2019年7月27日土曜日

SpaceX Falcon9 ファルコン9 ロケット システム設計 (第1回目), Falcon9 Rocket System Design(1)

SpaceX Falcon9 ファルコン9 ロケット システム設計 (第1回目),
Falcon9 Rocket System Design(1)





Update:2020.12.31




Falcon9 ロケットは、SpaceXが開発した大型の軌道投入用ロケットである。このロケットは、Falcon1に続き開発された。そのため、Falcon1の設計思想を引き継いでいる。

2008年、NASAはISSへの物資補給のために、SpaceXのドラゴン宇宙船を選択した。宇宙飛行士を送り込む複数の契約も行った。Falcon9は、ドラゴン宇宙船を打ち上げるためのロケットであり、最初から有人宇宙飛行にも対応可能な高信頼性設計がなされている。

一方、2015年12月22日、Falcon9 20号機は、11機の人工衛星を低軌道に投入後、1段目の垂直着陸に成功した。この様にFalcon9は、第1段目がフライバックして回収、再使用を前提に設計されている初めての実用軌道投入ロケットである。従って、再使用可能を前提とした設計がなされ、繰り返し使用可能な耐久性も備えている。

この記事では、Falcon9のシステム設計の概要について解説する。「高信頼性」を軸に、合理的に設計した汎用大型ロケットがFalcon9ロケットである。



      


1. Falcon9の設計思想



  1. 単純性、信頼性、低コストの3要素を設計思想の柱としている。(SpaceX 企業思想)単純さに重点を置いて、信頼性とコスト低減を両立させている。
  2. 再利用することを念頭に設計された。(実際は1段目のみ)
  3. 設計マージンを取ることで、風や悪天候に対するロバスト性を確保。
  4. 最も安全な人員輸送システムを設計し、同時に再利用可能なロケットを開発するのが目標であり、世界最高の最も安全なロケット輸送システム設計を目指している。
  5. ロケットエンジン、極低温タンク、アビオニクス、誘導制御ソフトウェア、地上支援装置等の大半を自社内製化。
  6. F9 ver1.0から始まり、1.1…にバージョンがアップデートされている。ロケットの仕様は常に更新され、改良され続けている。

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2. Falcon9ロケットの概要


Falcon9ロケットは、2段式の液体燃料ロケットで、LOXとRP-1を推進剤としている。Falcon9は有人と無人のドラゴン宇宙船を搭載した打ち上げ及び衛星搭載を行う2つのオプションがある。(より強力な派生型のFalcon Heavyも存在する)

両者ともに2段式のシステムで統一されており、第2段目のペイロードインターフェイスのみが変更される。Falcon9は、Ver1.0から始まり、1.1…とバージョンがアップデートされている。ロケットの仕様は常に更新され、改良され続けている。

再利用することを念頭に設計されており、Falcon9 ver.1.2(Full Thrust)の成功以降は第1段目がフライバックして地上・海上回収船に、着陸、回収、整備して再度使用されている場合が多い。垂直着陸には、ロケットエンジンによるスロットリングを伴う逆噴射、そして4つの展開可能な着陸脚とグリッドフィンを用いる。

しかし、第1段目の帰還は、空力制御とロケットエンジンの逆噴射により実施しているため、より多くの推進剤を搭載して打ち上げている。ペイロードが大きい場合、軌道投入への限界性能を引き出す場合には、燃料を軌道投入に全て使用する使い捨て選択肢もある。この他にも、LOXを過冷却として単位体積当たりより多くの推進剤を搭載する事も実施されている。

重要なことは、第1段目は、余剰推進剤を持っていること、余裕があるということである。これにより、打ち上げ成功に必要な性能マージンも十分に確保している。

現在では、アップデートを重ねて、2018年春に打ち上げたFalcon9 Block5が最新版である。(2019年現在)Block5は、ロケットの性能、信頼性、寿命の向上に重点を置いて開発されたバージョンで、衛星投入のみならず、NASAのクルーを乗せたISSとの往復等の有人ミッションに使用される事を想定して開発されている。Block5では、第1段、第2段のロケットエンジンは共に性能が向上されており、新たな機能として、再利用と改修作業をサポートするために、熱保護シールドが修正された。アビオニクス設計、推力構造、その他のコンポーネントも、共通性・信頼性及び性能のためにアップグレードされている。

ドラゴン宇宙船を搭載する場合は、フェアリングとペイロードインターフェイスのみが変更されるだけであり、その他は同じである。




3. Falcon9が対応する衛星軌道


Falcon9と、Falcon Heavyの2つを利用することで、SpaceXは中規模及び大型の発射能力の全てを顧客に提供できる。

ケープカナペラル空軍基地、ケネディ宇宙センター、Vandenberg空軍基地において、Falcon9の打ち上げ施設を運営しており、発射が可能である。将来のミッションでは、テキサス州南で開発中の商業打ち上げ施設からも飛行を予定している。低軌道(LEO)、静止軌道 GTO、深宇宙探査まで、広範囲の傾斜と高度に対応する。




4. Falcon9の安全性


2008年、NASAはISSへの物資補給のために、SpaceXのドラゴン宇宙船を選択した。宇宙飛行士を送り込む複数の契約も行った。Falcon9は、ドラゴン宇宙船を打ち上げるためのロケットであり、最初から有人宇宙飛行にも対応可能な高信頼性設計がなされている。

NASAの人的安全マージンを満たす様に当初から設計されている。安全性を重視することで、安全性の構造的要素が増加した。この事により、従来は人員がいない場合では、安全率が1.25であったが、安全率1.4まで高めることとなった。安全率増加により、大きな冗長性と、トラブルの発生を低減可能となった。

また、自社で丸ごと1基のFalcon9ロケットを製造し、ロケットに関するコンポーネントを内製・自作しているため、設計と製造の隅々までハンドリング出来るため、高水準の信頼性・安全性を確保につながっている。以下に設計と安全性の関係を示す。



1.NASAの人員輸送安全基準に合わせて設計安全性
⇒ 冗長性が増加。障害低減により、人員が搭乗しない場合でも。ペイロード輸送の信頼性が向上。


2.水平による製造、加工、統合
⇒ 数多くの製造、処理、統合のプロセスの中で、高さ方向に係わる作業を低減。頭上で行われる多くの操作を排除した。これはロケットを射場に持ち込む際も同様で、伝統的な米国のスタイルであるロケットを立てた上で移動させるのではなく、ソ連・ロシアの様に水平にして運び、最後に起立させる方式を取っている。


3.全段液体ロケット構成。地上待機中は、燃料・酸化剤が機体と別々に保管、推進剤は直前まで充填されない。
⇒ 固体燃料推進剤、固体ロケットブースタを使用するシステムを排除することで、火工品を扱う危険な地上作業を排除し、安全性を大幅に向上させた。


4.ケロシン/LOX推進剤
⇒ 毒性の高い液体推進剤を使用しておらず、システムの取り扱い、統合、復旧作業に係わる人員の健康被害を軽減する。


5.2段式ロケットシステム
⇒ 全体のシステムの複雑さを低減させる。複数段あるロケットの場合よりも推進剤供給や、オペレーションが容易である。


6.火工品を用いない、窒素ガス圧式の分離システム
⇒ 危険な火工品を用いなくて良く、製造時に「複数回の作動試験」が可能である。これは一発本番である、火工品を用いた分離システムには真似できない特徴である。また、この方式は、軌道上にデブリを発生させない。


7.ハードウェアインザループ(HITL)ソフトウェア試験
⇒ 飛行前にミッションプロファイル全体の完全な検証を実施。




5. Falcon9の信頼性


Aerospace Corporationの調査によると、過去20年間の間に、ロケットエンジン、アビオニクス、ステージ分離の3原因が、ロケットの故障の91%を占めている。この事実に基づいて、SpaceXはこれらの信頼性向上により、高い信頼性をFalcon9ロケットに付与した。信頼性を実現するキーテクノロジーである、ロケットエンジン、アビオニクス、分離機構の信頼性を高めている。




6. Falcon9のロケットエンジン:Merlin エンジン




Falcon9ロケットに搭載されているMerlin1Dエンジン


Falconロケットファミリーに使用されている、Merlinエンジンは、過去40年間で米国で開発され、飛行された唯一の新型炭化水素系ロケットエンジンである。(比推力を高く取れることから、液体酸素、液体水素推進剤のロケットエンジンが近年では主であった。)

このMerlinエンジンは、打ち上げロケットエンジン(ブースター用、第1段用)としては、今まで歴史上開発されたロケットエンジンの中で、最も高い推力重量比を達成している。

複雑な2段燃焼サイクルを放棄して、ガスジェネレータ(GG)サイクルを選択した。そして、LOXポンプ、燃料ポンプ及びタービン用のシャフトを一列同軸にした単一軸の信頼性の高い設計のターボポンプを採用している。このターボポンプ構成は、ソ連・ロシアでよく見られる設計方式である。

再生冷却ノズルと、燃焼室は大きな熱流束マージンを有する、削り出しの銅合金ライナーを使用して製造されている。搭載されているピントルインジェクターは、ロケットエンジンの燃焼安定性を提供し、振動燃焼を起こさない。

ロケットエンジン不具合が起きた際は、必要に応じてサブシステムを排除することにより、そのミッション影響を最小限に抑える設計となっている。

例えば、第1段目のTVC制御用油圧は、エンジンターボポンプからタップオフされる。これにより、別途油圧系を必要とせず、燃料を使用することで、作動油枯渇に伴う、潜在的な故障リスクを排除する。

毎回の打ち上げにあたって、Falcon9ロケットでは、10個のロケットエンジン。Falcon heavyでは、28個のロケットエンジンを使用する。クラスタリングを行っているためだが、これによりロケットエンジンの大量生産が必要となる。この大量のニーズに対して、製造プロセス管理をされた連続生産を行うことで、結果として高い製品品質と均一性を実現している。

大量のロケットエンジンを生産し、これを各ミッションで使用することは、短期間にエンジンに関する大量の技術データとフライトログを取得することにつながる。このため、これらの実機データを開発にフィードバックすることで、新規開発要素を加えたとしても、短期間に実際の信頼性の高いエンジンを獲得できる。

クラスタリングの発想は、ソ連・ロシアが源流であるが、これほどポンプも含めてクラスタリングして成功した例はない。月面有人着陸を目指したN1ロケットは、NK-15を30基備えていたが、開発に失敗している。

ロケットエンジン点火後すぐには、ロケットを発射せず地上に保持することで自動モニタリングを実施している。自動的なカウントダウンシーケンスにより実現されており、打ち上げの際に、ロケットエンジンの各種ノミナル値を自動チェックするためである。問題があれば、自動的に安全なシャットダウンを行う。エンジンの不具合を確認する。初期段階で確認することにより、エンジンの始動不良や、性能低下によるミッション失敗のリスクを大幅に防ぐことが可能である。

異常を検出した場合、点火時に異常状態のものは、打ち上げたとしても失敗に終わる可能性が高い。一旦空に打ち上れば、回収も中断も出来ないが(再利用の場合でも、失敗した場合回収できない)、発射台から離れなければ、中断、回収してロケットの修理も可能である。

これは液体燃料ロケットエンジンを搭載しているロケットの利点であり、「Hold on padオペレーション」と呼ばれる。(固体燃料ロケットモータでは不可能)


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7. Falcon9のロケットエンジン:飛行中のロケットエンジン停止能力




Falcon9ロケットのクラスタリングされたロケットエンジンノズル


複数のエンジンを第1段目に搭載することで、SpaceXは世界で初めて、第1段目による飛行時間を通じて、エンジン停止能力(Engine Out)を備えたEELV (Envolved Expendable Launch Vehicle)クラスのシステムを提供している。

Falcon9は、アポロを月面に送ったサターンVロケットと同様のエンジン停止モードを備えている。例えば、アポロ13号では、サターンVの第1段エンジンであるF-1ロケットエンジンが異常を示したが、エンジンを停止して、他の4つのエンジンを長く燃やすことで、予定の軌道に投入している。(映画:アポロ13 サターンV打ち上げシーン参照)

この様に、ロケットエンジンに不具合が発生した場合にも、停止させて他を長く燃やすことで、ミッションを継続することが可能である。Falcon9のシステムマネージメントソフトウェアは、ノミナル外のエンジン状態に対応して、エンジン停止を判断・制御する。

これにより、飛行中における壊滅的なエンジン故障の可能性は低くなる。故障したエンジンは壊滅的な故障に先立ち停止する様に設計されてる一方、各エンジンが破壊的な挙動を起こした際の最大限の対策として、隣接するエンジンから隔離するために、独自の金属ベイの中に収容されている。これは、Falcon9が人員を打ち上げることを想定した設計である。




8. Falcon9のロケットエンジン:Merlin Vacuumエンジン


第2段目のMerlin Vacuumエンジンは、固定式の拡張ノズルを使用し、延伸ノズルの潜在的な故障可能性を排除している。展開しなかった時にはミッションが失敗に終わる可能性が高いことを考慮して、あえて最初から固定としている。ノズルを収容するために、ロケットの長さは大きくなるが、稼働部品を少なくし、故障の可能性が極力下げている。




Falcon9 第2段目のMerlin Vacuumエンジン


Falcon9 第2段目のMerlin Vacuumエンジンは、稼働部品を無くすためノズルが最初から固定式である。また、分離機構、ロケットエンジン、アビオニクスを増せば増やす程、ロケットシステム全体の故障リスクが上がるため、段数を最小限の2段式にして、それらを最小限にしている。




M-Vロケットの第3段目のロケットモータに搭載された伸展ノズルの例

宇宙空間にて飛行中にノズルを展開する方式。ロケットの全長が短くなり、コンパクトになる利点はあるが、機械的な稼働部品を用いるため、ロケットシステム全体の故障確率も上がる。


(続く)


      


References
[1] Falcon9 Launch Vehicle Payload User’s Guide Rev1
      https://www.spaceflightnow.com/falcon9/001/f9guide.pdf
[2] FALCON USER’S GUIDE JANUARY 2019
      https://www.spacex.com/sites/spacex/files/falcon_users_guide.pdf
[3] M-Vロケット6号機(ASTRO-EII)実験予定日の変更について, 宇宙航空研究開発機構, 平成17年6月1日
      http://www.jaxa.jp/press/2005/06/20050601_sac_m-v6_j.html
[4] Space Launch Report: SpaceX Falcon 9 v1.2 Data Sheet,
      https://spacelaunchreport.com/falcon9ft.html
[5] Report: Congressional analysts worry SpaceX engines are prone to cracks
     https://arstechnica.com/science/2017/02/report-congressional-analysts-worry-spacex-engines-are-prone-to-cracks/
[6] SES Rethinking Being First To Fly a Full-throttle Falcon 9,
     https://spacenews.com/ses-rethinking-being-first-to-fly-on-a-full-throttle-falcon-9/















The Falcon 9 rocket is a large orbit insertion rocket developed by SpaceX. This rocket was developed following the Falcon 1. As such, it inherits the design concept of Falcon 1.

In 2008, NASA selected SpaceX's Dragon spacecraft to deliver supplies to the ISS, and also signed several contracts to send astronauts to the ISS.

Meanwhile, on December 22, 2015, Falcon 9 20 successfully landed its first stage vertically after injecting 11 satellites into low Earth orbit. Thus, the Falcon 9 is the first practical orbit injection rocket that is designed to recover the first stage after flyback and reuse. Thus, Falcon 9 is the first practical orbit injection rocket designed for first stage flyback and reuse, and is therefore designed to be reusable and durable enough to be used repeatedly.

This article provides an overview of the system design of Falcon 9. The Falcon 9 rocket is a general-purpose large-size rocket designed rationally with "high reliability" as its core.



      


1. Falcon 9 design philosophy



  1. The three elements of simplicity, reliability, and low cost are the pillars of our design philosophy. (SpaceX corporate philosophy) Emphasis on simplicity to achieve both reliability and cost reduction.
  2. It was designed with reuse in mind. (Actually, only the first stage.)
  3. Robustness to wind and inclement weather by taking design margins.
  4. The goal is to design the safest personnel transportation system and at the same time develop a reusable rocket, aiming to design the world's best and safest rocket transportation system.
  5. Most of the rocket engines, cryogenic tanks, avionics, guidance and control software, and ground support equipment are manufactured in-house.
  6. Starting with F9 ver1.0, the version has been updated to 1.1 and beyond. The specifications of the rocket are constantly being updated and improved.

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2. Overview of the Falcon 9 rocket


The Falcon 9 is a two-stage, liquid-fueled rocket using LOX and RP-1 propellants, with two options for launching manned and unmanned Dragon spacecraft and carrying satellites. (There is also a more powerful derivative, the Falcon Heavy.

Both are unified by a two-stage system, with only the payload interface of the second stage being modified; Falcon 9 started with version 1.0 and has been updated to 1.1... The specifications of the rocket are constantly being updated and improved.

Since the success of Falcon 9 ver. 1.2 (Full Thrust), the first stage has been flybacked to a ground/sea recovery ship for landing, recovery, maintenance, and reuse in many cases. For vertical landing, reverse thrust with throttling by rocket engines, and four deployable landing legs and grid fins are used.

However, the return of the first stage is carried out by aerodynamic control and reverse thrusting of the rocket engines, so the spacecraft is launched with more propellant. If the payload is large, there is a disposable option to use all the fuel for orbital insertion if the marginal performance to orbital insertion is to be extracted. Another option is to supercool the LOX and carry more propellant per unit volume.

The important thing to remember is that the first stage has excess propellant and can afford it. This also ensures that the performance margin required for a successful launch is sufficient.

Currently, after a series of updates, the latest version is Falcon 9 Block 5, which was launched in the spring of 2018. (As of 2019) Block 5 is a version developed with an emphasis on improving the performance, reliability, and lifespan of the launch vehicle, and is intended to be used not only for satellite launch but also for manned missions such as a round trip to the ISS with a NASA crew. In Block 5, both the first and second stage rocket engines have been upgraded, and new features include a modified heat protection shield to support reuse and refurbishment operations. Avionics design, thrust structure and other components have also been upgraded for commonality, reliability and performance.

When carrying the Dragon spacecraft, only the fairing and payload interface will be modified; everything else will be the same.

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3. Satellite orbits supported by Falcon 9


With the Falcon 9 and the Falcon Heavy, SpaceX can offer its customers the full range of medium and large launch capabilities.

The company operates Falcon 9 launch facilities at Cape Canaveral Air Force Station, Kennedy Space Center, and Vandenberg Air Force Base, and is capable of launching. Future missions will also be flown from a commercial launch facility under development in South Texas. It is capable of a wide range of inclinations and altitudes, from low earth orbit (LEO) and geostationary orbit GTO to deep space exploration.





4. Falcon9 Safety


In 2008, NASA selected SpaceX's Dragon spacecraft to deliver supplies to the ISS, as well as multiple contracts to send astronauts to the ISS. Falcon 9, the launch vehicle for the Dragon spacecraft, was designed from the start to be highly reliable and capable of human spaceflight.

It was designed from the beginning to meet NASA's human safety margin. The emphasis on safety has led to an increase in the structural elements of safety. This has resulted in an increase in the safety factor from 1.25 to 1.4 when no personnel are present. The increase in the safety factor has resulted in greater redundancy and reduced the occurrence of problems.

In addition, since the company manufactures an entire Falcon 9 rocket in-house and produces its own rocket components, it is able to handle every aspect of design and manufacturing, which helps to ensure a high level of reliability and safety. The relationship between design and safety is shown below.




1.Design safety to meet NASA's personnel transportation safety standards
⇒ Increased redundancy. Reduced failures, even when no personnel are on board. Increased reliability of payload transport.


2.Horizontal manufacturing, processing, and integration
⇒ Reduced the amount of work involved in the height direction during the many manufacturing, processing, and integration processes. Many operations performed overhead have been eliminated. This is also the case when the rockets are brought to the launch site. Instead of moving the rockets in an upright position, which is the traditional U.S. style, the rockets are transported in a horizontal position, as in the Soviet Union and Russia, and finally brought upright.


3.All stage liquid rocket configuration. During ground standby, fuel and oxidizer are stored separately from the airframe, and propellant is not loaded until the last minute.
⇒ By eliminating systems that use solid fuel propellants and solid rocket boosters, dangerous ground operations involving pyrotechnics were eliminated and safety was greatly improved.


4.Kerosene/LOX propellant
⇒ No highly toxic liquid propellants are used, reducing the health hazards for personnel involved in system handling, integration, and recovery operations.


5.Two-stage rocket system
⇒ Reduce the complexity of the overall system. Propellant supply and operations are easier than for multi-stage rockets.


6.Nitrogen gas pressure type separation system without pyrotechnics
⇒ It does not require the use of dangerous pyrotechnics and can be tested multiple times during production. This is a feature that cannot be imitated by pyrotechnic separation systems, which are one-shot production systems. In addition, this method does not generate debris in orbit.


7.Hardware-in-the-loop (HITL) software testing
⇒ A complete validation of the entire mission profile is performed prior to flight.



5. Falcon9 Reliability


According to a study by Aerospace Corporation, over the past 20 years, three causes accounted for 91% of rocket failures: rocket engines, avionics, and stage separation. Based on this fact, SpaceX has made these reliability improvements to give the Falcon 9 rocket a high level of reliability. The reliability of the rocket engine, avionics, and separation mechanism, which are key technologies to achieve reliability, has been improved.




6. Falcon 9 rocket engine: Merlin engine




The Merlin 1D engine on board the Falcon 9 rocket.


The Merlin engine, used in the Falcon family of rockets, is the only new hydrocarbon rocket engine developed and flown in the U.S. in the past 40 years (liquid oxygen and liquid hydrogen propellant rocket engines have predominated in recent years due to their higher specific impulse).

The Merlin engine has the highest thrust-to-weight ratio of any launch rocket engine (booster, first stage) ever developed in history.

The complex two-stage combustion cycle was abandoned in favor of the gas generator (GG) cycle. And it uses a single-shaft, reliable design turbopump with a single row of coaxial shafts for the LOX pump, fuel pump and turbine. This turbopump configuration is a common design method in the Soviet Union and Russia.

The regenerative cooling nozzles and the combustion chamber are manufactured using machined copper alloy liners with a large heat flux margin. The on-board pintle injectors provide combustion stability for the rocket engine and do not cause oscillating combustion.

In the event of a rocket engine failure, the design minimizes its mission impact by eliminating subsystems as necessary.

For example, the hydraulic pressure for the first stage TVC control is tapped off from the engine turbo pump. This eliminates the need for a separate hydraulic system, and the use of fuel eliminates the risk of potential failure due to hydraulic fluid depletion.

For each launch, the Falcon 9 rocket will use 10 rocket engines, and the Falcon heavy will use 28 rocket engines. This is because of clustering, which requires mass production of rocket engines. To meet the needs of this large volume, the manufacturing process is controlled and continuous, resulting in high product quality and uniformity.

The production of a large number of rocket engines and their use in each mission leads to the acquisition of a large amount of technical data and flight logs related to the engines in a short period of time. Therefore, by feeding back these actual data to the development, an actual reliable engine can be obtained in a short period of time, even if new development elements are added.

The idea of clustering originated in the Soviet Union and Russia, but there has never been such a successful example of clustering, including pumps. The N1 rocket, which aimed to land a man on the moon, was equipped with 30 NK-15s, but failed in its development.

Immediately after ignition of the rocket engine, automatic monitoring is performed by holding the rocket on the ground without firing it. This is achieved by an automatic countdown sequence, and is to automatically check various nominal values of the rocket engine at the time of launch. If there is a problem, it automatically performs a safe shutdown. Check for engine problems. By checking at the initial stage, it is possible to greatly prevent the risk of mission failure due to poor engine starting or poor performance.

If an abnormality is detected and the engine is in an abnormal state at the time of ignition, there is a high possibility that the launch will end in failure. Once the rocket is launched into the sky, it cannot be recovered or interrupted (even for reuse, it cannot be recovered in case of failure), but if it does not leave the launch pad, it can be interrupted, recovered, and the rocket can be repaired.

This is an advantage of rockets equipped with liquid-fuel rocket engines, and is called "hold on pad operation. This is an advantage of rockets powered by liquid-fuel rocket engines and is called "hold on pad operation.


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7. Falcon 9 Rocket Engines: Ability to Shut Down Rocket Engines in Flight




Clustering rocket engine nozzles on a Falcon 9 rocket.


By installing multiple engines in the first stage, SpaceX is providing the world's first EELV (Envolved Expendable Launch Vehicle) class system with Engine Out capability throughout the flight time of the first stage.

The Falcon 9 has an engine out mode similar to the Saturn V rocket that sent Apollo to the Moon. For example, on Apollo 13, the F-1 rocket engine, the first stage engine of the Saturn V, showed an anomaly, but by shutting down the engine and letting the other four engines burn longer, they were able to put it into the planned orbit. (See the movie: Apollo 13 Saturn V launch scene)

The Falcon 9's system management software determines and controls engine shutdown in response to non-nominal engine conditions.

This reduces the likelihood of catastrophic engine failure in flight. Failed engines are designed to be shut down prior to catastrophic failure, while each engine is housed in its own metal bay to isolate it from adjacent engines for maximum protection in the event of catastrophic behavior. This is designed to allow the Falcon 9 to launch personnel.




8. Falcon 9 rocket engine: Merlin Vacuum engine


The second stage Merlin Vacuum engine uses a fixed expansion nozzle to eliminate the potential failure of the extension nozzle. It is deliberately fixed from the beginning, considering the high possibility that the mission will fail if it is not deployed. To accommodate the nozzle, the length of the rocket is increased, but the number of working parts is reduced, and the possibility of failure is reduced as much as possible.




Falcon9 2nd stage Merlin Vacuum engine


In the Merlin vacuum engine, the nozzle is fixed from the start to eliminate moving parts. In addition, the more separation mechanisms, rocket engines, and avionics are added, the higher the risk of failure of the entire rocket system.




Example of an extension nozzle mounted on the third stage rocket motor of the M-V rocket.


This is a method of deploying the nozzle during flight in space. It has the advantage of shortening the overall length of the rocket and making it more compact, but it also increases the probability of failure of the entire rocket system due to the use of mechanical operating parts.



(To be continued)



      


References
[1] Falcon9 Launch Vehicle Payload User’s Guide Rev1
      https://www.spaceflightnow.com/falcon9/001/f9guide.pdf
[2] FALCON USER’S GUIDE JANUARY 2019
      https://www.spacex.com/sites/spacex/files/falcon_users_guide.pdf
[3] M-Vロケット6号機(ASTRO-EII)実験予定日の変更について, 宇宙航空研究開発機構, 平成17年6月1日
      http://www.jaxa.jp/press/2005/06/20050601_sac_m-v6_j.html
[4] Space Launch Report: SpaceX Falcon 9 v1.2 Data Sheet,
      https://spacelaunchreport.com/falcon9ft.html
[5] Report: Congressional analysts worry SpaceX engines are prone to cracks
     https://arstechnica.com/science/2017/02/report-congressional-analysts-worry-spacex-engines-are-prone-to-cracks/
[6] SES Rethinking Being First To Fly a Full-throttle Falcon 9,
     https://spacenews.com/ses-rethinking-being-first-to-fly-on-a-full-throttle-falcon-9/


2019年7月24日水曜日

ロッキードマーチン、小型打上げロケットベンチャー ABL Space Systemsに投資, Lockheed Martin invests in small launch vehicle startup ABL Space Systems, RS1 rocket

ロッキードマーチン、小型打上げロケットベンチャー ABL Space Systemsに投資 RS1ロケット,
Lockheed Martin invests in small launch vehicle startup ABL Space Systems, RS1 rocket



ロッキードマーチンベンチャーは、RS1ロケット開発を行うABL Space Systemsに投資を行った様ですが、エレクトロンロケット打ち上げを成功させたRocket Labに対しても、2015年にシリーズB資金調達に投資家として参加した様です。


      


ロッキードマーチンのベンチャー部門は、小型打上げロケットベンチャーである、ABL Space Systemsに投資した。これは、航空宇宙大手が2番目に投資したベンチャー企業となる。

ABL Space Systemsは7月22日に、ロッキードマーチンベンチャーからの「戦略的投資」を受けたと発表した。

カリフォルニア州エルセグンドに本拠を置くABL Space Systemsは、RS1小型ロケットを開発中である。同社は今年初め、RS1ロケットは、1200万ドルの打上げ価格で、低地球周回軌道に1200kgの衛星を投入出来ると発表している。

今年中に統合ステージ試験を含めたRS1の開発とテストプログラムを支援するためにロッキードの投資からの資金を使うと述べている。最初の打ち上げは、2020年に計画されている。

今年初めのABL Space Systemsは、ブロードバンドインターネット衛星、メガコンステレーション計画を実行するためにRS1が役割を果たせると強調した。
ロッキードマーチンもまた、政府の打ち上げ調達事業等において、モジュラー化されたシステムを採用することで、どんな打ち上げ射場からもオペレーションが可能なRS1を使用するのは有用であると強調している。

ABL Space SystemsのCEO、Harry O'Hanley氏は、今回の買収を発表した声明の中で、「米国政府は、即応性のある小型打ち上げロケットと、小型ロケットそれぞれが持つ独自機能にますます関心を寄せている。」と述べた。

ロッキードマーチンスペースは何十年もの間、米国政府にエンドツーエンドのソリューションを提供してきた。そして今まで築き上げた体制によって、ABL製品も届けることが出来ると主張。また、RS1ロケットが即応型宇宙用途で果たすことができる役割を強調した。


ロッキード・マーティンスペースのエグゼクティブバイスプレジデントを務めるリック・アンブローズは、次のように述べている。

「ABL Space Systemsへのロッキードの投資は、小規模な打ち上げスタートアップに初めて投資したわけではない。ロッキード・マーティン・ベンチャーズは2015年にRocket LabのシリーズB資金調達に参加した。これは、Rocket Labが、エレクトロンロケットを開発していたため、非公開規模の「戦略的投資」を行った。 」

2018年1月の会議で、ロッキードマーチンベンチャーズのクリス・モランは、
「我々は、低コストかつ高頻度に宇宙へアクセスする手段を欲している。そしてそれが実現すれば、これまでとは異なるミッションの種類が可能となるだろう。我々は、米国政府がその様なアクセス手段を欲しがっている事を前から知っていた。」と発言している。


ロッキードマーティンはその後、スコットランド北部の射場からRocket Labのエレクトロンロケットの打ち上げを検討していると述べ、射場について英国政府が射場を整備中であると述べた。ロッキードマーチンは2018年7月に、英国のその射場での業務委託のために、英国宇宙機関から3100万ドルの契約を結んでいる。



これらのニュースは、2019年7月23日に発表されたが、ABL Space Systemsへの投資よりも、ロッキードマーチン社が、2015年からRocket Labに既に投資していたということと、エレクトロンロケットをイギリスから打ち上げるために射場を整備しており、それにロッキードマーチンも噛んでいるという付帯情報の方に価値がありそうである。

ロッキードマーチンが、Rocket LabとABL Systemsという少なくとも2社の宇宙ロケットベンチャーに投資するということは、規模が違うから合理的だとは言え、自前で作るよりもベンチャーに投資して乗っかった方が良いと判断したということだ。

航空宇宙業界の世界最大手であるロッキードマーチンでさえ、自前では開発しないが、小型ロケット打ち上げベンチャーに、投資やら何かしらの関係で噛むことによって、例え自社で開発してなかったとしても、将来の利益を享受しようとしている。さて、他の既存大型ロケット打ち上げ企業はどう動くのだろうか?


◆ABL Space Systems RS1 ロケット


ABL Space Systemsは、実績のある製造技術と三次元積層技術を用いて、技術的リスクが最小限に抑えたロケットであるRS1ロケットを開発中であり、以下の性能値を目指している。




RS1 ロケット本体


直径:72 inch (1.83 m)
長さ:88 feet (26.82m)
打ち上げ能力:1200kg@LEO, 850kg@500km SSO, 400kg@GTO
打ち上げ価格:$12M



搭載ロケットエンジン:E1 ロケットエンジン、E2 ロケットエンジン



E1エンジン 推力    :42000 lbs
E2エンジン 推力(真空中):13000 lbs
推進剤:LOX/RP-1
推進剤供給方式:ターボポンプ
エンジンサイクル:ガス発生サイクル(GG)

ABL Space社内で設計及び製造されたE1,E2エンジンを搭載。革新的な低コストを達成するために、信頼性の高いガス発生サイクルを採用し、実績のある製造技術と三次元積層技術を用いて開発している。



References
[1] Lockheed Martin invests in small launch vehicle startup ABL Space Systems, Jeff Foust, July 23, 2019
https://spacenews.com/lockheed-martin-invests-in-small-launch-vehicle-startup-abl-space-systems/
[2] ABL Space Systems, https://www.ablspacesystems.com/