キヤノン電子と日本カーリットは、自社開発で固体燃料ロケットモーターを製造する?
Canon Electronics Inc. and Japan Carlit Co.Ltd. manufacture solid fuel rocket motor by in-house development ?
2019年4月、JAXA能代ロケット実験場にて、「低コスト固体ロケットモーターの地上燃焼試験」がキヤノン電子と日本カーリット合同にて実施された。これまで、キヤノン電子は、衛星打ち上げロケット会社のスペースワンに対するメイン出資者であり、IHIエアロスペースの推進系・ロケット技術を元に開発を行っていると報道されてきた。今回、2社が合同で固体ロケットモーターを地上燃焼試験したことで、既存の確立した技術の枠を超えて、ロケットの低コスト化のために、試行錯誤していることが伺える。
1.JAXA能代ロケット実験場にて行われた、低コスト固体ロケットモーターの地上燃焼試験
能代ロケット実験場で実施された低コスト固体ロケットモーターの大気燃焼試験
(北羽新報社より引用)
モーター燃焼試験成功 2019.04.11北羽新報社
JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙科学研究所は10日、能代市浅内の能代ロケット実験場で汎用(はんよう)材料を用いた低コスト固体ロケットモーターの大気燃焼試験を行った。キャノン電子(本社・東京都)、日本カーリット(同)と共同で研究を進めているモーターで、試験はトラブルなく終了。有用なデータを得ることができ、今後は実用化に向けて改良を重ねていくという。
通常、ロケットに使用する材料の多くは専用のものだが、宇宙研では打ち上げ頻度を向上させるため、固体ロケットモーターに一般工業材料を適用するなどして品質を維持しつつ低コスト化を図る研究を進めている。
今回は、全長約3・5㍍、直径約52㌢のモーターで試験を実施。モーターケースは炭素繊維強化プラスチックをフィラメントワインディング法(型に巻き付けていく手法)によって成型し、固体推進薬としてAP(過塩素酸アンモニウム)系コンポジット推進薬を約1㌧充填(じゅうてん)させた。
モーターやノズルの製造はキャノン電子、推進薬の製造は日本カーリットが担当し、宇宙研が安全審査などを行ってきた。モーターの全長、推進薬量は前回の試験に比べて約3倍にスケールアップしている。
当初は8日に試験を行う予定だったが、西風が続いていたため浅内地区などに煙が飛んでいく可能性があり日程を変更。10日は、午前5時ごろに両企業や宇宙研から約30人が同実験場に集まり、準備に取り掛かった。
作業は順調に進行し、この日は風が弱く海側に向かって吹いていたためコンディションは良好。秒読みを行い午前8時ごろに点火すると、モーターが設置された試験棟から炎と白煙が勢い良く吹き出すとともに、ごう音が響き渡った。
保安主任兼実験主任代理を務める宇宙研宇宙飛翔工学研究系の後藤健准教授によると、燃焼時間は18秒ほどで、推力は最大で約165㌔ニュートンとなるなど、ほぼ計画通りの性能を発揮。両企業との連携もスムーズに行うことができ、モーターだけで考えれば小型ロケットのレベルに達しているという。
また、後藤准教授は今後について「耐熱性など全体的な性能や完成度を上げていき、実際にロケットを飛ばせるモーターを目指していく。宇宙開発への民間企業の参入を促し、国を支える人材の育成にもつながってほしい」と話した。
共同で研究に当たっているキャノン電子と日本カーリットは今後、宇宙開発事業に本格的に取り組んでいくことになるという。
[1] http://kyodoshi.com/article/4119 (引用終了)
2.固体燃料ロケット打上げ会社:スペースワン(Space One)とキヤノン電子
キヤノン電子は、小型ロケット打ち上げ事業を推進する「スペースワン(SPACE ONE)」を共同出資のもと設立したと2018年に発表している。(中国にも「One Space」と呼ばれるベンチャー企業が設立されたが、これとは異なる。)
キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行の4社よって設立されたスペースワンは、専用の小型ロケットと射場を用意することで世界最短の契約から打ち上げまでの期間と、世界最高頻度の打ち上げを目指し、2021年の事業化を目指している。ロケットの射場は、和歌山県串本町田原地区周辺に建設する予定で、2019年に着工し、2021年に工事完了・運用開始を予定している。
ロケット技術については、IHIエアロスペースと協力しており、富士精密工業株式会社、プリンス自動車工業株式会社、日産と移り変わったものの、東大宇宙研時代から、宇宙用固体燃料ロケットを古くから手掛けてきた日本を代表する宇宙ロケットメーカーである。
スペースワンが打ち上げを予定しているロケットの性能値
・全長約18m
・重量約23トン
・固体燃料3段式ロケット+軌道変更用液体推進系(PBS)
・衛星の軌道投入能力
地球低軌道 :250kg(軌道傾斜角 97 度,高度 500km)
太陽同期軌道:150kg(軌道傾斜角 33 度,高度 500km)
2020年代半ばには、年間20機の打ち上げを見込んでいる。
スペースワンは、実際には2017年8月に、新世代小型ロケット開発企画として1億円の資本金会社を設立している。これが2018年7月に14億円に増資された。ここで、キヤノン電子の出資比率は、70%から50%に下がった。しかしながら設立当初にキヤノン電子が70%の株式を持っており、キヤノン電子が発端となり設立した企業であることが分かる。当初他の30%の割合は、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行がそれぞれ10%ずつで占められていた。増資後のそれぞれの割合は不明である。
キヤノン電子は、既に先行して小型衛星事業を手掛けており、宇宙事業として2030年までに目標売上高1000億円を目指すと公表している。(同社の17年12月期連結売上高837億円を大きく上回る) 酒巻久社長は「日本は民間の宇宙参入が遅れている。積極的な手を打っていく」と語っており、衛星からロケット事業までパッケージング化する可能性がある。
実際、スペースワンの公式Webサイトには、「人工衛星の製造から打ち上げまでワンストップで提供」 と記載されている。
・重量約23トン
・固体燃料3段式ロケット+軌道変更用液体推進系(PBS)
・衛星の軌道投入能力
地球低軌道 :250kg(軌道傾斜角 97 度,高度 500km)
太陽同期軌道:150kg(軌道傾斜角 33 度,高度 500km)
2020年代半ばには、年間20機の打ち上げを見込んでいる。
スペースワンは、実際には2017年8月に、新世代小型ロケット開発企画として1億円の資本金会社を設立している。これが2018年7月に14億円に増資された。ここで、キヤノン電子の出資比率は、70%から50%に下がった。しかしながら設立当初にキヤノン電子が70%の株式を持っており、キヤノン電子が発端となり設立した企業であることが分かる。当初他の30%の割合は、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行がそれぞれ10%ずつで占められていた。増資後のそれぞれの割合は不明である。
キヤノン電子は、既に先行して小型衛星事業を手掛けており、宇宙事業として2030年までに目標売上高1000億円を目指すと公表している。(同社の17年12月期連結売上高837億円を大きく上回る) 酒巻久社長は「日本は民間の宇宙参入が遅れている。積極的な手を打っていく」と語っており、衛星からロケット事業までパッケージング化する可能性がある。
実際、スペースワンの公式Webサイトには、「人工衛星の製造から打ち上げまでワンストップで提供」 と記載されている。
「将来的にはキヤノン電子グループでロケットを製造し、専用のロケット発射場を建設します。人工衛星の製造から打ち上げまで、ワンストップでの提供を実現し、宇宙関連市場のニーズにこたえます。」
と表明しており、宇宙開発のワンストップ(=一元化)を行うために事業を拡大し、打ち上げロケットの製造から打ち上げまで、パッケージングする可能性がある。全てのシステムを内製化できれば、垂直統合で利益率も高くできるだろう。
[2] 「スペースワン」小型ロケット運用へ キヤノン電子やIHIエアロら、2021年度の事業化目指す,
https://sorae.info/030201/2018_07_03_spaceone.html
[3] Space One, https://www.space-one.co.jp/index.html
[4] Space One solution, https://www.space-one.co.jp/doc/solution.pdf
[5] Space One 決算報告書 平成30年, https://www.space-one.co.jp/doc/ir2018.pdf
[6] https://news.mynavi.jp/top/present/present/
[7] スペースワン、和歌山県串本町に小型ロケット射場を建設へ, https://sorae.info/030201/2019_03_26_one.html
[8] 新世代小型ロケット開発企画株式会社の事業会社化について,
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2018/2018014.html
[9] 小型ロケット「21年度事業化」 キヤノン系が増資,
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32502530S8A700C1TJ3000/
[10] キヤノン電子初の衛星打ち上げへ, https://sorabatake.jp/1202/
[11] 1000億円達成へ大きな1歩、キヤノン電子, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26526780V00C18A2X12000/
[12] キャノン電子, https://www.canon-elec.co.jp/space/
[14] キヤノン電子など4社、小型ロケット打ち上げ参入,
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGG04H54_U7A800C1000000/
3.キヤノン電子と日本カーリットのロケットモータ地上燃焼試験
今回、キヤノン電子と日本カーリットが、汎用材料を用いた低コスト固体ロケットモーターの地上燃焼試験を行ったと報道されている。全長約3.5m、直径52cmのロケットモーターで、CFRPモーターケースで製造、モーターやノズルの製造はキャノン電子、推進薬の製造は日本カーリットが担当と書かれている。ここからは、地上燃焼試験用の専用品として製造した事が分かる。
しかし一方で、
「モーターの全長、推進薬量は前回の試験に比べて約3倍にスケールアップしている」
「固体ロケットモーターに一般工業材料を適用するなどして品質を維持しつつ低コスト化を図る研究を進めている」
「固体ロケットモーターに一般工業材料を適用するなどして品質を維持しつつ低コスト化を図る研究を進めている」
とも、記事では書かれており、単に今回1回の実験ではなく継続して行っている事、そして、一般工業材料を使用していることが書かれている。そして、スペースワンで実際に推進系である固体ロケットモーターを製造するとみられるIHIエアロスペースの名前は、入っていない。
日本カーリットは、固体燃料ロケットモーターのコンポジット推進剤の大部分を占める酸化剤、過塩素酸アンモニウム(AP)を製造している会社であり、キヤノン電子がモーターやノズルの製造した上で、推進剤の会社と直接タイアップしていることが報道から読み取れる。既存の確立した技術の枠を超えて、ロケットの低コスト化のために、試行錯誤していることが伺える。
4.ロケットモーターに使用する、一般工業材料とは?
高温、高圧に晒される固体ロケットモーターの部品、即ちノズルやCFRP製モーターケースは、市販品として出回っている物を転用できず、汎用筒等を使用して作ることも出来ない。従って、ロケットモーターに使用されている、一般的な工業材料は何か?と考えると推進剤に推測が行き着く。
固体燃料ロケットモータで、一番質量が占める割合は何かと考えると、それは、コンポジット燃料であり、グレインである。質量が占める割合が高ければ、値段に占める割合も高くなる。一般的に、ロケットモーターに使用されるグレインは、その殆どが、過塩素酸アンモニウム(AP)、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)及び硬化剤、アルミニウム粉末(Al)で形成されている。
例えば、H-2AロケットのSRB-A ロケットブースターの構成比率は、以下の様になっている。(コンポジット推進薬 BP-207J)
- 過塩素酸アンモニウム(AP):68%
- 末端水酸基ポリブタジエン(HTPB):14%
- アルミニウム粉末(Al):18%
どれもが、一般工業材料とも言えなくはない。ただし、ロケットモーターの材料としてこれらを使うためには、幾つか考慮しなくてはならない点がある。まず、固体燃料であるがために、化学的な反応を促進するためには、粒子の直径が重要になる。ロケットモーターとして理想的な燃焼速度を確保したり、比推力(=燃費)を良くするためには、ジェットミル等で、APやAlを粉砕して細粒化する必要がある。酸化剤や粉じん爆発の危険が想定される状況で使用できる、防爆型で細粒化を行う機械工程を入れると、値段が高くなることは自明である。
[14] 新規合成法による過塩素酸アンモニウムを用いた固体推進薬の燃焼特性取得結果,
[15] 宇宙クラスタによる北朝鮮の固体燃料ロケットの分析のまとめ, https://togetter.com/li/953851
そして、APやAlといった粉を固めるバインダーかつAP酸化剤の燃料相手となるHTPBは、一般的に工業用として広く出回り、使用されている物質であるが、ロケットモーターとして燃焼することを想定したHTPB及び硬化剤というのは、実際は高グレードの特殊品として製造されている。その製造については、おおよそアメリカの会社のライセンスを受けた生産によって製造がなされている。特殊品となれば、値段も高くなるのは当然であろう。
過度な推進剤の細粒化や、特殊なHTPBを使用しない一般工業材料であれば、ロケットモーターの価格を下げれる可能性が出てくる。追及していたのは、この辺りの可能性があるのではないだろうか?
5.日本カーリットは、安価なコンポジット推進薬の特許を出願していた
例えば、JAXAのH-2A、H-2Bロケットでは、SRBのロケットモータケース全般の製造をIHIエアロスペースが行い、種子島において日本油脂がコンポジット推進薬をミキサーで練って、ロケットモーターケースに注入している。その事業の中において、日本カーリットは、推進薬に使用するAPを販売提供する側であるとみられる。
しかしながら、2014年に日本カーリット(カーリットホールディングス)は、以下の様な2件のロケット用コンポジット推進薬の特許を出願していた。(査定識別は、最終的に拒絶査定)
[17] コンポジット推進薬 JP 2016-11624 A 2016.1.21
【課題】
安価で良好な特性を有するコンポジット推進薬を提供する。
安価で良好な特性を有するコンポジット推進薬を提供する。
【解決手段】
コンポジット推進薬は、過塩素酸アンモニウムと、金属粉末と、バインダーとを含有する。上記バインダーは、数平均分子量が2000〜4000であり、1分子中の平均水酸基数が2.2〜2.6である水酸基末端液状ポリブタジエンと、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤とを主成分とする。この構成では、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を用いることにより、汎用品である水酸基末端液状ポリブタジエンを良好に硬化させることができるようになる。これにより、安価で良好な特性を有するコンポジット推進薬を提供することができる。
コンポジット推進薬は、過塩素酸アンモニウムと、金属粉末と、バインダーとを含有する。上記バインダーは、数平均分子量が2000〜4000であり、1分子中の平均水酸基数が2.2〜2.6である水酸基末端液状ポリブタジエンと、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤とを主成分とする。この構成では、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を用いることにより、汎用品である水酸基末端液状ポリブタジエンを良好に硬化させることができるようになる。これにより、安価で良好な特性を有するコンポジット推進薬を提供することができる。
【発明が解決しようとする課題】
一般的なコンポジット推進薬に用いられる水酸基末端液状ポリブタジエンは、入手困難な特殊品であるため高価である。これに対し、特許文献4では、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンの使用量を低減させる技術が検討されている。しかしながら、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンが用いられる以上、その使用量を低減させたとしても、安価なコンポジット推進薬が得られない。
一般的なコンポジット推進薬に用いられる水酸基末端液状ポリブタジエンは、入手困難な特殊品であるため高価である。これに対し、特許文献4では、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンの使用量を低減させる技術が検討されている。しかしながら、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンが用いられる以上、その使用量を低減させたとしても、安価なコンポジット推進薬が得られない。
[18] コンポジット推進薬 JP 2016-60645 A 2016.4.25
【課題】
安価で良好な伸び特性を有するコンポジット推進薬を提供する。
安価で良好な伸び特性を有するコンポジット推進薬を提供する。
【解決手段】
過塩素酸アンモニウム50〜88重量部と、金属粉末2〜25重量部と、数平均分子量が2000〜4000であり、1分子中の平均水酸基数が2.2〜2.6である水酸基末端液状ポリブタジエンと、ジオールからなるポリマー鎖延長剤とを主成分とするバインダー10〜35重量部とを含有する混合物を硬化させて得られ、20℃における架橋点間平均分子量が800〜2300であるコンポジット推進薬。前記ポリマー鎖延長剤は数平均分子量が500〜4000であるジオールポリマーが好ましく、前記金属粉末はマグナリウムとアルミニウムとのうちの少なくとも一方を含み、1〜50μmの平均粒子径を有するコンポジット推進薬。
過塩素酸アンモニウム50〜88重量部と、金属粉末2〜25重量部と、数平均分子量が2000〜4000であり、1分子中の平均水酸基数が2.2〜2.6である水酸基末端液状ポリブタジエンと、ジオールからなるポリマー鎖延長剤とを主成分とするバインダー10〜35重量部とを含有する混合物を硬化させて得られ、20℃における架橋点間平均分子量が800〜2300であるコンポジット推進薬。前記ポリマー鎖延長剤は数平均分子量が500〜4000であるジオールポリマーが好ましく、前記金属粉末はマグナリウムとアルミニウムとのうちの少なくとも一方を含み、1〜50μmの平均粒子径を有するコンポジット推進薬。
【発明が解決しようとする課題】
一般的なコンポジット推進薬に用いられる水酸基末端液状ポリブタジエンは、入手困難な特殊品であるため高価である。これに対し、特許文献4では、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンの使用量を低減させる技術が検討されている。しかしながら、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンが用いられる以上、その使用量を低減させたとしても、安価なコンポジット推進薬が得られない。
一般的なコンポジット推進薬に用いられる水酸基末端液状ポリブタジエンは、入手困難な特殊品であるため高価である。これに対し、特許文献4では、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンの使用量を低減させる技術が検討されている。しかしながら、高価な水酸基末端液状ポリブタジエンが用いられる以上、その使用量を低減させたとしても、安価なコンポジット推進薬が得られない。
何れも、一般的なコンポジット推進薬に用いられる水酸基末端液状ポリブタジエンは、入手困難な特殊品であるため高価であることを言及した上で、安価で良好な特性を有するコンポジット推進薬を提案している。
In April 2019, the Ground Firing Test of the Low Cost Solid Rocket Motor was conducted jointly by Canon Electronics and Japan Carlit Co. at the JAXA Noshiro Rocket Testing Center. In the past, it has been reported that Canon Electronics is the main investor in Space One, a satellite-launching rocket company, and is developing the project based on IHI Aerospace's propulsion system and rocket technology. The fact that the two companies have now jointly tested a solid rocket motor in a ground-firing test shows that they are trying to go beyond existing, established technologies to lower the cost of the rocket.
1.The ground combustion test of a low-cost solid rocket motor performed at the JAXA Noshiro Rocket Testing Center
Atmospheric combustion test of a low-cost solid rocket motor at the Noshiro Rocket Testing Center
(Quoted by theHokuu shimpo)
Successful Motor Combustion Test 2019.04.11 Hokuu shimpo
The Institute of Space and Astronautical Science (ISAS) of the Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA) conducted an atmospheric combustion test of a low-cost solid rocket motor using general-purpose materials at the Noshiro Rocket Testing Center in Asanai, Noshiro City, Japan, on March 10. The test was completed without any trouble, and the motor, which is under joint research with Canon Electronics Inc. The test was completed without any trouble, and the company said that it has obtained useful data, and will continue to make improvements with a view to commercialization.
Normally, most of the materials used for rockets are specialized, but ISAS has been studying ways to maintain quality and reduce costs by applying general industrial materials to solid rocket motors in order to improve the launch frequency.
This time, a motor of about 3.5 meters in length and 52cm in diameter was tested. The motor case was made of carbon-fiber-reinforced plastic by filament-winding method (a method in which a mold is wrapped around the motor case) and filled with approximately 1 metric ton of AP (ammonium perchlorate) composite propellant as a solid propellant.
The motor and nozzle were manufactured by Cannon Electronics, and the propellant was manufactured by Japan Carlit Co., while ISAS conducted a safety review of the propellant. The total length of the motor and the amount of propellant is about three times larger than the previous test.
The test was originally scheduled to be held on the 8th, but the schedule was rescheduled due to a possibility of smoke being blown into the Asanai area because of the continuing westerly wind.
The work progressed smoothly, and the conditions were good because the wind was light and blowing toward the ocean. When the motor was ignited at around 8:00 a.m. after counting down the seconds, flames and white smoke billowed out of the test building where the motor was installed, and a rumbling sound could be heard.
According to Dr. Ken Goto, Associate Professor of the Space Flight Engineering Department at ISAS, who is also the chief security officer and acting chief scientist of the experiment, the combustion time was about 18 seconds and the maximum thrust was about 165 Newtons, which was almost exactly as planned. The cooperation with both companies can be carried out smoothly, and if the motor alone is considered, it is at the level of a small rocket.
Associate Professor Goto said, "We will continue to improve the overall performance and quality of the motor, such as its heat resistance, and aim to develop a motor that can actually fly a rocket. We hope that this will encourage the participation of private companies in space development and help develop the human resources that will support the nation.
Cannon Electronics and Japan Carlit Co., which are working together on the research, will get into the space development business in earnest in the future, he said.
[1] http://kyodoshi.com/article/4119 (end quote)
2.Solid Fuel Rocket Launch Companies: Space One and Canon Electronics
Canon Electronics announced in 2018 that it had co-founded SPACE ONE, a joint venture to promote the small rocket launch business. (A venture called One Space was also established in China, but it differs from this one.)
Space One, which was established by Canon Electronics, IHI Aerospace, Shimizu Corporation and the Development Bank of Japan, aims to provide the world's shortest contract-to-launch time and highest launch frequency by providing a dedicated small rocket and launch site, with the aim of making the project a reality by 2021. Construction of the rocket launch site is scheduled to begin in 2019, with construction and operation scheduled to be completed in 2021.
In terms of rocket technology, MHI has been cooperating with IHI Aerospace, Japan's leading space rocket manufacturer, since the days of the Institute of Space and Astronautical Science (ISAS) at the University of Tokyo, where it has long been involved in the production of solid-fuel rockets for space use, although the company has since moved on from Fuji Seimitsu Kogyo Co.
Performance values of the rocket that Space One is planning to launch
・Length: 18m
・Weighs about 23 tons
・Three-stage solid fuel rocket + liquid propulsion system (PBS)
・The ability to put a satellite into orbit
Low earth orbit: 250 kg (inclination: 97 degrees, altitude: 500 km)
Sun-synchronous orbit: 150 kg (orbital inclination: 33 degrees, altitude: 500 km)
By the mid-2020s, the company expects to launch 20 rockets per year.
Space One actually set up a 100 million yen capital company in August 2017 as a new generation small rocket development project. This was increased to 1.4 billion yen in July 2018. Here, Canon Electronics' stake in the company was reduced from 70% to 50%. However, Canon Electronics held a 70% stake in the company at its inception, indicating that it was initiated and established by Canon Electronics. The other 30% was initially held by IHI Aerospace, Shimizu Corporation, and the Development Bank of Japan (DBJ), each holding 10% of the company's shares. Their respective percentages after the capital increase are not known.
Canon Electronics has already been involved in the small satellite business for some time now, and has announced that it is targeting sales of 100 billion yen from its space business by 2030. President Hisashi Sakamaki said, "Japan's private sector has been slow to enter the space industry. Sakamaki said, "Japan's private sector has been slow to enter the space industry, so we will take aggressive steps to package the business from satellites to rockets," he said.
In fact, Space One's official Web site states that it is a "one-stop shop for satellites, from manufacturing to launch”.
In the future, the Canon Electronics Group will manufacture rockets and build a dedicated launch site. In the future, the Canon Electronics Group will manufacture rockets and build a dedicated launch site. We will be able to provide a one-stop service from satellite manufacturing to launch to meet the needs of the space-related market.
The company has stated that it may expand its business to provide a one-stop shop for space development (i.e., centralization) and package the launch vehicle from production to launch. If the entire system could be made in-house, vertical integration could lead to higher profit margins.
[2] 「スペースワン」小型ロケット運用へ キヤノン電子やIHIエアロら、2021年度の事業化目指す,
https://sorae.info/030201/2018_07_03_spaceone.html
[3] Space One, https://www.space-one.co.jp/index.html
[4] Space One solution, https://www.space-one.co.jp/doc/solution.pdf
[5] Space One 決算報告書 平成30年, https://www.space-one.co.jp/doc/ir2018.pdf
[6] https://news.mynavi.jp/top/present/present/
[7] スペースワン、和歌山県串本町に小型ロケット射場を建設へ, https://sorae.info/030201/2019_03_26_one.html
[8] 新世代小型ロケット開発企画株式会社の事業会社化について,
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2018/2018014.html
[9] 小型ロケット「21年度事業化」 キヤノン系が増資,
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32502530S8A700C1TJ3000/
[10] キヤノン電子初の衛星打ち上げへ, https://sorabatake.jp/1202/
[11] 1000億円達成へ大きな1歩、キヤノン電子, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26526780V00C18A2X12000/
[12] キャノン電子, https://www.canon-elec.co.jp/space/
[14] キヤノン電子など4社、小型ロケット打ち上げ参入,
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGG04H54_U7A800C1000000/
3.Rocket Motor Ground Firing Test by Canon Electronics Inc. and Japan Carlit Co.,Ltd.
It has been reported that Canon Electronics and Japan Carlit Co. have conducted a ground-firing test of a low-cost solid rocket motor made of general-purpose materials. The rocket motor is about 3.5m long and 52cm in diameter, and is manufactured in a CFRP motor case, the motor and nozzle are manufactured by Canon Electronics, and the propellant is manufactured by Japan Carlit Co. This shows that it was manufactured exclusively for ground combustion tests.
However, on the other hand
The overall length of the motor and the amount of propellant scaled up by about three times compared to the previous test.
We're working on ways to reduce costs while maintaining quality, such as applying general industrial materials to solid-state rocket motors.
The article also says that it is not just a one-time experiment, but an ongoing one, and that it is using common industrial materials. The article does not mention IHI Aerospace, which is expected to manufacture the solid rocket motors that will be used to propel Space One.
Japan Carlit Co. is the company that makes ammonium perchlorate (AP), the oxidizer that makes up the bulk of the composite propellant in solid-fuel rocket motors, and the press reports indicate that Canon Electronics manufactures the motors and nozzles and has a direct tie-up with the propellant company. It is apparent that the company is trying to go beyond existing, established technology to lower the cost of the rocket.
4.What are general industrial materials used in rocket motors?
The parts of solid rocket motors exposed to high temperature and pressure, i.e., nozzles and motor cases made of CFRP, cannot be converted from commercially available products, nor can they be made by using general-purpose tubes. Therefore, what are the common industrial materials used in rocket motors? And when you think about it, the guess comes down to propellant.
If you think about what percentage of the mass accounts for the most mass in a solid fuel rocket motor, it's composite fuel, and it's grain. The higher the percentage of mass, the higher the percentage of price. Typically, most of the grains used in rocket motors are formed from ammonium perchlorate (AP), terminal hydroxyl polybutadiene (HTPB) and hardener, and aluminum powder (Al).
For example, the composition ratio of SRB-A rocket booster of H-2A rocket is as follows. (Composite propellant BP-207J)
- Ammonium perchlorate (AP): 68%
- Hydroxyl-terminated polybutadiene (HTPB): 14%
- Aluminum powder (Al): 18%.
All of them can be considered as general industrial materials. However, to use them as materials for rocket motors, there are several points to consider. First of all, since they are solid fuels, the diameter of the particles is important to promote the chemical reaction. In order to secure the ideal combustion speed for the rocket motor and to improve the specific impulse (i.e., fuel consumption), it is necessary to crush AP and Al into fine particles by a jet mill. It is obvious that the price will be higher if the mechanical process of atomization is included, which can be used in situations where oxidizer and dust explosion hazards are expected, and the explosion-proof type is used for atomization.
[14] Acquisition of combustion characteristics of solid propellant using ammonium perchlorate by a new synthetic method,
[15] Summary of Space Cluster's analysis of North Korea's solid fuel rockets, https://togetter.com/li/953851
HTPB, which is a binder for hardening powders such as AP and Al and a fuel partner of AP oxidizer, is widely available and used for industrial use in general, but HTPB and hardener, which are designed to be burned as a rocket motor, are actually manufactured as high-grade specialties. It has been manufactured by a licensed production of an American company. They are manufactured under license from an American company. It is natural that the price is higher if it is a special product.
The price of the rocket motor could be lowered if the propellant is made of general industrial materials without excessive propellant refinement or special HTPB. Isn't it possible that this is the area that was being pursued?
5.Japan Carlit Co. had filed a patent application for a cheap composite propellant
For example, for JAXA's H-2A and H-2B launch vehicles, IHI Aerospace manufactures the entire SRB motor case, and Nippon Oil & Fats mixes composite propellants in a mixer at Tanegashima and injects them into the rocket motor case. Japan Carlit Co. is believed to be the seller and supplier of the AP used for the propellant.
[16] NOF CORPORATION , https://www.nof.co.jp/business/explosive/product01.html
However, in 2014, Japan Carlit Co. filed two patents for composite propellants for rockets, including the following. (Assessments identification was ultimately rejected.)
[17] Composite propellant JP 2016-11624 A 2016.1.21
[Issues]
To provide composite propellants with inexpensive and good properties.
[Solution]
The composite propellant contains ammonium perchlorate, a metal powder and a binder. The above binder is mainly composed of a hydroxyl-terminated liquid polybutadiene having a number average molecular weight of 2,000 to 4,000 and an average number of hydroxyl groups in one molecule of 2.2 to 2.6, and a hexamethylene diisocyanate-based curing agent. In this composition, by using the hexamethylene diisocyanate curing agent, the hydroxyl group-terminated liquid polybutadiene, which is a general-purpose product, can be cured well. This can provide a composite propellant having good properties at a low cost.
[The problem to be solved by the invention]
Hydroxyl-terminated liquid polybutadiene, which is used as a common composite propellant, is expensive because it is a special product that is difficult to obtain. In contrast, in Patent 4, a technique for reducing the amount of expensive hydroxyl-terminated liquid polybutadiene is examined. However, as long as expensive hydroxyl-terminated liquid polybutadiene is used, an inexpensive composite propellant cannot be obtained even if the amount of the hydroxyl-terminated liquid polybutadiene is reduced.
[18] Composite propellant JP 2016-60645 A 2016.4.25
[Issues]
To provide a composite propellant having good elongation characteristics at an inexpensive price.
[Solution]
50 to 88 parts by weight of ammonium perchlorate, 2 to 25 parts by weight of metal powder, 10 to 35 parts by weight of a binder composed mainly of a hydroxylated terminal liquid polybutadiene having a number average molecular weight of 2000 to 4000 and an average number of hydroxyl groups in one molecule of 2.2 to 2.6, and a polymer chain extender comprising diols. A composite propellant obtained by curing a mixture containing a composite propellant with an average molecular weight of 800-2300 between cross-linking points at 20°C. The polymer chain extender is preferably a diol polymer having a number average molecular weight of 500-4000, and the metal powder contains at least one of magnarium and aluminum, and the composite propellant having an average particle size of 1-50 μm.
[The problem to be solved by the invention]
Hydroxyl-terminated liquid polybutadiene, which is used as a common composite propellant, is expensive because it is a special product that is difficult to obtain. In contrast, in Patent 4, a technique for reducing the amount of expensive hydroxyl-terminated liquid polybutadiene is examined. However, as long as expensive hydroxyl-terminated liquid polybutadiene is used, an inexpensive composite propellant cannot be obtained even if the amount of the hydroxyl-terminated liquid polybutadiene is reduced.
In each case, a composite propellant with good properties at low cost is proposed, after mentioning that the hydroxyl-terminated liquid polybutadiene used in common composite propellants is expensive because it is a special product that is difficult to obtain.
The published information indicates that they may have tried to use general industrial HTPB to make a cheap rocket motor.
0 件のコメント:
コメントを投稿