2018年4月25日水曜日

弾道と宇宙ロケット打上げに関する法律, Law about launching rocket in Japan

弾道と宇宙ロケット打上げに関する法律, Law about launching rocket in Japan

この記事では、弾道飛行するロケットのガイドラインと、法律について語る。


2016年7月に、「弾道ロケット打上げ安全実施ガイドライン」が改定された。本ガイドラインの詳細は以下に示すが、弾道飛行を行うロケット打ち上げを想定したガイドライン(自主規制)である。

References
[1] 弾道ロケット打上げ安全実施ガイドライン
     http://www.sjac.or.jp/rocket/index.html
[2] 弾道ロケット打上げ安全実施ガイドラインの全面改訂について
     http://www.sjac.or.jp/common/pdf/info/news199.pdf



◆弾道ロケット打上げ安全実施ガイドライン


このガイドラインは、当初2005年に、高度1km程度の打ち上げを想定したガイドラインが作成されたのが始まりである。2008年には、高度10km程度のロケット打ち上げを想定して、改訂されている。

これらは、北海道大学及び植松電機のCAMUI型ハイブリッドロケットの観測ロケット打ち上げに対応して作成された物であり、飛距離を伸ばすにつれて、改訂が実施された。対象は、「火薬を推進薬としない打上げサービス実施ガイドライン」としており、日本航空宇宙工業会が制定する自主規制である。(なお、本ガイドラインは、JAXA活動及び軌道飛行から切り離されたものである。)

今回の改訂は、インターステラテクノロジズの打ち上げる、観測ロケット:MOMO(1号機:2017年7月打上げ、2号機:2018年打上げ予定)による高度100kmの弾道飛行を見据えて、改訂したものと思われる。

この中には、安全体制構築の規定、周辺・機関への説明、ロケット打上げによる各種影響範囲の評価、NOTAM・水路通報の発出の必要性等が記されている。

しかしこれは、あくまで、「自主規制」であり、法律ではない。法律の観点から考えた時、最低限必要な申請等は何なのだろうか?



◆弾道ロケット打上げの法律的制限


日本の法律では、ロケットをドンドン打ち上げる宇宙時代に対応していない。ロケット打ち上げという非日常的存在が常に存在する事を前提として、法律の中に組み込めていない。

しかし、確実に航空機運行の妨げになるため、何km、あるいは高度100kmに届くようなロケット打ち上げを縛る規定としては、「航空法 第99条の2」が挙げられる。つまり、国土交通大臣に対して打ち上げ許可を貰う事が必須となる。

(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第九十九条の二 何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。

Reference
[3] 昭和二十七年法律第二百三十一号 航空法


加えて、SSTOでなければ、ロケットは落ちて来るので、落下する海上への警報(航行警報)も必要である。これもまた、海上に物が天から落ちてくる等、想定もされていないので、法律的にも規定されていない。しかし、国際的には、宇宙へのロケット打ち上げは、航行警報として通知するガイドライン規定になっている。核実験する際にも、航行警報は必要みたいですね。


TYPES OF NAVAREA WARNINGS ISSUED
Information concerning special operations which might affect the safety of shipping, sometimes over wide areas, eg. naval exercises, missile firings, space missions, nuclear tests, etc. It is important that where the degree of hazard is known, this information is included in the relevant warning.
Whenever possible, such warnings should be originated not less than five days in advance of the scheduled event. The warning should remain in force until the is completed.


Reference
[4] NAVIGATIONAL WARNINGS/MSI/GMDSS IN NAVAREA VIII
https://www.iho.int/mtg_docs/rhc/NIOHC/NIOHC7/NIOHC7_17_NAVAREA_VIII_Report_by_India_as_for_6th_NIOHC.pdf



◆衛星打上げロケットの法律


つい最近まで、日本国内で民間企業が衛星打上げロケットを発射する際の明確な法律が存在しなかった。しかし、衛星打ち上げに関わるロケット打ち上げについては、2016年11月に成立した、宇宙活動法内で規定されている。これにより、衛星軌道投入用ロケット打上げでは、審査が必要となった。

References
[5] 平成二十八年法律第七十六号 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律
[6] 宇宙活動法に関する申請受付について, 内閣府
     http://www8.cao.go.jp/space/application/space_activity/application.html
[7] 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約
     http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_1/1-2-2-5_j.html



日本も加盟している、宇宙条約(月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(1966年12月13日採択、第21会期国際連合総会決議2222号、1967年10月10日発効)では、第7条で以下のように規定している。

第7条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射し若しくは発射させる場合又は自国の領域若しくは施設から物体が発射される場合には、その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際責任を有する

このため、例えば個人が勝手に打ち上げて損害が出た場合、日本国が損害賠償責任を負う事になる、「素敵な」条約であった。(まぁ日本が賠償しなくても、国際法に罰則規定はないが)

日本以外の宇宙活動法については、以下を参照。

Reference
[8] 諸外国の宇宙活動法について
     http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/housei/dai1/siryou4.pdf



◆公海上で打上げればええやん(小並感)


日本国内は、空には航空機、海には船舶、漁船等の航行がひっきりなしに行き来している。国内の沿岸(領海)周辺からの打ち上げは、各所に許可・説明を行う敷居が高い。

果たして我々は、人の目を気にせず、ロケットを宇宙へ対して自由に打つことは出来ないのだろうか?そこで筆者は、これらを全て解決する手法を考案したい。

 ・宇宙条約に加盟していない、ロケット打上げに大らかな外国船籍で公海上へ出る
 ・船舶内は、船籍の法律が適用される
 ・ロケット打上げし放題(確信)

法律の緩い外国船籍からの公海上シーロンチであれば、全ては解決される。(と思われる)

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