2019年7月24日水曜日

ロッキードマーチン、小型打上げロケットベンチャー ABL Space Systemsに投資, Lockheed Martin invests in small launch vehicle startup ABL Space Systems, RS1 rocket

ロッキードマーチン、小型打上げロケットベンチャー ABL Space Systemsに投資 RS1ロケット,
Lockheed Martin invests in small launch vehicle startup ABL Space Systems, RS1 rocket



ロッキードマーチンベンチャーは、RS1ロケット開発を行うABL Space Systemsに投資を行った様ですが、エレクトロンロケット打ち上げを成功させたRocket Labに対しても、2015年にシリーズB資金調達に投資家として参加した様です。


      


ロッキードマーチンのベンチャー部門は、小型打上げロケットベンチャーである、ABL Space Systemsに投資した。これは、航空宇宙大手が2番目に投資したベンチャー企業となる。

ABL Space Systemsは7月22日に、ロッキードマーチンベンチャーからの「戦略的投資」を受けたと発表した。

カリフォルニア州エルセグンドに本拠を置くABL Space Systemsは、RS1小型ロケットを開発中である。同社は今年初め、RS1ロケットは、1200万ドルの打上げ価格で、低地球周回軌道に1200kgの衛星を投入出来ると発表している。

今年中に統合ステージ試験を含めたRS1の開発とテストプログラムを支援するためにロッキードの投資からの資金を使うと述べている。最初の打ち上げは、2020年に計画されている。

今年初めのABL Space Systemsは、ブロードバンドインターネット衛星、メガコンステレーション計画を実行するためにRS1が役割を果たせると強調した。
ロッキードマーチンもまた、政府の打ち上げ調達事業等において、モジュラー化されたシステムを採用することで、どんな打ち上げ射場からもオペレーションが可能なRS1を使用するのは有用であると強調している。

ABL Space SystemsのCEO、Harry O'Hanley氏は、今回の買収を発表した声明の中で、「米国政府は、即応性のある小型打ち上げロケットと、小型ロケットそれぞれが持つ独自機能にますます関心を寄せている。」と述べた。

ロッキードマーチンスペースは何十年もの間、米国政府にエンドツーエンドのソリューションを提供してきた。そして今まで築き上げた体制によって、ABL製品も届けることが出来ると主張。また、RS1ロケットが即応型宇宙用途で果たすことができる役割を強調した。


ロッキード・マーティンスペースのエグゼクティブバイスプレジデントを務めるリック・アンブローズは、次のように述べている。

「ABL Space Systemsへのロッキードの投資は、小規模な打ち上げスタートアップに初めて投資したわけではない。ロッキード・マーティン・ベンチャーズは2015年にRocket LabのシリーズB資金調達に参加した。これは、Rocket Labが、エレクトロンロケットを開発していたため、非公開規模の「戦略的投資」を行った。 」

2018年1月の会議で、ロッキードマーチンベンチャーズのクリス・モランは、
「我々は、低コストかつ高頻度に宇宙へアクセスする手段を欲している。そしてそれが実現すれば、これまでとは異なるミッションの種類が可能となるだろう。我々は、米国政府がその様なアクセス手段を欲しがっている事を前から知っていた。」と発言している。


ロッキードマーティンはその後、スコットランド北部の射場からRocket Labのエレクトロンロケットの打ち上げを検討していると述べ、射場について英国政府が射場を整備中であると述べた。ロッキードマーチンは2018年7月に、英国のその射場での業務委託のために、英国宇宙機関から3100万ドルの契約を結んでいる。



これらのニュースは、2019年7月23日に発表されたが、ABL Space Systemsへの投資よりも、ロッキードマーチン社が、2015年からRocket Labに既に投資していたということと、エレクトロンロケットをイギリスから打ち上げるために射場を整備しており、それにロッキードマーチンも噛んでいるという付帯情報の方に価値がありそうである。

ロッキードマーチンが、Rocket LabとABL Systemsという少なくとも2社の宇宙ロケットベンチャーに投資するということは、規模が違うから合理的だとは言え、自前で作るよりもベンチャーに投資して乗っかった方が良いと判断したということだ。

航空宇宙業界の世界最大手であるロッキードマーチンでさえ、自前では開発しないが、小型ロケット打ち上げベンチャーに、投資やら何かしらの関係で噛むことによって、例え自社で開発してなかったとしても、将来の利益を享受しようとしている。さて、他の既存大型ロケット打ち上げ企業はどう動くのだろうか?


◆ABL Space Systems RS1 ロケット


ABL Space Systemsは、実績のある製造技術と三次元積層技術を用いて、技術的リスクが最小限に抑えたロケットであるRS1ロケットを開発中であり、以下の性能値を目指している。




RS1 ロケット本体


直径:72 inch (1.83 m)
長さ:88 feet (26.82m)
打ち上げ能力:1200kg@LEO, 850kg@500km SSO, 400kg@GTO
打ち上げ価格:$12M



搭載ロケットエンジン:E1 ロケットエンジン、E2 ロケットエンジン



E1エンジン 推力    :42000 lbs
E2エンジン 推力(真空中):13000 lbs
推進剤:LOX/RP-1
推進剤供給方式:ターボポンプ
エンジンサイクル:ガス発生サイクル(GG)

ABL Space社内で設計及び製造されたE1,E2エンジンを搭載。革新的な低コストを達成するために、信頼性の高いガス発生サイクルを採用し、実績のある製造技術と三次元積層技術を用いて開発している。



References
[1] Lockheed Martin invests in small launch vehicle startup ABL Space Systems, Jeff Foust, July 23, 2019
https://spacenews.com/lockheed-martin-invests-in-small-launch-vehicle-startup-abl-space-systems/
[2] ABL Space Systems, https://www.ablspacesystems.com/

0 件のコメント:

コメントを投稿