宇宙資源開発・宇宙開発におけるブロックチェーン経済システム,
Blockchain Economic Systems in Space Exploration and Space Resources Development
前回、前々回に引き続き、宇宙資源開発の未来について考えます。今回は、宇宙資源開発が行われる未来における、宇宙規模の経済システムについて。
【関連記事】
- 世界経済崩壊による金本位制への回帰と宇宙開発, The return to the gold standard due to the collapse of the global economy and space exploration.
- 世界経済崩壊による金本位制への回帰と宇宙開発2, 宇宙資源開発 The return to the gold standard due to the collapse of the global economy and space exploration 2, Space resource development.
1. 宇宙資源開発時代における未来の想像図
前回、前々回の記事において、今後宇宙開発が進む一つの方向性として、「宇宙資源開発」があることについて語った。議論における未来想定は、以下である。
- 極めて単価の高い必要資源があれば、宇宙開発や宇宙資源開発は経済的ペイする。そのための近道として、経済崩壊と金本位制あるいは、金準備制の回帰が触媒として必要と考える。
- 金1gあたり5万円以上の価格になれば、1トンあたり500億円以上の価値であり、「宇宙資源開発」という高コスト産業を容認可能である。これは、1トロイオンス=1万ドル($1=105円想定, 1トロイオンス=31.1g)ではわずかに届かないが、1トロイオンス=1.5万ドルまで到達すれば実現可能な金額である。各国の中央銀行による量的緩和、中央銀行がデジタル通貨発行時における担保としての金本位制・金準備制への移行、それらによる貴金属の上昇が起これば、現実化する未来である。
- 極めて単価の高い資源を採掘できるならば、「スペースゴールドラッシュ」と呼ばれる現象が起こりうる。この需要により宇宙開発技術は一気に進み、宇宙輸送技術が低価格化するであろう。
- 歴史的に見ても、コロンブスの大航海時代、アメリカの西部開拓時代の背景には、「ゴールド」という希少資源、貴金属の存在があった。歴史は韻を踏み繰り返す。宇宙の大航海時代の到来には、希少資源、貴金属の存在を背景とした、「スペースゴールドラッシュ」が必要である。
- 世界経済崩壊、グローバルクラッシュからの金本位制回帰、金準備制への移行は、資源のない日本の様な国を海水からの金採取・海底からの金採掘に導く。そして、高水圧下の海底よりも、無重力、無圧力の宇宙空間の方が、採掘は本質的に容易である。
- 初期の宇宙資源開発では、資源を持つ小惑星の探査から始まる。地球近傍に設置したセンサー(宇宙天文台、反射スペクトル解析等)による遠方探索、中長期間の小惑星軌道監視による間接的探索により、資源を持つ小惑星を発見する。
- 地上天文台、宇宙天文台から太陽を公転する小惑星を監視。想定される質量と異なり、あまりにも観測されたサイズに対して質量が大きい=軌道が想定されるよりも異なる場合は、その小惑星は岩石ではなく、多量の高密度物質・金属等(ゴールド・レアメタル・ウラン等)を含んでいる可能性がある。
- その様な観測で発見された小惑星や、火星と木星の間の小惑星帯(アステロイドベルト)に対して、複数の資源探査専用の探査機を送り込み、有望な複数の小惑星に対するフライバイ・探索を繰り返す。搭載センサーによる近傍観測で、どの様な資源があるかを探索・マッピングして、当たりを付ける。
- 資源を持つ小惑星が発見されたら、資源採取、あるいは小惑星を地球近傍に牽引する。そして月面基地等で精錬して、資源を地球に持ち帰る。
これらが筆者が考える、宇宙開発が「宇宙資源開発」という名目で、強力に推進される、一つの未来想定である。しかし、上記で述べたのは、宇宙資源開発初期の仕組みである。宇宙資源開発が進むと、より高次元の考え方が導入されるであろう。宇宙資源の現物がなくても、経済システムを回して行こうという以下の様な仕組みである。
- 今すぐに現物が必要な場合を除いて、「~の小惑星において貴金属資源の所有権があるから、それを根拠に決済を行う」「~の小惑星において貴金属資源の所有権があるから、地球上の現物・宇宙の資源交換レートで権利と地上の現物を交換」等という、仮想的な経済的やり取りに行き着く。
- これは、兌換紙幣やインターバルを置いて現物が手に入る先物取引に近いシステムであると考える。
この様な宇宙規模的経済が構築された場合、経済システムも地球上で行うものとはかけ離れたものになるであろう。その経済システムについて、以下考察を行う。
2. 宇宙資源開発における時間軸と広大な空間
宇宙空間は極めて広大な空間であり、その探査・地球との往復には極めて長い年月がかかる。例えば、2014年12月に打ち上げられた、JAXAのはやぶさ2は、小惑星「リュウグウ」に軟着陸したのは、4年3ヵ月後の2019年2月、帰還予定は、1年10ヵ月の2020年12月である。往復には6年近い歳月がかかっている。
この様な、時間軸と広大な空間のために、当初は実際に宇宙資源を持ち帰るだろうが、その内、今すぐに現物が必要な場合を除いて、「~の小惑星において貴金属資源の所有権があるから、それを根拠に決済を行う」「~の小惑星において貴金属資源の所有権があるから、地球上の現物・宇宙の資源交換レートで権利と地上の現物を交換」等という、仮想的な経済的やり取りに最終的に落ち着くだろう。
また、この物理的往復を可能な限り短時間で行うために、核融合ロケットエンジン、原子力ロケットエンジンといった、比推力だけでなく推進力も極めて強力な新規宇宙輸送系技術が開発されることとなる。少量の資源を持ち帰るのみならず、小惑星を牽引するためにも必要な技術となる。イオンエンジンは、探査用としては効率が良いが、宇宙資源を持ち帰るのには、あまりにも時間がかかるからである。
3. 宇宙資源開発におけるセキュリティー確保
地上においては、貴金属や鉱石等の現物資産は、セキュリティーがしっかりしている所に保管される。それは現物資産を放置しておくと「盗む」というコストが安いからである。しかしながら、宇宙空間という広大な空間に存在する資産については、そこに辿り着き、そして資源を持ち帰るためのエネルギー、技術、労力、予算も莫大なものとなる。従って、事実上盗めないものとして扱われるかもしれない。
貴金属や有用な鉱石を含んだ小惑星の発見は、当初は、軌道や位置も含めて、大きく報道・宣伝されるだろう。その理由は、宇宙資源開発に投資家達の関心を向けさせ、資金投入の宣伝として使用されるからである。しかしながら、より基盤の整備が進めば、資源を持った小惑星がどこに位置しているという情報のみを秘匿することが主流になる可能性もある。情報が無ければ、存在しないことと同義だからだ。宇宙資源情報を権利関係者の間のみで秘密・秘匿することは即ち、仮想的に、その宇宙資源に鍵をかけるのと同じである。ただし、情報を秘密・秘匿する場合、そこの小惑星に対して資源開発が行われてないと第3者が考え、重複して探査を実施する場合があるかもしれない。こうなると、エネルギーと資源の無駄遣いとなるため、これを守るための権利関係や制度・法的仕組みは複雑なものになるだろう。
国際条約や制度・法的仕組みを作ったとしても、巨大な国家であれば、「小惑星資源を奪う」というパワーゲームが出来てしまうので、新規の宇宙資源開発情報は秘匿することが主流になるかもしれない。一方で、宇宙資源の取引を行うためには、他者他国同士で情報をオープンにして、取引を行う需要がある。これらを担うのが、ブロックチェーン技術となる可能性があると、筆者は考える。
4. ブロックチェーン技術の現状
ブロックチェーン技術とは、インターネットなどオープンなネットワーク上で、高い信頼性が求められる金融取引や重要データのやりとりなどを可能にする分散型台帳技術のことである。ビットコインに代表される、暗号資産・暗号通貨・仮想通貨として使われていることが有名である。中央集権的なシステムとは逆で、分散的なシステムであるにも関わらず、コストの掛かる第三者機関を立ち上げず、偽装や改ざんを防ぐトレーサビリティー環境を整備することが可能となる。
現在、仮想通貨・暗号通貨は、「通貨」として本格的に使われていない。そもそも今のところ、価値変動が大きすぎて、「通貨」として使うには不向きである。これらは、誰もが国家が発行している通貨を信用し、暗号通貨を信用しないから発生している状況である。そのため、短時間で現金と暗号通貨を変換し、国際送金の手段として時々使われている程度だ。
現在のところ、暗号通貨の本質は、通貨の価値が安定している先進国の人々にとっては、「公営ギャンブル」である。発展途上国の人々にとっては、「自国の経済危機に際して、ドルに交換するための一時的な資金逃避媒体」である。国家の通貨が信用されている間は、相対的に信用のない暗号通貨は、通貨としての役割を果たすことはない。では、ブロックチェーン技術は役に立つ状況はいつ来るのか?本質的に、誰も信用できない時代には、これらはうまく機能する。
5. 宇宙開発分野における、現在のブロックチェーン技術
宇宙開発分野においても、既にブロックチェーン技術が着目されている。NASAは、2018年から3年間で、33万ドルの助成金をブロックチェーン技術搭載の宇宙開発プログラム「RNCP」に対して投入した。これは、イーサリアムのブロックチェーン技術を利用して、深宇宙探査における宇宙通信とナビゲーションの信頼性を強化し、最終的には自立思考型の宇宙船・探査機を開発するための基礎研究である。
例えば現在、スペースデブリを探知した際には、回避指令を地上から送り、回避行動をとっている。しかしながら、深宇宙探査においては、物理距離的な問題から、そもそも通信に非常に時間がかかる。このためスペースデブリに対して、自動的に回避行動を行う様な宇宙船・探査機を目指している。また航空分野においても、同様にNASAは、ブロックチェーン技術を航空管制技術に応用する研究開発を発表している。
2018年には、ConsenSys(ブロックチェーン会社)がPlanetary Resources(小惑星鉱山会社)を買収した。ConsenSysは、物理的資産のデジタル化である、「トークン化」を行い、ブロックチェーン技術が将来の小惑星掘削をサポートするだろうと見込んでいる。
買収後、ConsenSysは、Planetary ResourcesのCEO:Chris Lewickiが率いるConsenSys Spaceという子会社を立ち上げた。この子会社は、衛星の軌道位置を監視するデータベース「TruSat」の開発を行う。この様なデータベースサービスは、SpaceXやAmazon等の民間企業が、インターネット通信衛星を目指し、Starlink等の大規模な衛星コンステレーション計画を発表しているため、今後重要になると見込んでいる。その理由は、衛星同士の衝突回避、スペースデブリとの衝突回避のために、データベースが必要となり、現在公共の衛星位置データベースは存在しないからである。
将来的な宇宙探査においても、ブロックチェーン技術を使用することで、データが欠落・変更されているかを簡単に確認できる。特に火星などの遠隔地において、探査機がお互いに航法情報を提供し合うことで、ナビゲーションが改善される可能性がある。
伝統的な国の宇宙機関同士の信頼関係は、かなり強固であり、お互いが信用しているため、セキュリティーの問題は今まであまり存在しなかった。しかしながら、月や火星への宇宙探査や宇宙旅行が一般に開放された際は、お互いが本当に信用できるのか、セキュリティー問題環境を抱えることになる。この様な場面において、ブロックチェーン技術が役に立つ。実際、国の宇宙機関のコスト低減のために、既に小規模の企業や組織が衛星市場に参加しているため、そのような環境変化は起きつつある。
References
https://www.space.com/blockchain-for-space-cooperation.html
[2] NASA to Use blockchain technology for air traffic management,
https://www.globalbusinessoutlook.com/nasa-to-use-blockchain-technology-for-air-traffic-management/
[3] Air Traffic Management Blockchain Infrastructure for Security, Authentication, and Privacy,
https://ntrs.nasa.gov/citations/20190000022
[4] Researcher and NASA work to help spacecraft avoid floating debris,
https://www.uakron.edu/engineering/ECE/news-detail.dot?newsId=c9a2717e-4327-4dcb-9040-87e788d068c4&pageTitle=Recent%20Headlines&crumbTitle=Researcher%20and%20NASA%20work%20to%20help%20spacecraft%20avoid%20floating%20debris
[5] How blockchain can change the space industry,
https://www.space.com/blockchain-cryptography-change-space-industry.html
[6] https://www.planetaryresources.com/
6. 宇宙資源開発におけるブロックチェーン経済システム
宇宙条約2条においては、天体を含む宇宙空間に対しては、いずれの国家も領有権を主張することはできないと記されている。即ち、国家による天体の領有が禁止されている。しかしながら、個人や法人による資源の所有については、明文化されてない。ここが抜け穴であるため、数十年前から火星の土地、月面の土地を売るという詐欺まがいのジョークみたいなビジネスが横行している。宇宙資源開発時代においては、この所有権が誰に帰属するかについては、真剣に議論がなされるだろう。そして、その権利を売買するためのシステムについても、整備がなされるはずである。
宇宙資源開発時代における法律や国際条約は、極めて実行力が薄くなる。何故なら、先に述べたが、国際条約や制度・法的仕組みを作ったとしても、巨大な国家であれば、「小惑星資源を奪う」というパワーゲームが出来てしまうからだ。人の目がない、はるか先の宇宙空間において、紳士協定を強制させるということは不可能に近い。従って、ここで本質的に、誰も信用できない時代が到来するのである。
そこで、宇宙資源時代の取引は、ブロックチェーン経済システムが導入されると筆者は考える。他者他国同士で情報をオープンにして、所有権や取引の相互監視を行う。もちろん、無理やり物理的に宇宙資源が奪われれば、それまでだが、その時は経済システムを使う事が出来ない等の罰則を設ける。宇宙資源の換金が出来ない等のデメリットがメリットを上回ることにより、一定の抑止力にはなるだろう。
この様な、小惑星の宇宙資源を管理・監視・取引・換金するシステムは、宇宙空間が広大であるが故に、時間軸、空間軸等の様々なパラメータや軸を織り込んだ、極めて複雑なシステムになるだろう。その様なシステムを作り上げるとして、筆者がちょっとの時間考えただけでも以下の様な点を考慮しなくてはならない。イーサリアムが実現を目指している、スマートコントラクトよりも更に発展したシステムが必要である。
- 時間軸スケール:宇宙空間という広大な空間での物資移動に必要な時間
- 更新時間スケール:宇宙空間という広大な空間での電波送受信・分散台帳更新に必要な時間
- 技術開発により変動するパラメータ:技術革新による資源採掘の容易性(推進系・掘削系等)
- 各拠点の資源量:地球上、月面上等、取引を一時代替するための現物資源量
- 現在判明している小惑星の資源量:資源価格、一時代替手段としての判定
- 価値判定パラメータ:距離、採掘容易性等を考慮した上で、その小惑星にどの程度の資源的価値があるか算出(採掘コストが高いと割に合わない or 現時点では割に合わないが、技術開発により将来割に合うかもしれない、将来性判定等)
English Version
Continuing on from the previous two articles, we consider the future of space resource development. This time, I will discuss the economic system on a cosmic scale in the future where space resource development will take place.
【Related Articles】
- 世界経済崩壊による金本位制への回帰と宇宙開発, The return to the gold standard due to the collapse of the global economy and space exploration.
- 世界経済崩壊による金本位制への回帰と宇宙開発2, 宇宙資源開発 The return to the gold standard due to the collapse of the global economy and space exploration 2, Space resource development.
1. Imagining the Future in the Era of Space Resources Development
In the last and previous articles, I talked about one direction in which space development will advance in the future is the development of space resources. The future assumptions in the discussion are as follows.
- If there are necessary resources with extremely high unit costs, space development and space resources development will pay off economically. As a shortcut to this, the economic collapse and the return to the gold standard or the gold reserve system will be necessary as a catalyst.
- At a price of 50,000 yen or more per gram of gold, the value of a tonne of gold would be worth more than 50 billion yen, making the high-cost industry of "space resource development" acceptable. This is just shy of 10,000 USD / troy ounce (1USD=105 yen assumed, 1 troy ounce = 31.1 g), but is a feasible amount if it reaches $15,000 per troy ounce. This is a future that will become a reality if quantitative easing by national central banks, a shift to a gold standard and gold reserves as collateral when central banks issue digital currencies, and a rise in precious metals as a result of these changes.
- If extremely high-priced resources can be mined, the phenomenon known as the "space gold rush" could occur. This demand will lead to a surge in space exploration technology and the lowering of space transportation prices.
- Historically, Columbus's Age of Discovery and America's Western Frontier were both preceded by the existence of a rare resource, a precious metal called "gold". History repeats itself in rhyme. The advent of the Age of Discovery in space will require a "space gold rush" against the backdrop of the existence of rare resources and precious metals.The collapse of the global economy, the return to the gold standard after the global crash, and the transition to a gold reserve system will lead resource-poor countries like Japan to extract gold from seawater and mine it from the ocean floor. And it is inherently easier to mine in zero-gravity, pressure-free space than on the ocean floor under high water pressure.
- The collapse of the global economy, the return to the gold standard after the global crash, and the transition to a gold reserve system will lead resource-poor countries like Japan to extract gold from seawater and mine it from the ocean floor. And it is inherently easier to mine in zero-gravity, pressure-free space than on the ocean floor under high water pressure.
- Early space resource exploration begins with the search for resource-bearing asteroids. We will discover the asteroids with resources by a distant search using sensors installed near the earth (space observatory, reflection spectrum analysis, etc.) and by an indirect search using mid- to long-term asteroid orbit monitoring.
- Monitoring of asteroids orbiting the sun from the Ground and Space Observatories. If the mass of the asteroid is different from the assumed mass and the mass is too high for the observed size (i.e., the orbit is different than assumed), the asteroid may contain not rocks but a large amount of dense materials and metals (gold, rare metals, uranium, etc.).
- We will send multiple explorers dedicated to resource exploration to such asteroids discovered by such observations and to the asteroid belt between Mars and Jupiter (asteroid belt), and repeat fly-by searches for multiple promising asteroids. By using onboard sensors to make nearby observations, we search and map the resources and identify them.
- If an asteroid with resources is found, we collect the resources or tow the asteroid to the vicinity of the earth. Then refine them at a base on the moon and bring them back to earth.
2. Time and vast space in the development of space resource
Space is an extremely vast area of space, and it takes an extremely long time to explore and return to Earth. For example, JAXA's Hayabusa2, launched in December 2014, made a soft landing on the asteroid Ryugu in February 2019, four years and three months later, and is scheduled to return to Earth in December 2020, one year and 10 months later. The return trip took nearly six years.
Due to such a time frame and vast space, we will initially bring back actual space resources, but in time, unless we need physical goods now, we will eventually settle for a hypothetical economic exchange, such as "we have ownership of the precious metal resources on the ~ asteroid, so we will make a settlement on that basis" or "we have ownership of the precious metal resources on the ~ asteroid, so we will exchange our rights for physical goods on Earth at the earth/space resource exchange rate", unless we need physical goods right now.
In addition, in order to achieve this physical exchange in as short a time as possible, new space transportation technologies will be developed, such as fusion rocket engines and nuclear rocket engines, which are extremely powerful not only in terms of specific impulse but also in terms of propulsion. These technologies are necessary not only to bring back a small amount of resources but also to tow an asteroid. Ion engines are efficient for exploration, but they are too slow to bring back space resources.
3. Securing security in space resource development
On the ground, physical assets, such as precious metals and ores, are stored in places with good security. This is because the cost of stealing physical assets is low if they are left unattended. However, for assets that exist in the vastness of space, the energy, technology, labor, and budget to get there and bring back the resources are enormous. Thus, they may be treated as virtually unstealable.
The discovery of an asteroid containing precious metals or useful ores, including its orbit and location, will initially be widely publicized. The reason for this is that it will be used to attract investors to the development of space resources and to promote the investment of funds. However, as the infrastructure is better developed, it may become the norm to keep information about the location of asteroids with resources under wraps. Without information, it is as good as not existing. Secrecy and secrecy of space resource information among the rights holders is the same as putting a virtual key on the space resource. However, when the information is kept secret, there may be a case where a third party may think that no resource is being developed for the asteroid and conduct a duplicate exploration. This would be a waste of energy and resources, and the rights and institutional and legal mechanisms to protect it would be complex.
Even if international treaties, institutions, and legal mechanisms are created, a huge nation could play a power game of "stealing asteroid resources," and it may become mainstream to keep the information on new space resource development secret. On the other hand, there is a need to open up information among other countries to trade space resources. I think that the blockchain technology may play a role in this demand.
4. The State of Blockchain Technology
Blockchain technology is a distributed ledger technology that enables highly reliable financial transactions and the exchange of important data on the Internet and other open networks. It is best known for its use as a cryptographic asset, cryptocurrency, and virtual currency, such as Bitcoin. In contrast to a centralized system, a decentralized system can provide a traceability environment that prevents falsification and tampering without the need to set up costly third-party organizations.
Currently, virtual and cryptocurrencies are not being used in earnest as "currencies". To begin with, their values fluctuate too much to be used as "currencies" at the moment. These are situations that arise because everyone trusts the currency issued by the state and does not trust cryptocurrencies. As a result, they convert cash and cryptocurrency in a short period of time and are only occasionally used as a means of international money transfer.
At present, the essence of cryptocurrencies is that they are "public gambling" for people in developed countries where the value of the currency is stable. For people in developing countries, it is "a temporary medium of flight to exchange money for dollars in times of economic crisis in their countries. As long as a nation's currency is trusted, relatively untrustworthy cryptocurrencies will not serve as a currency. So when will there be a situation where blockchain technology will be useful? Essentially, these work well in times when no one can be trusted.
5. Current blockchain technology in the space exploration
Blockchain technology is already receiving a lot of attention in the space exploration field, with NASA investing $330,000 in grants over three years starting in 2018 for the RNCP, a blockchain technology-powered space exploration program. This is fundamental research to use Ethereum's blockchain technology to enhance the reliability of space communications and navigation in deep space exploration, and ultimately to develop a self-thinking spacecraft and probe.
For example, when space debris is detected, the spacecraft sends an evasion command from the ground and takes evasive action. However, it takes a long time to communicate with deep space exploration due to the physical distance. Therefore, we are aiming at the spacecraft and explorer that can automatically avoid the space debris. Similarly, in the aviation sector, NASA has also announced research and development to apply blockchain technology to air traffic control technology.
In 2018, ConsenSys (a blockchain company) acquired Planetary Resources (an asteroid mining company), which is digitizing physical assets, or "tokenization," and says blockchain technology will support future asteroid drilling. It is expected.
After the acquisition, ConsenSys launched a subsidiary called ConsenSys Space, led by Planetary Resources CEO: Chris Lewicki. This subsidiary will develop TruSat, a database that monitors the orbital position of satellites. Such database services are expected to become more important in the future as private companies such as SpaceX and Amazon have announced large-scale satellite constellation programs such as Starlink, with the goal of becoming an Internet communications satellite. The reason for this is that a database is needed to avoid collisions between satellites and collisions with space debris, and there is currently no public database of satellite positions.
For future space exploration, the use of blockchain technology will make it easier to check if data is missing or changed. Particularly in remote areas such as Mars, navigation could be improved by allowing spacecraft to provide navigation information to each other.
Security issues have not been much of a problem until now because the trust between traditional national space agencies is fairly strong and they trust each other. However, when space exploration and space travel to the moon and Mars is opened to the public, there will be a security problem environment to ensure that both parties can truly trust each other. This is where blockchain technology comes in handy. In fact, such an environment is changing as small companies and organizations are already participating in the satellite market to reduce costs for national space agencies.
References
https://www.space.com/blockchain-for-space-cooperation.html
[2] NASA to Use blockchain technology for air traffic management,
https://www.globalbusinessoutlook.com/nasa-to-use-blockchain-technology-for-air-traffic-management/
[3] Air Traffic Management Blockchain Infrastructure for Security, Authentication, and Privacy,
https://ntrs.nasa.gov/citations/20190000022
[4] Researcher and NASA work to help spacecraft avoid floating debris,
https://www.uakron.edu/engineering/ECE/news-detail.dot?newsId=c9a2717e-4327-4dcb-9040-87e788d068c4&pageTitle=Recent%20Headlines&crumbTitle=Researcher%20and%20NASA%20work%20to%20help%20spacecraft%20avoid%20floating%20debris
[5] How blockchain can change the space industry,
https://www.space.com/blockchain-cryptography-change-space-industry.html
[6] https://www.planetaryresources.com/
6. Blockchain Economic System in Space Resources Development
Therefore, I think that the blockchain economic system will be introduced in the age of space resources. Information will be openly shared among others and other countries to mutually monitor ownership and transactions.
Of course, if space resources are forcibly taken away, that is the end of the matter, but at that time, there will be penalties such as not being able to use the economic system. The inability to convert space resources into cash and other disadvantages outweigh the advantages, which would serve as a certain deterrent.
Such a system to manage, monitor, trade, and convert space resources on an asteroid would be extremely complex due to the vastness of space, incorporating various parameters and axes such as the time and space axes. In order to build such a system, the following points need to be considered, even if I have only spent a few hours thinking about it. The system would need to be more advanced than the smart contracts that Ethereum is working on.
- Time scale: the time required to move goods in the vastness of space
- Update Time Scale: Time required to transmit and receive radio waves and update distributed ledgers in the vastness of space
- Parameters varying with technological development: ease of resource extraction due to technological innovation (e.g., propulsion and drilling systems)
- Resources at each site: In-kind resources to temporarily replace transactions on the earth, moon, etc.
- Current known asteroid resources: resource price, determination as a temporary alternative
- Parameter for determining the value of the asteroid (e.g., it is not worth it if the mining cost is too high, or it is not worth it at present, but it may be worth it in the future with the development of technology, or it may be worth it in the future.
0 件のコメント:
コメントを投稿