2021年11月30日火曜日

日本のロケットエンジンマップ, Japan's Rocket Engine Map

日本のロケットエンジンマップ,  

Japan's Rocket Engine Map





Update:2021.11.30


Google Mapを用いて、日本中のロケットエンジンが見ることが出来るスポットの地図を作製した。




                






2.ロケットエンジン展示施設に関する特徴等


この地図は、日本全国のロケットエンジンが見れる場所をプロットしたものである。作成していて、以下の気づきを得たので、箇条書きで書き記す。

  • 大型ロケットエンジンは、LE-5とLE-7が多い。これは、H-2ロケット開発時に試験されたエンジニアリングモデルが全国の博物館等に貸与、配られたものだと考えられる。(H-3ロケット開発時のLE-9はどうなるのだろうか?)
  • 海外製ロケットエンジンは珍しく、数える程である。海外製ロケットエンジンは、JAXA種子島宇宙センターの非定常見学コース、静岡理工大学 静岡航空資料館(大阪 交通博物館からの移管)、コスモアイル羽咋、新潟市西蒲区 西川不動産倉庫(展示場) の私設博物館で見られる程度である。
  • 海外製ロケットエンジンの展示数が一番多いのは、新潟市西蒲区 西川不動産倉庫(展示場) の私設博物館である。 V-2 (A-4) ロケットエンジン 初期型、Rocketdyne LR105 ロケットエンジン 燃焼器 (Atlasロケット 第1段目)、Aerojet LR87 ロケットエンジン (Titan ロケット 第1段目)、Aerojet AJ10-137 ロケットエンジン (アポロ司令船SPSエンジン)を所有しており、大型ロケットエンジンの数量は、国内最大級であり、JAXA等の展示施設に引けを取らない充実度である。
  • 公的な博物館でも、ロケットエンジンの展示は数える程であり、大きな博物館でも展示されているエンジンの数は1基のことも多い。
  • このことから、1基のロケットエンジンがあるだけで、博物館を名乗ることができる。




2021年8月13日金曜日

X-1 X-15のXLR11 ロケットエンジン ターボポンプ, XLR11 Rocket Engine Turbopump Reaction Motors for X-1/X-15 rocket plane

X-1 X-15のXLR11 ロケットエンジン ターボポンプ,
XLR11 Rocket Engine Turbopump Reaction Motors for X-1/X-15 rocket plane





Update:2021.08.13



人類発の有人音速飛行を達成したX-1、宇宙空間まで到達できる有人ロケット飛行機のX-15には、リアクションモーターズ製XLR11ロケットエンジンが搭載されていた。XLR11ロケットエンジンのターボポンプのカットモデルに関して、記事を掲載する。


【関連記事】




    





1. Reaction Motors XLR11


Reaction Motors XLR11(正式名称。「XLR-11」と書く文献もあるが、正式名称では、ダッシュは不要)または、LR11は、人類発の有人音速飛行を達成したX-1、宇宙空間まで到達できる有人ロケット飛行機のX-15に搭載されたロケットエンジンである。X-15には、正式なロケットエンジンである、XLR99を搭載までのつなぎとして、XLR11が2機搭載されていた。

LOX/75%アルコールを推進剤としており、アルコールで再生冷却される4つの燃焼室を有している。推力の出力変更は、燃焼室を個別に運転、停止することで行う。推進剤の種類と構成は、V-2ロケットと同等である。

XLR11-RM-1は、エンジンを作動させるために、窒素加圧された。XLR11-RM-3はヘリウム加圧、XLR-11-RM-5は水素加圧である。X-1に搭載された、XLR11-RM-5は、推力26.67kNであり、推進剤供給をターボポンプで行った。D-558-2 ダグラススカイロケットのブースタとしても使用されており、この時の名称は、XLR8-RM-5と呼ばれていた。





X-15に搭載された、XLR11 ロケットエンジン

それぞれのロケットエンジンの左下にターボポンプの排気管が確認できる(左図)



XLR11は、人が乗るロケット航空機に搭載されるロケットエンジンのため、信頼性に配慮した設計となっている。推進剤である、LOX/アルコールは、大きな毒性もなく、比較的扱いやすい。LOX/ケロシンと比べて、比推力は低くなるが、XLR11は、再生冷却流路を持ったロケットエンジンであり、オーバーホールして再使用することを考えると、航空機の整備や運用において、コーキングの心配がない点は利点である。

これは、1960年代までの米国製ロケットエンジンにおいて、航空機用途、再使用が可能、再生冷却方式のロケットエンジンには、ケロシンの使用が避けられている理由と考えられる。X-15が後に搭載した、XLR99ロケットエンジンの推進剤は、LOX/アンモニアという珍しい推進剤組み合わせを採用しているが、この理由は、再使用する前提に立ち、再生冷却流路やインジェクターへのコーキングが無い利点を優先したと筆者は推測する。




X-15に搭載された、XLR11とXLR99




XLR11の再生冷却燃焼室のカットモデル



日本においても、XLR11の展示を見ることができる。かつては、XLR11は、大阪の交通科学博物館で展示されていたが、2014年4月の閉館に伴い、静岡理工科大学・航空資料館に移管された。



大阪交通科学博物館から静岡理工大学へ移管された
XLR11-RM-5ロケットエンジン





2. XLR11ロケットエンジン ターボポンプのカットモデル







XLR11のターボポンプは外観から目視しづらいが、珍しいカットモデルの写真を手に入れたので、上記に記載する。



XLR11ロケットエンジン ターボポンプ 諸元


サイクル:ガス発生サイクル
駆動ガス:過酸化水素(90%)
回転数:12240rpm
燃料流量:132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
     305PSI 昇圧, 2.1MPa 昇圧 
酸化剤流量:132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
        275PSI 昇圧, 1.9MPa 昇圧


また、エドワーズ空軍基地に展示されているXLR11ターボポンプの画像を以下に示す。





References

[3] Rocket Power for X-15,
[4] Tag Archives: Reaction Motors XLR11-RM-5
[5] 静岡理工科大学・航空資料館を見に行ってきた,
     https://mataari250r.hatenablog.com/entry/2018/03/03/070000
[6] 静岡航空資料館に行ってきた話 その3【2018/3/7】,
[7] XLR-11 Operating Cycle, 






    








English Version







The X-1, the first manned sonic flight, and the X-15, a manned rocket plane capable of reaching outer space, were powered by Reaction Motors' XLR11 rocket engine, which is a cutaway model of the XLR11 rocket engine turbopump.


【Related Articles】






1. Reaction Motors XLR11


Reaction Motors XLR11 (some references refer to it as "XLR-11", but the official name does not require a dash) or LR11 was the rocket engine installed in the X-1, the first manned sonic flight, and the X-15, a manned rocket plane capable of reaching outer space. The X-15 was equipped with two XLR11s as a stopgap until the XLR99, the official rocket engine, could be installed.

It uses LOX/75% alcohol as propellant, and has four combustion chambers regenerated and cooled by alcohol. The thrust output is changed by operating and shutting down the combustion chambers individually. The propellant type and configuration are the same as those of the V-2 rocket.

The XLR11-RM-1 was nitrogen pressurized to operate the engine, XLR11-RM-3 was helium pressurized, and XLR-11-RM-5 was hydrogen pressurized. The XLR11-RM-5 on X-1 had a thrust of 26.67 kN, and propellant was supplied by a turbopump. The XLR11-RM-5 was also used as a booster for the Douglas Skyrocket, and was called the XLR8-RM-5 at that time.






XLR11 rocket engine installed on the X-15.

The turbopump exhaust pipe can be seen on the lower left of each rocket engine (left)



The XLR11 is designed with reliability in mind, as it is a rocket engine that will be installed in a human rocket aircraft. The propellant, LOX/alcohol, is not highly toxic and is relatively easy to handle; although the specific impulse is lower than that of LOX/kerosin, the XLR11 is a rocket engine with a regenerative cooling channel, which is an advantage in aircraft maintenance and operation, considering that it can be overhauled and reused without worrying about coking. The XLR11 is a rocket engine with regenerative cooling channels.

This may be the reason why kerosene was not used for reusable, regenerative cooling rocket engines for aircraft applications until the 1960s. The reason for the use of kerosene in the XLR99 rocket engine, which was later installed in the X-15, is that it was designed to be reused, and the advantage of no coking of the regenerative cooling channels and injectors was given priority.





XLR11 and XLR99 on the X-15




Cutaway model of regenerative cooled combustion chamber XLR11


In Japan, the XLR11 can be seen on display. The XLR11 used to be on display at the Transportation Museum in Osaka, but was transferred to the Shizuoka University of Science and Technology Aviation Museum when the museum closed in April 2014.



XLR11-RM-5 rocket engine transferred from Osaka Transportation Museum to Science to Shizuoka University of Science and Technology




2. Cutaway model of XLR11 rocket engine turbo pump







The XLR11 turbopump is difficult to visualize from the outside, but have obtained a photo of a rare cutaway model, which is described above.




XLR11 Rocket Engine Turbo Pump Specifications


Cycle: Gas Generation Cycle
Gas: Hydrogen Peroxide (90%)
Rotation Speed: 12240 rpm
Fuel Flow: 132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
     305 PSI pressure increase, 2.1 MPa pressure increase 
Oxidizer flow rate: 132 GPM (gallons per minute), 499.68 L/min
        275 PSI pressure increase, 1.9 MPa pressure increase



Also shown below is an image of the XLR11 turbopump on display at Edwards Air Force Base.





References

[3] Rocket Power for X-15,
[4] Tag Archives: Reaction Motors XLR11-RM-5
[5] 静岡理工科大学・航空資料館を見に行ってきた,
     https://mataari250r.hatenablog.com/entry/2018/03/03/070000
[6] 静岡航空資料館に行ってきた話 その3【2018/3/7】,
[7] XLR-11 Operating Cycle, 

2021年8月10日火曜日

Boeing Hyfly2 極超音速ミサイル コンセプト, Boeing Hyfly2 hypersonic missile concept

Boeing Hyfly2 極超音速ミサイル コンセプト, Boeing Hyfly2 hypersonic missile concept










Naval Newsによると、ワシントンD.C.近くで開催された、Sea Air Space 2021において、ボーイングが、艦載戦闘機用の極超音速ミサイル:Hyfly2のコンセプト図を発表した。X-51A以降、ボーイングは、ロッキードマーチンとレイセオンに敗れていたが、Hyfly2で巻き返しを図る模様である。





              






1. Sea Air Space 2021で発表されたコンセプト図


Naval Newsによると、ワシントンD.C.近くで開催された、Sea Air Space 2021において、ボーイングが、艦載戦闘機用の極超音速ミサイル:Hyfly2のコンセプト図を発表した。




Hyfly2のコンセプト図


ボーイングは、将来の極超音速巡航ミサイルの設計と投資を継続しており、Aviation Weekの別記事によると、米国国防総省はボーイングを競争に参加させ、マッハ6のHyFly2プログラムを実施しており、DCR(Dual Combustion Ramjet)の予備設計レビューと地上試験に資金を提供している。

2000年代のHyfly、2010年代初頭のX-51Aの研究開発実績において、ボーイングは、スクラムジェット搭載型ミサイルの開発において、米国の企業でトップを走っていた。しかしながら、2010年代中盤以降、極超音速ミサイル分野、スクラムジェット搭載型ミサイルの受注において、ロッキードマーチンとレイセオンに米軍との契約及び競争で敗れていた。ボーイングは、Hyfly2で巻き返しを図る模様である。




2. Hyfly2の特徴








Hyfly2は、Hyflyと同様に、2段燃焼ラムジェット(DCR:Dual Combustion Ramjet)とされる。Hyflyに搭載されているスエンジンに詳しい解説は、以前の記事で以下で解説をしているので、参照して貰いたい。




  

Hyflyの断面図とDCR


これは、ラムジェットエンジンとスクラムジェットエンジンを組み合わせたハイブリッド型のエンジンであり、APLで1970年代に示されたコンセプトである。ラムジェット/スクラムジェットエンジンを組み合わせる事で、より幅広い速度領域でのエンジン作動を可能とする。Hyfly計画においては、巡航速度マッハ6を想定して開発が進められていた。Hyfly2計画でも、マッハ6を想定しており、Hyflyの改良版を搭載すると見られる。



Hyfly2とHyfly・X-51Aとの比較


コンセプト図からは、後方にHyflyから受け継がれた、円形ノズル、X型の操舵翼を確認することができる。

一方で、インレット部分は、X-51Aと同じく、たった1つの2次元インレットとなっている。また、X-51Aの様に、衝撃波を受けて揚力を増すために、インレット横側から切り込みが入った、ウェブライダー形状の特徴を有している。これらのことから、HyflyとX-51Aを組み合わせたコンセプトだということが分かる。

Hyflyは2000年代、X-51Aは2010年代初頭に、空中発射試験を実施している。X-51Aはスクラムジェットエンジンによる動力飛行を達成したが、Hyflyでは失敗して計画は中止されている。これは推測だが、インレットが正常に作動するのは、X-51Aの2次元インレット方式が優れており、超音速燃焼を維持するための燃焼方式は、DCRが優れていたということではないだろうか。

DCRを実現するために、Hyflyではラムジェット用のインレット、そして2段燃焼としてスクラムジェット燃焼用のインレットは分かれて先端に配置されていた。しかし、Hyfly2のコンセプト図では、X-51Aの様に、インレットが1つしかなく、この形状でDCR燃焼を達成するためには、インレット内部で、ラムジェット用、スクラムジェット用の2つの流路に分かれていると見られる。




3. Aerojet Rocketdyneは、ロッキードマーチンに買収された


ただし、ボーイング側として、DCRを選ばなくてはならない事情があった可能性もある。X-51Aの研究開発計画では、当時の Pratt & Whitney Rocketdyne(現 Aerojet Rocketdyne)が、X-51Aに搭載される、SJX61/SJY61 スクラムジェットエンジンの開発を担当した。



SJX61/SJY61 スクラムジェットエンジン


米国初期の宇宙計画~スペースシャトルまで、老舗のロケットエンジンメーカー、ミサイル推進装置のメーカーである、AerojetとRocketdyneは、2013年に合併して、Aerojet Rocketdyneとなった。ところが、この唯一無二のメーカーを、2020年12月にロッキードマーチンが買収したのである。このため、ボーイングは直接競合するロッキードマーチン傘下のAerojet Rocketdyneをベンダーとして使えないのかもしれない。


SR-72といった開発中である大型のスクラムジェットエンジン搭載航空機についても、Aerojet Rocketdyneがエンジンの一部を担当していると見られる。現在、様々な米軍の極超音速ミサイル開発計画が存在するが、事業の契約数において、ロッキードマーチンは他社を抜き、独走を走り続けている状況だ。



References


[4] 中国の極超音速ミサイル, スクラムジェットエンジン・中国版Hyfly ミサイル:Lingyun-1(凌雲1), Chinese hypersonic missile, scramjet engine missile, Chinese Hyfly missile : Lingyun-1 hypersonic missile, http://orbitseals.blogspot.com/2018/07/hyfly-chinese-hypersonic-scramjet.html
[5] Lockheed Martin inks $4.4 billion deal to acquire Aerojet Rocketdyne, https://www.reuters.com/article/us-aerojet-m-a-lockheed-idUSKBN28U0Z7
[6] X-51A SCRAMJET DEMONSTRATOR PROGRAM: WAVERIDER GROUND AND FLIGHT TEST, https://apps.dtic.mil/sti/pdfs/ADA593742.pdf











According to Naval News, at Sea Air Space 2021 held near Washington D.C., Boeing presented concept drawing of Hyfly2, a hypersonic missile for use carrier-based fighter aircraft. Boeing has been losing ground to Lockheed Martin and Raytheon since the X-51A, but with the Hyfly2, it seems to be trying to get back on track.




1. Conceptual drawing presented at Sea Air Space 2021



According to Naval News, at Sea Air Space 2021 held near Washington D.C., Boeing presented concept drawing of Hyfly2, a hypersonic missile for use carrier-based fighter aircraft. 




Hyfly2 concept drawing


Boeing continues to design and invest in future hypersonic cruise missiles, and according to another article in Aviation Week, the U.S. Department of Defense has brought Boeing into the competition with its Mach 6 HyFly2 program, funding preliminary design reviews and ground testing of the DCR (Dual Combustion Ramjet).

In its R&D performance with Hyfly in the 2000s and X-51A in the early 2010s, Boeing was the leading U.S. company in the development of scramjet-powered missiles. However, since the mid-2010s, Boeing has been losing contracts and competition for U.S. military contracts to Lockheed Martin and Raytheon in the hypersonic missile field and for orders for scramjet-equipped missiles. Boeing seems to be trying to regain its footing with the Hyfly2.




2. Features of Hyfly2







The Hyfly2, like the Hyfly, is a Dual Combustion Ramjet (DCR), and a detailed description of the engines used in the Hyfly is given in a previous article below.







  

Hyfly cross section and DCR


The Hyfly is a hybrid engine that combines a ramjet engine and a scramjet engine, a concept that was shown at APL in the 1970s. The Hyfly project was developed assuming a cruise speed of Mach 6, and the Hyfly2 project also assumes Mach 6, and is expected to be equipped with an improved version of the Hyfly. The Hyfly2 project also assumes Mach 6 and is expected to carry an improved version of Hyfly.




Comparison between Hyfly2 and Hyfly/X-51A




From the concept drawing, we can see the circular nozzle and the X-shaped steering wing inherited from Hyfly at the rear.

On the other hand, the inlet section is a single two-dimensional inlet, just like the X-51A. Also, like the X-51A, it has the characteristic of a web rider shape with a cut from the side of the inlet to increase lift under shock waves. From this, we can see that the concept is a combination of Hyfly and X-51A.

The Hyfly and X-51A have been tested for air launch in the 2000s and early 2010s, respectively; the X-51A achieved powered flight with a scramjet engine, but the Hyfly failed and the project was cancelled. This is just a guess, but it may mean that the X-51A's two-dimensional inlet system was superior to the X-51A's in order for the inlet to work properly, and the DCR was superior to the X-51A's combustion system for maintaining supersonic combustion.

In order to achieve DCR, the inlet for ramjet combustion and the inlet for scramjet combustion were separated and placed at the tip of the Hyfly. However, the concept drawing of Hyfly2 has only one inlet like the X-51A, and in order to achieve DCR combustion with this shape, it is expected that the inlet will be divided into two channels, one for ramjet and one for scramjet.




3. Aerojet Rocketdyne was acquired by Lockheed Martin


In the R&D program for the X-51A, Pratt & Whitney Rocketdyne (now Aerojet Rocketdyne) was in charge of developing the SJX61/SJY61 scramjet engine to be installed in the X-51A. (now Aerojet Rocketdyne) was responsible for the development of the SJX61/SJY61 scramjet engines to be installed in the X-51A.




SJX61/SJY61 Scramjet Engine



Aerojet and Rocketdyne, long-established manufacturers of rocket engines and missile propulsion systems from the early U.S. space program to the space shuttle, merged in 2013 to become Aerojet Rocketdyne. However, this one and only manufacturer was acquired by Lockheed Martin in December 2020. As a result, Boeing may not be able to use Aerojet Rocketdyne, a direct competitor under Lockheed Martin, as a vendor.

Aerojet Rocketdyne is also believed to be responsible for some of the engines for the large scramjet-powered aircraft that are under development, such as the SR-72. Although there are various US military programs to develop hypersonic missiles, Lockheed Martin has surpassed its competitors in the number of contracts and continues to lead the pack.




References


[4] 中国の極超音速ミサイル, スクラムジェットエンジン・中国版Hyfly ミサイル:Lingyun-1(凌雲1), Chinese hypersonic missile, scramjet engine missile, Chinese Hyfly missile : Lingyun-1 hypersonic missile, http://orbitseals.blogspot.com/2018/07/hyfly-chinese-hypersonic-scramjet.html
[5] Lockheed Martin inks $4.4 billion deal to acquire Aerojet Rocketdyne, https://www.reuters.com/article/us-aerojet-m-a-lockheed-idUSKBN28U0Z7
[6] X-51A SCRAMJET DEMONSTRATOR PROGRAM: WAVERIDER GROUND AND FLIGHT TEST, https://apps.dtic.mil/sti/pdfs/ADA593742.pdf




              



2021年8月6日金曜日

Space One スペースワン カイロスロケット打ち上げ能力推定, キヤノン電子×IHIエアロスペース, Space One KAIROS rocket launch vehicle capability estimation, Canon Electronics x IHI Aerospace

Space One スペースワン カイロスロケット打ち上げ能力推定, キヤノン電子×IHIエアロスペース
Space One KAIROS rocket launch vehicle capability estimation, Canon Electronics x IHI Aerospace






Update:2021.08.07

English Version


※追加情報あったため、後日追記、または新しい記事を書きます。


この記事では、外観図や公表データより、スペースワンが和歌山県串本町から打ち上げを計画している、固体燃料ロケット:カイロス(KAIROS:Kii-based Advanced & Instant ROcket System)の打ち上げ能力を推定する。

※この推定を行ったのは、2020年6月であるため、ロケット直径φ1.4mとして推定している。後日情報として、φ1.35mという情報が、2021年7月に新聞記事により明らかになった。





     


キャノンの一眼レフカメラは最高です。皆さん買いましょう(唐突な宣伝)






      








1.外見情報が公開されたSpace Oneの新型固体燃料ロケット:カイロス(KAIROS)








スペースワン!スペースワン!・・・ワワワン・・・ワワワワ・・・ワワワワワワワ・・・ワワワン・・・ワワワワ・・・ワ♂ワ♂ワ♂ワ♂ワ♂ワ♂ワ♂ワ♂ワン(戌年:2018年)

という訳で、2018年は戌年でしたよね。(記事に全く関係ない)


キヤノン電子は、小型ロケット打ち上げ事業を推進する「スペースワン(SPACE ONE)」を共同出資のもと設立したと2018年に発表した。キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行の4社よって設立されたスペースワンは、専用の小型ロケットと射場を用意することで世界最短の契約から打ち上げまでの期間と、世界最高頻度の打ち上げを目指し、2021年の事業化を目指している。

これまで、ロケット開発実態は謎に包まれており、推進系はIHIエアロスペースが担当するものと思われるが、スペックとしては以下の情報のみが公開されている。




【Space One のカイロスロケット性能 公開情報】
・全長 約18m
・重量 約23トン
・直径 1.35m(新聞記事より
・固体燃料3段式ロケット+軌道変更用液体推進系(PBS)
・衛星の軌道投入能力
    地球低軌道 :250kg(軌道傾斜角 33 度,高度 500km)
    太陽同期軌道:150kg(軌道傾斜角 97 度,高度 500km)





2019年8月に和歌山県串本町の説明会で行われたプレゼン資料の中には、ロケットの外見が掲載されていたが、そのスライドの画像等は、ネットを介して一般には公開されていなかった。しかし、令和2年1月15日(水曜日)に文部科学省で開催された、





にて、一般に公開されたため、その外観図や公表データ等から、本記事では、Space Oneが和歌山県串本町から打ち上げを計画している、カイロスロケットの打ち上げ能力を推定した。




2.Space One  カイロスロケット構造把握と構造推定




文部科学省経由で公開されたSpace Oneのロケット外観図


まず、ロケットの構造を推定するために、公開された「ロケット機体概要」と公式Webサイトに掲載されている衛星ペイロードの寸法情報より、ロケットの内部について推定を行った。






2-1.衛星ペイロードスペースの寸法





Space One 公式サイトのペイロードスペースの寸法画像と
縮尺・アスペクト比を正しく修正した画像比較


まず、衛星ペイロードスペースについての寸法を把握した。参考にしたのは、Space Oneの公式Webサイトに掲載されている、「スペースワン公式サイト ペイロード打上能力資料」である。この資料は、ペイロードスペースの寸法、縮尺やアスペクト比は計測した所、間違っていたため、上記に掲載する図の様に修正をかけた。

右が公式Webサイト画像、左が筆者が修正した正しい縮尺比率の画像。外部公開資料の寸法が間違っているのはワザやっているのか、それとも適当なだけなのかは分からない。実際、寸法さえ示せば問題ないが、やはり衛星打上げ企業としては、しっかり資料を実態に合わせたものにした方が良いのではないか。






2-2.Space One KAIROSロケット構造寸法推定


公開された資料が正しい物だと仮定し、画像からトレースを行い、ロケットの外部・内部の寸法について把握した。

参考にしたのは以下の資料である。

そもそも公開された機体に関する情報は、1枚絵しかなく、詳細な正確さは不明である。また、公開されているスペックも重量は、「約」23t、全長は18mと、ざっくりである。

そして、公開されたロケットの概要図は、CG概要図であり、観測視点は、ロケット機体を中心側面から見た図と見られる。(よく見ると分かるが、ノズルやフェアリングに角度が付いている)したがって、機体の側面投影を正確に表現した図ではなく、中心から離れる程、誤差が大きくなる。大体1°程度の誤差がある。従って、これから記述するのは、ある程度ざっくりの推定になる事を事前にご理解頂きたい。

概要図から、ロケットの大きさを、Space Oneが公開している全長18mジャストと仮定した。四捨五入で数値公開しているだろうから、約18m → 18m±0.5m程度の誤差があるということだ。その上で、CGの段間部等を考慮して、以下の様に構造を推定した。

3段式+PBS(ポストブーストステージ)構成の直径約1.4m程度の機体となるはずである。

新聞記事にて、直径1.35mであると、2021年7月に公開されたが、この推定はおおむね正しかった様である。



Space Oneのロケット構造寸法推定図




M-V 4号機、強化型イプシロンロケットとの大きさ、構造比較




3.ロケット直径は1.4m程度で、M-3ロケットのノウハウを踏襲?


概要図から推定されるSpace Oneのロケット直径は、誤差を考慮してもΦ1.35~Φ1.4m程度であると考えられる。ここでは大きめに推定して、ロケット直径Φ1.4mとした。

※代表直径1.35mとの発表があり、推定はおおむね当たっていた。


この直径は、かつて宇宙科学研究所(ISAS)で運用されていた直径Φ1.41mのM-3ロケットと同規模のロケットモータ直径である。この推定が正しいとするならば、Space Oneのロケットは、旧日産自動車(現IHIエアロスペース)が持っている、以前の製造設備設計や開発ノウハウが使用できることを意味する。

ロケットの規模比較のために、M-3HロケットとSpace Oneのロケットの大きさ比較を下図に示す。


M-3HロケットとSpace One ロケットの比較


Space Oneは、キヤノン電子やIHIエアロスペースの出資によって設立した会社だが、推進系に固体燃料ロケット技術が使用されているため、全くの知見ゼロからのロケット開発ではない。旧日産自動車時代から長年ISASの宇宙ロケット開発を支えて来た、現IHIエアロスペースの技術が投入されている。

直径が同等であるM-3ロケットの製造設備が残っているか、使用できるかは不明である。しかしながら、過去のロケットモータ製造技術や開発ノウハウを幾らか転用できる点においては、全くの新規開発直径のロケットモータを採用するよりも、M-3ロケットと同規模の直径を設定するのは、色々なものが流用できる点で非常に合理的な選択である。

直径を同等とすることで、例え同等直径の金属ロケットモータではなくとも、グレインの製造装置等は、既存の設計の物を流用できる。試験治具等も過去に実績のある物が使えるであろう。

代表直径1.35mであり、これは新規開発である。後述するが、イスラエルのShavit、中国Land spaceのZhuQue-1 (ZQ-1, LandSpace-1, LS-1)と同じ直径である。






4.M-3S ロケットと同等直径で、半分の重量、半分の打上能力


Space Oneのロケットと他ロケットとのペイロード重量割合 比較表(低軌道)





上表は、Space OneのKAIROSロケットと他ロケットとのペイロード重量割合の比較表(低軌道)である。固体燃料ロケットのみならず、参考として右側にPBSドライ重量を入れた値についても記載をする。

構造重量や比推力の関係で、液体燃料ロケットの方が基本的にロケット重量あたりのペイロード重量割合は有利であり、また全体の傾向として、ロケットを大型化するほど有利になる。逆に小型化するほど、ペイロードの重量割合は不利になるということだ。

既に実用化されている固体燃料ロケットでは、150kgのペイロードという同等規模のロケットを見つけれなかったが、かつてISASで運用されたM-3Sロケットが参考になる。ロケットの製造業者は、IHIエアロスペース(旧日産自動車)で、Space OneのKAIROSロケットと製造者は同じである。


◆M-3S ロケット
 打上能力:300kg(低軌道)
 全  長:23.8 m
 直  径:Φ1.41 m
 重  量:48.7 t

先に述べた様に、Space Oneのロケットの直径は、M-3ロケットと直径Φ1.4m程度でほぼ同等であり、加えて面白い事に、M-3Sロケットと重量規模比較で、ちょうど半分の重量(48.7t → 約23t)、打ち上げ能力もちょうど半分(0.3t → 0.15t)である。





5.CFRPロケットモータか、金属ロケットモータか?


Space Oneのロケットが金属ロケットモータを使用しているのか、CFRPロケットモータを使用しているのかは判断できない。以下の選択肢があると考えられる。

・全CFRPロケットモータで製造

・低コスト化のために第1段のみ金属ロケットモータ、第2段目と第3段目をCFRPロケットモータで製造

高性能にするなら全段CFRPロケットモータを採用するべきだが、製造コストを抑えるのであれば、金属ロケットモータの方が安いため、第1段目のみ金属ロケットモータにしてコストを抑えつつ、上段に力を注ぐ等の選択肢もある。トレードオフで、ハイブリッド構成にしている可能性もある。





6.Space One のロケット打ち上げ能力推定


Space Oneのロケット内部構造等について推定した結果から、最終的にロケット全体の能力値を推定した表を以下に示す。推定の前提として、衛星質量を150kgとし、PBSを100kgとした。ここで、低軌道への打ち上げ能力は250kg、太陽同期軌道への打ち上げ能力は150kgと公開されているが、後者の想定で、PBS込みの重量とした。


※本推定は、2020年6月現在のものであり、新しい公開情報により、修正する必要がある。




Space One カイロスロケットの性能推定(直径Φ1.4m想定)





7.ロケット打ち上げ能力の推定根拠


以下に推定根拠を示す。


◆衛星:150 kg → 公開情報


◆PBS部:100 kg(N2O/エタノール, Isp 300秒)

PBSの質量は、50~100kg程度と見られるが、ここでは多く見積もり、100kgとした。PBSには、通信機器・アビオニクス等の搭載、ガス押し式タンク等が搭載されるため、推進剤質量比は、1/3の0.33と設定した。

推進剤は「N2O/エタノール」と推定した。これは、2017年のJAXA能代ロケット試験場の一般公開時に、「来週からキヤノン電子が地上燃焼試験を実施する。推進剤は、N2O/エタノール」と説明員が語ったという情報がある。また実際、過去にはISASとIHIエアロスペースは共同で、PBSを指向したN2O/エタノール推進系の実験的研究を実施している。これの情報から、第4段目にあたるPBSをN2O/エタノール推進系と仮定して、論文を元に比推力300秒と見積もった。

※本推定は、2020年6月現在のものであり、新しい公開情報により、修正する必要がある。新しい情報では、PBSは1液式の可能性が高い。


  

ISASとIHIエアロスペースが共同研究を行ったN2O/エタノール推進系



◆フェアリング部:112kg

フェアリング重量は、M-Vのものを参考にした。これは、CFRPとアルミハニカム構造であり、直径Φ2.5m、全長9m、合計で700kgである。Space Oneのロケットは、フェアリング直径が推定Φ1.5m、全長4m程度であるものと見られるため、以下の計算で規模比を見積もった。

((2.5/2)^2)*9=((1.5/2)^2)*4 X,  X=0.16, 700X = 112 kg



◆段間部(第2段→第3段):30kg

CFRP等で構造が軽量化されていると考えられるため、分離機構込みで、30kgと見積もった。



◆アビオニクス部・分離機構:30kg

キヤノン電子がカメラ部品製造等で培った、民生技術が投入されているため、分離機構込みでアビオニクス部は30kgと見積もった。




8.追加情報


この推定を行ったのは、2020年6月だが、後日情報として、以下の情報が出て来た。


小型ロケット開発へ前進 民間会社、能代で燃焼試験成功
宇宙事業会社・スペースワン(東京)が今年度中の打ち上げを目指し開発を進めている小型ロケットの固体モーター燃焼試験が30日、秋田県能代市浅内の宇宙航空研究開発機構(JAXA)能代ロケット実験場で行われた。70秒間燃焼させた結果、モーターは正常に稼働し試験は成功した。スペースワンは、清水建設やキヤノン電子などが出資する民間会社。開発中の小型ロケットは全長約18メートル、直径約1・35メートル、重さ約23トンで、小型衛星を地球周回軌道まで運ぶ。JAXA開発の固体ロケット技術を民間で初めて応用した。
秋田魁新報社 2021年7月1日 掲載

 


新世代小型ロケット開発へ 能代実験場で固体モータ燃焼試験 
今年度の打ち上げを目指しスペースワン(本社・東京都)が開発を進めている小型衛星打ち上げ機「新世代小型ロケット」の第3段固体モータの真空地上燃焼試験が30日、能代市浅内のJAXA(宇宙航空研究開発機構)能代ロケット実験場で行われた。試験はJAXA宇宙科学研究所の共同で、試験はトラブルなく終了。モータに不具合はなく、今後は得られたデータを活用し、打ち上げに生かしていく。同社が開発を進める新世代小型ロケットは、全長約18㍍、代表直径1・35㍍、全備質量約23㌧の3段式ロケットに軌道投入精度を高めるための液体ステージを追加。太陽同期軌道に150㌔の小型衛星を投入する能力を持つ。ペンシルロケット以来、発展してきた日本の固体ロケットシステム技術を民間事業に応用するのは初めて。今回の燃焼試験は、最新技術による固体モータの技術成果を共有し、日本の固体モータ技術、試験技術の維持・発展に貢献するため、同社と同研究所が共同で実施。実物大(全長約1・8㍍、代表直径1・35㍍、最大推力約9㌧)を使用し、燃焼推進特性や、ノズルをアクチュエータによって動かして推力の向きを変え姿勢を制御するTVC機能、計測計などを検証した。TVC付き上段モータの開発は、強化型イプシロンロケット第2段モータ以来5年半ぶりという。この日の試験には同社と同研究所から約70人が参加し、試験に向けて準備を整えた。作業は順調に進み、風速や風向などコンディションにも恵まれ、午前10時ごろに点火。モータが設置された試験棟から炎と白煙が勢いよく吹き出し、ごう音が響いた。実験主任で同研究所の徳留真一郎准教授によると、燃焼時間は約70秒で推力は9㌧弱とほぼ予定通りの性能を発揮。詳しい試験結果は検証しなければ分からないというが、TVC機能も正常に動作するなど良好なデータが得られたとみられ、「試験は成功と言える」と話す。また、点火には電気雷管ではなく、同研究所の研究成果で静電気や電磁波などの影響を受けないレーザー点火システムを使用し、正常に機能したとする。得られたデータは解析し、同社と同研究所で共有する。徳留准教授は「ロケットの市場展開には民間企業のチャレンジ精神などが重要になる。JAXAがこれまで培った技術を企業に移管するなどして貢献し、産業振興の支援につなげていく」と話していた。今後は、新世代小型ロケットの第1段固体モータの試験も同実験場で行う予定という。 
2021.07.01 北羽新報社 http://kyodoshi.com/article/9601



新たに確定した情報として、以下が判明した。

  1. 代表直径1.35m【能力推定において想定済 → φ1.4mとやや大きめに見積】
  2. TVC付の第3段ロケットモータの燃焼試験を実施、燃焼時間約70秒、最大推力約9t、点火にはレーザー点火システムを使用
  3. 3段式固体ロケット+液体ステージ(PBS)の構成【能力推定において想定済】
  4. 2021年7月の時点で、第1段固体モータは、まだ試験を行っていない


燃焼時間約70秒、最大推力約9t、推力と燃焼時間のスケーリングから、今回推定した第3段目の推定値は数百kg程度の推進剤誤差を持っている可能性がある。




なお、1.35mの固体ロケットモータは、M-3ロケットからも少し外れた外径となる。このクラスと同等の打ち上げロケットとしては、イスラエルが初の人工衛星を打ち上げた、「シャヴィト」(Shavit)から発展した、Shavit1 (LK-A))がある。Shavit1は、固体3段式,質量 30000 kg,外径 1.35m, 全長17.2 m, LEO 225kgであり、Shavit1は、Shavitの増強型である。

元なったShavitは、全段固体燃料の3段式ロケットで、第1段および第2段は準中距離弾道ミサイル「エリコ2」を元にした、ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズが製造した球形ロケットモーターをミサイルの第3段目に追加して、衛星打ち上げを実現させた。



  

1.35mの直径を持つ、イスラエルのShavit



また、同じく直径1.35mサイズのロケットとしては、中国の宇宙ベンチャーであるLand Spaceが、直径1.35mの3段式固体ロケットとして、ZhuQue-1 (ZQ-1, LandSpace-1, LS-1)を開発し、2018年10月に打ち上げを成功させた。ZhuQue-1は、3段が全て直径1.35m、全長19m、LEO 300kg、SSO 200kgと、カイロスロケットよりも、少し大きめである。なお、ZhuQue-1は、イスラエルのShavitと同じく、東風26号(DF-26)中距離弾道ミサイルのロケットモータをベースにして開発された可能性が指摘されている。



ZhuQue-1, Shavit, KAIROSの比較





また、JAXAの公表資料として、IHIエアロスペースがスペースワンに治具の貸し出しを行ったことが発表された。治具とは何を意味するかは不明だが、固体ロケットモータの製造に関わる治具と推察される。

 

「(株)IHIエアロスペースにあるH-IIA、イプシロンロケット、H3専用治工具について、スペースワン(株)の依頼により「超小型衛星打上げ用ロケットの開発および製造運用」を目的として貸出を行った。」  




References


[2] 宇宙開発利用部会 将来宇宙輸送システム調査検討小委員会(第1回)会議資料,
[3] 資料1-2-5 スペースワン社報告資料 (PDF:1.5MB),
[4] 宇宙へ到達する -H-ⅡBロケット-, 名古屋市科学館
[5] 亜酸化窒素(N2O)/エタノール推進系の実験研究, JAXA
[6] H−IIロケット及びM−Vロケットの開発について,
[7] Epsilon Users Manual, 
[8] 強化型イプシロンロケット開発 機体システム仕様, 


















This article estimates the launch capability of the solid-fuel rocket: KAIROS (Kii-based Advanced & Instant ROcket System), which Space One plans to launch from Kushimoto-cho, Wakayama Prefecture, based on external views and published data.


*Since this estimate was made in June 2020, the rocket diameter was estimated to be φ1.4m. Later information, φ1.35m, was revealed by a newspaper article in July 2021.

*This blog will write a new article or add more information later, Because of additional information.



【Related article】



     


Canon's SLR cameras are the best. Let's all buy one.





       








1.Space One's new solid-fuel rocket: KAIROS, whose appearance has been released.


Canon Electronics announced in 2018 that it has established SPACE ONE, a joint venture to promote the small rocket launch business. Space One, established by Canon Electronics, IHI Aerospace, Shimizu Corporation, and the Development Bank of Japan, aims to achieve the world's shortest contract-to-launch period and the world's highest launch frequency by providing a dedicated small launch vehicle and launch site, with the goal of commercialization in 2021.

The actual status of the rocket development has been shrouded in mystery so far, and it is believed that IHI Aerospace will be in charge of the propulsion system, but only the following information has been released as specifications.




Space One KAIROS rocket performance
Length: approx. 18m
Weight: approx. 23 tons
Diameter: 1.35m (from news paper article)
Solid-fuel three-stage rocket + liquid propulsion system (PBS) for orbit change
・Orbit injection capacity of the satellite
 Low Earth orbit: 250 kg (orbital inclination: 33 degrees, altitude: 500 km) 
 Sun-synchronous orbit: 150 kg (inclination: 97 degrees, altitude: 500 km) 




The appearance of the rocket was included in a presentation given at a briefing session in Kushimoto Town, Wakayama Prefecture, in August 2019, but the images of the slides were not made available to the public via the Internet. However, at a presentation held at the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology on Wednesday, January 15, 2020





This article estimates the launch capacity of the Kairos rocket that Space One is planning to launch from Kushimoto-cho, Wakayama Prefecture, based on its external view and published data.





2.Space One KAIROS Rocket Structure Understanding and Structure Estimation




External view of Space One's KAIROS rocket, released via the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology



To estimate the structure of the launch vehicle, we estimated the interior of the launch vehicle from the information on the dimensions of the satellite payload in the public "Launch Vehicle Overview" and the official website.






2-1.Dimensions of the satellite payload space





Payload space dimensions from Space One official website and
and the image with the correct scale and aspect ratio


First, we grasped the dimensions of the satellite payload space. We used the "Space One Official Website Payload Launch Capability Document" posted on the official Space One website as a reference. The dimensions, scale, and aspect ratio of the payload space in this document were wrong when I measured them, so I corrected them as shown in the figure above.

The image on the right is from the official website, and the image on the left is from the author's corrected image with the correct scale ratio. I don't know if it is intentional or just a matter of randomness that the dimensions in the external documents are wrong. In fact, as long as the dimensions are given, there is no problem, but as a satellite launch company, I think it would be better to make sure that the documents are in line with the actual situation.




2-2.Estimation of Space One KAIROS rocket structure dimensions


Assuming that the published data was correct, we traced the images to get an idea of the external and internal dimensions of the rocket.

The following documents were used for references.


To begin with, there is only one picture of the aircraft that has been released to the public, and the accuracy of the details is unknown. In addition, the published specifications are sketchy: the weight is "about" 23 tons, and the total length is 18 meters.

The outline drawing of the rocket is a CG outline drawing, and the observation point of view seems to be the view of the rocket body from the center side. (If you look closely, you can see that the nozzles and fairings are angled.) Therefore, it is not an accurate representation of the side projection of the vehicle, and the further away from the center, the larger the error becomes. The further away from the center, the larger the error. Therefore, please understand in advance that what I am going to describe is a rough estimation to some extent.

From the outline drawing, I assumed the size of the rocket to be just 18 meters in length, which is the size disclosed by Space One. The figures are probably rounded off, so there is an error of about 18m → 18m ± 0.5m. On top of that, I estimated the structure as follows, taking into account the CG intervals and other factors.

It should be a 3-stage + PBS (post-boost stage) configuration with a diameter of about 1.4 meters.

In July 2021, it was announced in a newspaper article that it would be 1.35m in diameter, and this estimation seems to have been largely correct.





Estimated KAIROS rocket structure dimensions




Size and structure comparison with M-V No. 4 and Enhanced Epsilon launch vehicle




3.The diameter of the rocket is about 1.4 meters, and it follows the know-how of the M-3 rocket?


The rocket diameter of Space One, estimated from the outline drawing, is about Φ1.35 to Φ1.4m, even taking into account the error. Here, we estimated the rocket diameter to be Φ1.4m.



This diameter is the same size of rocket motor diameter as the M-3 rocket with a diameter of Φ1.41m, which used to be operated by the Institute of Space and Astronautical Science (ISAS). If this estimate is correct, it means that Space One's rocket can use the previous manufacturing facility design and development know-how of the former Nissan Motor (now IHI Aerospace).


To compare the scale of the rockets, a comparison of the size of the M-3H rocket and the Space One rocket is shown in the figure below.



Comparison of M-3H rocket and Space One KAIROS rocket


Space One is a company established with investment from Canon Electronics and IHI Aerospace, but since solid fuel rocket technology is used for the propulsion system, it is not a rocket development from scratch. The technology of the current IHI Aerospace, which has supported ISAS space rocket development for many years since the days of the former Nissan Motor, is being used.

It is unclear whether the manufacturing facilities for the M-3 rocket, which has the same diameter, are still available or can be used. However, rather than adopting a completely new diameter rocket motor, it is a very rational choice to set the same diameter as that of the M-3 rocket, because it is possible to use some of the past rocket motor manufacturing technology and development know-how.

By using the same diameter, they can use the existing design of the grain manufacturing equipment, even if it is not a metal rocket motor of the same diameter. Test jigs and other equipment that have been used in the past can also be used.

The representative diameter is 1.35m, which is a new development. This is the same diameter as Israel's Shavit and China's Land space's ZhuQue-1 (ZQ-1, LandSpace-1, LS-1), which will be discussed later.



4.Same diameter as M-3S rocket, half the weight, half the launch capability


Payload weight ratio comparison between Space One and other rockets (low orbit)




The table above is a comparison of the payload weight ratio between Space One's launch vehicle and other launch vehicles (low orbit). In addition to solid-fuel rockets, liquid-fuel rockets are also shown on the right for reference.

Due to the structural weight and specific impulse, liquid-fueled rockets are basically more advantageous in terms of payload weight ratio per rocket weight. Also, the larger the rocket, the more advantageous the payload weight ratio.

I was not able to find a solid-fuel rocket that has already been put to practical use with an equivalent scale of 150 kg payload, but the M-3S rocket that was once operated by ISAS can be used as a reference. The manufacturer of the rocket is IHI Aerospace (formerly Nissan Motor), the same as the manufacturer of Space One's KAIROS rocket.


◆M-3S rocket
 Launch capability: 300 kg (low orbit)
 Length: 23.8 m
 Diameter: Φ1.41 m
 Weight: 48.7 t

As mentioned earlier, the diameter of Space One's rocket is about the same as that of the M-3 rocket (Φ1.4m), and interestingly, it is exactly half the weight of the M-3S rocket (48.7t → 23t), and has exactly half the launch capacity (0.3t → 0.15t).





5.CFRP rocket motors or metal rocket motors?


It is not possible to determine whether the Space One rocket uses a metal rocket motor or a CFRP rocket motor. The following options may be considered.

・Manufacture with all CFRP rocket motors.

・To reduce the cost, only the first stage is made with metal rocket motors, and the second and third stages are made with CFRP rocket motors.

If we want to achieve high performance, we should use CFRP rocket motors for all stages, but if we want to reduce the manufacturing cost, metal rocket motors are cheaper, so we can choose to use metal rocket motors for the first stage only to reduce the cost and focus on the upper stage. There is a possibility that a hybrid configuration is used as a trade-off.




6.Estimated performance of the Space One KAIROS rocket 


The following table shows the final estimates of the overall capability of the rocket based on the results of estimating the internal structure of the Space One rocket and other factors.As an assumption for the estimation, the satellite mass was assumed to be 150 kg and PBS was assumed to be 100 kg. Here, the launch capability to low earth orbit and sun-synchronous orbit are disclosed as 250 kg and 150 kg, respectively, but we assumed the latter and assumed the weight including PBS.


*This estimate is current as of June 2020 and should be revised based on new public information.




Estimated performance of the Space One KAIROS rocket
(assuming a diameter of 1.4 m)





7.Basis for Estimating Rocket Launch Capacity



The following is the basis for the estimation.


◆Satellite: 150 kg → Public Information


◆PBS section: 100 kg (N2O/ethanol, Isp 300 sec)

The mass of PBS is estimated to be about 50 to 100 kg, but here we estimated it to be 100 kg. The propellant mass ratio was set to 0.33, or 1/3, because PBS is equipped with communication equipment, avionics, and gas push tanks.

The propellant was estimated to be "N2O/ethanol". This was stated during the public opening of the JAXA Noshiro Rocket Testing Center in 2017, "Canon Electronics will conduct a ground burn test starting next week. The propellant is N2O/ethanol," an explanatory staff member is reported to have said. In fact, ISAS and IHI Aerospace have collaborated in the past to conduct experimental research on N2O/ethanol propulsion system for PBS. Based on this information, the specific impulse was estimated to be 300 seconds based on the paper, assuming that the PBS, the fourth stage, is an N2O/ethanol propulsion system.

  

N2O/ethanol propulsion system jointly researched by ISAS and IHI Aerospace


*This estimate is current as of June 2020 and should be revised based on new public information. New information suggests that PBS is likely to be a monopropellant system.




◆Fairing section: 112kg

The weight of the fairing is based on that of the M-V. It is made of CFRP and aluminum honeycomb structure. The Space One rocket is estimated to have a fairing diameter of 1.5 m in diameter and 4 m in length, so the scale ratio was estimated by the following calculations.

((2.5/2)^2)*9=((1.5/2)^2)*4 X,  X=0.16, 700X = 112 kg



◆Interstage section (2nd stage to 3rd stage):30kg

Since the structure is considered to be lightened by CFRP, we estimated the weight to be 30 kg including the separation mechanism.




◆Avionics section and separation mechanism: 30kg

The avionics part is estimated to weigh 30 kg, including the separation mechanism, because Canon Electronics has applied its consumer technology cultivated through the manufacture of camera parts.



8.Additional Information


This estimate was made in June 2020, but the following information came out later.

Private Company Successfully Conducts Combustion Test in Noshiro to Develop Small Rockets
On the 30th, a solid motor combustion test was conducted at the Noshiro Rocket Testing Center of the Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA) in Asanai, Noshiro City, Akita Prefecture, with the aim of launching a small rocket by the end of this fiscal year. The test was a success. Space One is a private company funded by Shimizu Corporation, Canon Electronics, and others. It is the first private company to apply the solid rocket technology developed by JAXA.

秋田魁新報社 2021年7月1日 掲載

 


Solid Motor Combustion Test at Noshiro Test Center to Develop New Generation Small Rockets 
On the 30th, a vacuum ground firing test of the third stage solid motor of the "New Generation Small Launch Vehicle," a small satellite launch vehicle being developed by Space One (headquartered in Tokyo) for launch this fiscal year, was held at the JAXA (Japan Aerospace Exploration Agency) Noshiro Rocket Testing Center in Asanai, Noshiro City. The test was conducted jointly by JAXA's Institute of Space and Astronautical Science (ISAS), and the test was completed without any trouble. The test was conducted in cooperation with JAXA's Institute of Space and Astronautical Science (ISAS), and the test was completed without any trouble. There were no problems with the motor, and the data obtained will be utilized for launch. The new-generation small rocket, which is being developed by the company, is a three-stage rocket with a total length of 18 meters, a typical diameter of 1.35 meters, and a total mass of about 23 tons, to which a liquid stage has been added to improve orbit injection accuracy. It is capable of injecting a 150 kg small satellite into a sun-synchronous orbit. This is the first time that Japan's solid rocket system technology, which has been developed since the Pencil Rocket, has been applied to a commercial project. The combustion test was conducted jointly by the company and the Institute in order to share the results of the latest solid motor technology and contribute to the maintenance and development of solid motor technology and testing technology in Japan. The full-scale motor (1.8 meters in length, 1.35 meters in diameter, and 9 tons in maximum thrust) was used to verify the combustion propulsion characteristics, the TVC function to change the direction of thrust and control the attitude by moving the nozzle with an actuator, and the measurement system. It has been five and a half years since the second stage motor of the enhanced Epsilon rocket was developed. About 70 people from the company and the institute participated in the test and prepared for the test. The work went smoothly, and with favorable conditions such as wind speed and direction, the motor was ignited at around 10 a.m. Flames and white smoke billowed out from the test building where the motor was installed, and a roaring sound echoed. According to Shinichiro Tokudome, associate professor at the institute and the chief of the experiment, the combustion time was about 70 seconds and the thrust was just under 9 metric tons, almost as planned. According to Shinichiro Tokudome, associate professor at the institute and head of the experiment, the test was almost on schedule, with a burn time of about 70 seconds and a thrust of just under 9 tons. He said that detailed test results would not be known until they are verified, but the test was a success, as good data was obtained, including normal operation of the TVC function. For ignition, a laser ignition system, which is not affected by static electricity or electromagnetic waves and which is a result of the institute's research, was used instead of an electric detonator, and it functioned properly. The data obtained will be analyzed and shared between the company and the institute. Associate Professor Tokudome said, "The spirit of challenge of the private sector is important for the market development of rockets, and JAXA will contribute to this by transferring the technology it has cultivated to companies, and will support the promotion of industry. In the future, JAXA plans to test the first-stage solid motor of a new-generation small rocket at the same test site. 
2021.07.01 北羽新報社 http://kyodoshi.com/article/9601



The following information has been newly determined.

  1. Representative diameter of 1.35m 【assumed in capacity estimation → slightly larger estimate of φ1.4m】
  2. Conducted combustion test of 3rd stage rocket motor with TVC, burn time about 70 seconds, maximum thrust about 9 tons, laser ignition system used for ignition
  3. As of July 2021, the first stage solid motor has not yet been tested.



Based on the scaling of thrust and burn time, the third stage estimated it have may  propellant error of a few hundred kg.



The 1.35-meter solid rocket motor has an outer diameter that is slightly outside the M-3 rocket. An equivalent launch vehicle in this class is the Shavit1 (LK-A), which evolved from the Shavit, Israel's first satellite launch vehicle. the Shavit1 is a three-stage solid rocket with a mass of 30000 kg, an outer diameter of 1.35 m, a length of 17.2 m, and LEO 225 kg.

Shavit 1 is an augmented version of Shavit. Shavit1 is an enhanced version of Shavit. Shavit was a three-stage rocket with all solid fuel stages, and the first and second stages were based on the "Jericho 2" semi-medium range ballistic missile, and a spherical rocket motor manufactured by Rafael Advanced Defense Systems was added to the third stage of the missile to achieve satellite launch.



  

Israel's Shavit, with a diameter of 1.35 meters


Another rocket with a diameter of 1.35 m is the ZhuQue-1 (ZQ-1, LandSpace-1, LS-1), a three-stage solid rocket with a diameter of 1.35 m, developed by Land Space, a Chinese space venture, which was successfully launched in October 2018. ZhuQue-1 is slightly larger than the Kairos rocket, with all three stages 1.35 m in diameter, 19 m in length, 300 kg LEO, and 200 kg SSO. It has been pointed out that ZhuQue-1 may have been developed based on the rocket motor of the Dongfeng 26 (DF-26) medium-range ballistic missile, as well as Israel's Shavit.




ZhuQue-1, Shavit, KAIROSの比較




In addition, JAXA announced that IHI Aerospace has lent a jig to Space One. It is unclear what the jig means, but it is presumed to be a jig related to the manufacture of solid rocket motors.


"IHI Aerospace's dedicated tools for H-IIA, Epsilon, and H3 rockets were loaned to Space One Corporation for the purpose of "development and manufacturing operations of launch vehicles for nano-satellite launches." 




References


[2] 宇宙開発利用部会 将来宇宙輸送システム調査検討小委員会(第1回)会議資料,
[3] 資料1-2-5 スペースワン社報告資料 (PDF:1.5MB),
[4] 宇宙へ到達する -H-ⅡBロケット-, 名古屋市科学館
[5] 亜酸化窒素(N2O)/エタノール推進系の実験研究, JAXA
[6] H−IIロケット及びM−Vロケットの開発について,
[7] Epsilon Users Manual, 
[8] 強化型イプシロンロケット開発 機体システム仕様, 
[10] ZhuQue-1 (ZQ-1, LandSpace-1, LS-1),