XLR-11 Operating Cycle, 






    








English Version







The X-1, the first manned sonic flight, and the X-15, a manned rocket plane capable of reaching outer space, were powered by Reaction Motors' XLR11 rocket engine, which is a cutaway model of the XLR11 rocket engine turbopump.


【Related Articles】






1. Reaction Motors XLR11


Reaction Motors XLR11 (some references refer to it as "XLR-11", but the official name does not require a dash) or LR11 was the rocket engine installed in the X-1, the first manned sonic flight, and the X-15, a manned rocket plane capable of reaching outer space. The X-15 was equipped with two XLR11s as a stopgap until the XLR99, the official rocket engine, could be installed.

It uses LOX/75% alcohol as propellant, and has four combustion chambers regenerated and cooled by alcohol. The thrust output is changed by operating and shutting down the combustion chambers individually. The propellant type and configuration are the same as those of the V-2 rocket.

The XLR11-RM-1 was nitrogen pressurized to operate the engine, XLR11-RM-3 was helium pressurized, and XLR-11-RM-5 was hydrogen pressurized. The XLR11-RM-5 on X-1 had a thrust of 26.67 kN, and propellant was supplied by a turbopump. The XLR11-RM-5 was also used as a booster for the Douglas Skyrocket, and was called the XLR8-RM-5 at that time.






XLR11 rocket engine installed on the X-15.

The turbopump exhaust pipe can be seen on the lower left of each rocket engine (left)



The XLR11 is designed with reliability in mind, as it is a rocket engine that will be installed in a human rocket aircraft. The propellant, LOX/alcohol, is not highly toxic and is relatively easy to handle; although the specific impulse is lower than that of LOX/kerosin, the XLR11 is a rocket engine with a regenerative cooling channel, which is an advantage in aircraft maintenance and operation, considering that it can be overhauled and reused without worrying about coking. The XLR11 is a rocket engine with regenerative cooling channels.

This may be the reason why kerosene was not used for reusable, regenerative cooling rocket engines for aircraft applications until the 1960s. The reason for the use of kerosene in the XLR99 rocket engine, which was later installed in the X-15, is that it was designed to be reused, and the advantage of no coking of the regenerative cooling channels and injectors was given priority.





XLR11 and XLR99 on the X-15




Cutaway model of regenerative cooled combustion chamber XLR11


In Japan, the XLR11 can be seen on display. The XLR11 used to be on display at the Transportation Museum in Osaka, but was transferred to the Shizuoka University of Science and Technology Aviation Museum when the museum closed in April 2014.



XLR11-RM-5 rocket engine transferred from Osaka Transportation Museum to Science to Shizuoka University of Science and Technology




2. Cutaway model of XLR11 rocket engine turbo pump







The XLR11 turbopump is difficult to visualize from the outside, but have obtained a photo of a rare cutaway model, which is described above.




XLR11 Rocket Engine Turbo Pump Specifications


Cycle: Gas Generation Cycle
Gas: Hydrogen Peroxide (90%)
Rotation Speed: 12240 rpm
Fuel Flow: 132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
     305 PSI pressure increase, 2.1 MPa pressure increase 
Oxidizer flow rate: 132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
        275 PSI pressure increase, 1.9 MPa pressure increase



Also shown below is an image of the XLR11 turbopump on display at Edwards Air Force Base.





References

[3] Rocket Power for X-15,
[4] Tag Archives: Reaction Motors XLR11-RM-5
[5] 静岡理工科大学・航空資料館を見に行ってきた,
     https://mataari250r.hatenablog.com/entry/2018/03/03/070000
[6] 静岡航空資料館に行ってきた話 その3【2018/3/7】,
[7] XLR-11 Operating Cycle,