SpaceX Falcon1 Rocket System Design (2)
Update:2020.09.13
第1回目の記事は、システム設計概要について述べた。第2回目の記事は、システム設計の具体的な詳細について説明する。どの様にして、SpaceXはFalcon1ロケットの信頼性を獲得し、低コストを実現しているかを述べる。(前回からの続きです)
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1.Falcon1ロケット機体概要
Falcon1ロケットの機体全般を見ると、コスト低減と共にいかにして信頼性を確保するかを考えた構造となっている。第1回目で、全体の設計については、過去のロケット失敗事例を基にシステム設計を行った事について紹介した。
SpaceXは、ロケットの具体的な設計にあたっては、設計、材料選択、製造手法を決定において、過去のロケットや材料について詳しく調査を行っている。
しかもFalcon1は、少なくとも第1段目については再使用を前提としていた事から、繰り返し使用できる様に設計マージンは高めに取られている。
2.機体設計:第1段目
- 第1段目は、パラシュート回収、再使用することを前提に設計されている。このため、消耗品である第2段目に比べて大幅に設計マージンが高い。ロバスト性を持った構造となっている。
- フライト用の第1段目について、190回以上の極低温下加圧試験を実施したが、構造的な疲労は見られなかった。
- 特許出願中(2008年現在)の宇宙品質のアルミ合金を使用。
- 推進剤タンクのバルクヘッドは、上下共通の物を使用し、量産性向上、コストを低減。
- 機体・タンクは、モノコック構造ではない。
- 機体・タンクの設計は、Atlas IIロケットの様に、軽量化出来るが、地上保管時にも圧力をタンク内部にかける完全圧力安定化構造設計と、Delta IIロケットの様に重いアイソグリッド構造設計の中間仕様である。
- 圧力をかけることで、構造効率を高めたが、地上に置いては自重を支えることが出来ない、構造の取り扱い性困難を回避した。
- 加圧用のヘリウムタンクは、Arde Corporation製の複合材オーバーラップ型インコネルタンクを使用しており、ボーイング社のDelta IVロケットで使用されている物と同じモデルである。
- タンクは厚板から精密加工される。フランジと接続ポートは一体化しており、溶接は必要最小限に抑えられている。主要な円周溶接部は、全て自動溶接機を用いて実施。これにより、潜在的なエラーを低くし、一貫性のある品質を確保している。
3.機体設計:第2段目
- 第2段目は、軽量化のために、アルミリチウム合金で製造されている。これは最も重量強度比が高いアルミ合金であり、スペースシャトルの外部推進剤タンクに使用されている物と同じである。
- SpaceXは、長期的に材料選択肢の研究を継続するつもりだが、宇宙利用という特定の分野用途では、アルミリチウム合金を適用することが、どんな材料を選ぶよりもシステム合計質量が小さくなる。液体酸素に適合する超合金及び複合材を含めて検討した結果、この設計に落ち着いた。
- Falcon1の強化型Falcon1eでは、直径1.7mのフェアリングを装備している。設計形状は、複合的なオジャイブ形状で有、標準的なアルミによって表面を形成し、裏からストリンガーで支えている構造となっている。Falcon1についても、ほぼ同様の構造と見られる。
4.ロケットエンジン
スペースシャトル計画後、2000年代まで、米国の宇宙開発計画は停滞ぎみであり、新型の実用ロケットエンジン開発は、ほとんどなかった。
SpaceXがFalcon1用に開発した、Merlin1AとKestrelは、ケロシン/LOXを用いた宇宙用ロケットエンジンとしては、米国で久しぶりに開発されたものである。しかも、ロケット機体メーカーとエンジンメーカーが両方とも一社で内製されている事は、これまでなく、異例である。
アポロ計画終了後、ケロシン/LOXから、LH2/LOXによる推進剤が主流となったため、長い間米国では、ケロシン/LOX系のロケットエンジンの開発は実施されて来なかった。AtlasV ロケットの開発では、第1段目にケロシン/LOX系エンジンを使用したが、ロシアからRD-180を輸入して使用している状況であった。
2000年代後半にFalcon1ロケットが市場に出現するまでは、1971年に開発されたRocketdyne社製 RS-27 ロケットエンジンが、米国製のケロシン/LOX エンジンとしては唯一現用の機種であり、それを搭載したDelta IIロケットは当時、退役を間近に控えていた。
高い比推力が得られる、LH2/LOXを選択しなかったのは、発射時の取扱い及びそこに起因するコストを避けるためと考えられる。
- 新規開発のピントルインジェクター型のロケットエンジンを搭載。(第1段:Merlin1A, 第2段:Kestrel)
- これらの2つのロケットエンジンは、同一の設計に基づく。Merlin1Aを小型化し、ニオブ合金製の延長ノズルを付けた物が、Kestrelとなっている。
- 両方ともに、壁面冷却は、アブレータ―材を気化させて熱を奪う、アブレータ―式を採用している。比推力は下がるが、複雑な構造を製造しなくても良く、流路の目詰まり等のリスクを最小限に抑えられるため、信頼性が高く、コストも低減できる。(後のMerlin1Cでは、再生冷却を採用)
- 第2段目のKestrelには、ポンプ駆動部品を省いた、ガス押し式。
- 第1段目のMerlin1Aには、ターボポンプ式を採用。ガス押し式は、最も部品点数が少ない方式であるが、液体酸素を含む極低温タンク構造に依存し、フルスケールでの軌道投入ロケットはこれまで実証されていないため、第1段目のMerlin1Aには、ターボポンプ式を採用した。
- 出来るだけ単純なターボポンプにするため、旧ソ連・ロシアの様に、単一の回転軸を持った、LOX/ケロシン供給ターボポンプが採用されている。エンジンサイクルは、独立して別途発生させたガスでターボポンプを回転駆動させる、ガスジェネレータサイクルを採用。これは信頼性の高いサイクル方式である。
- 第2段目のKestrelは、再着火能力を有している。これにより、2段式ロケットでありながら、仮想的な3段式ロケットとしてFalcon1ロケットは機能出来る。軌道投入の自由度も高くなる。
- 第2段目のKestrelのTVC制御には、電気式アクチュエータを用いている。システムが小規模の場合、油圧より軽量である。
- 第1段目のMerlin1AのTVC制御駆動油圧は、ターボポンプ高圧側からタップオフしたケロシン(RP-1)の油圧によって、作動する様に設計されている。これにより、別途油圧システムを容易する必要が無く、システムの単純化・軽量化に成功している。
- ロール制御は、ガス発生サイクルの排気ガスを利用し、排気ノズルを回転駆動させることで実現している。これにより、通常は別途必要な、バーニアエンジンシステムを排除している。これは、Aerojet社がTitanI ロケットの第2段目や原子力ロケットエンジン;NERVAで用いた手法と同じである。
- 9項と10項に述べたアイデア等により、ロケットエンジンの軽量化を図っている。
Falcon1ロケットの第1段目:Merlin 1A ロケットエンジン
Titan I ロケットの第2段目:LR91ロケットエンジンと
GGの排気ガスを利用した回転作動バーニアエンジン(×4個)
NERVA 原子力ロケットエンジンと
タービン排気ガスを利用したバーニアエンジン(×2個)
5.回収システム
機体回収は、Falcon9ロケットの垂直着陸によって達成したが、Falcon1でも、第1段目を改修することが考えられていた。これは、再使用することで、コストを低減するためである。
2018年現在まで、この計画は実施されていないが、回収システムを前提にFalcon1ロケットは設計されている。
- 第1段目はパラシュートによって、海上着水し、スペースシャトルの固体ロケットブースター(SRB)と同様の手順で、船舶によって回収され、再使用される。
- 海上着水後、回収して再利用するために、機体は海水を被ること前提で設計、海水に対して耐えうる材料選択がなされていると考えられる。
- パラシュート回収システムは、Airbone Systemsの物を購入している。これは、スペースシャトル SRB回収パラシュート製造業者と同じ会社である。
6.アビオニクス・誘導制御系
- 最新の電子機器を用いて、ロバスト性と冗長性を確保。
- 衛星との電気的インターフェイスとして、地上待機時は、Ethernetまたは、パススルーケーブルを通じて通信を行っている。
- Ethernetは、Falcon1ロケットで共通規格として使用しており、ペイロードの衛星のみでネットワークを占有する事は出来ず、その他のロケットの制御機器とミッションコントロール管制室を地上待機時において、接続している。
- 開発においても、大規模なEthenetバックボーンを持っている。これは、設計における複雑さとヒューマンエラーを低減する効果がある。
- GNC(Guidance Navigation and Control)は、耐久性のあるフライトコンピュータと慣性飛行ユニット(IMU)を用いている。
- GNCシステムは、Sバンドテレメトリシステム、Sバンドビデオリンク、Cバンドトランスポンダ、タンクの圧力調整、バッテリー、配電用のためのBang-Bangコントローラー(オンオフで2ステップに対応させる制御)を含んでいる。
- フライトコンピュータは、組み込みコンピュータである、PC/104ベースのPentiumクラス(George)で、デジタル/アナログ 両方の入出力を持っている。
- フライトコンピュータは、Ethernetを通じて、地上滞在中のペイロード及び飛行中の第1段目のロケットエンジン制御コンピューターへのインターフェイスとなる。
- GPS受信機が、飛行中にナビゲーションの更新を行い、IMUを支援する。
7.故障影響の最小化手法
高信頼性を確保するため、故障影響を最小化する手法が取られている。具体的には、独立したサブシステムを最小限に抑える事で、発生故障数の最小化を図っている。
また、地上において各種試験を実施し、不具合を潰している。
- 独立したサブシステムを最小限に抑える事で、発生故障数の最小化を図っている。
- 第1段目ロケットエンジンのTVC制御駆動油圧は、ターボポンプ高圧側からタップオフしたケロシン(RP-1)の油圧によって、作動する様に設計されている。これにより、別途油圧システムを容易する必要が無く、システムの単純化・軽量化に成功している。
- ロール制御は、ガス発生サイクルの排気ガスを利用し、排気ノズルを回転駆動させることで実現している。これにより、通常は別途必要な、バーニアエンジンシステムを排除している。
- コンポーネントから、打上げシステムレベルまで、包括的な厳しい検査を実施している。具体的には、QT(認定試験:Qualification Test)と作業者試験も含み、機体構造の荷重試験、校正試験、フライトシステム試験、推進系サブシステム試験、第1段目と第2段目の5秒間の燃焼試験を含む、完全な統合テストを実施している。これらにより、事前に不具合の洗い出しを行っている。
- 全てのハードウェアは、ノミナル値の試験に加えて、非ノミナル値の環境試験を課しており、プラスのマージンについて試験を通過する必要がある。具体例として、第2段分離とフェアリングの分離において、ノミナル値ではない試験ケースを実施している。幾何学的ミスアライメント条件で試験したり、異常な火工品作動タイミングやシーケンスでも、システムが問題ないか確認を行っている。
- 本番の打上げ時においても、最後の最後まで、診断チェックを実施している。第1段目ロケットエンジン始動後、発射台から解放される前に、ロケットシステムが全て正常に機能していることが確認されてから、解放される設計になっている。
8.ペイロード・衛星への負荷影響の低減
- Falcon1は、固体ロケットブースターを使用せず、全段液体ロケットである。推力レベルが低く、推力重量比も低い。このため、衛星にとっては優しい環境条件である。
- ロケット発射後、最初の10分間に与えられた発射荷重は、衛星の寿命を決定する要素となる。分離後の衛星は、微小重力下で残りの時間を過ごすため、その様な過酷な負荷は、発射時のみである。
- 飛行中、ペイロードは、軸方向及び横方向の加速度を受ける。軸方向の加速度は、ロケットの推力履歴と大気から受ける抗力によって決定される。最大横加速度は、主に風速、やエンジンジンバル、その他の短時間の事象影響により決定される。そして、ペイロードの振動環境は、フェアリング内の音響振動と、ロケットエンジンの振動、空気力学的な振動によって発生する。このため、打ち上げにかかる過重負荷を最小限に抑えるため、加速度のかかる時間を非常に長引かせている。
9.ペイロードと衛星分離・投入軌道
- フェアリング分離後に、ペイロードの衛星などを電源起動させるため信号を送る仕様になっている。オプションとして、他の電源投入構成も対応可能。
- SpaceXは、クランプバンド、非爆発アタッチメントボルト等、多くのペイロード分離システムに精通している。Lightband電動分離システムが標準的なサービスであるが、38インチのマルマンバンド分離システムも扱っている。
- 分離は大きな衝撃を与えない、非火工品によって行い、第2段目との分離速度を与えるために、分離バネがしこまれている。このシステムは、1°/sec以内のチップオフ率を維持する。
- ペイロード分離時に、約6 rpmまでの回転を与える事が可能。
- 分離の際には、ほとんどどんな姿勢でも対応可能。ただし、一部の姿勢を実現させるためには、分離前に最大15分程度かかる場合がある。
- 複数の分離にも対応している。分離時のレート精度は、ロール:±2°, ピッチ/ヨー:±0.5°, ボディーレート:±0.1° sec/axis
- 事前解析において、CAM(Collision Avoidance maneuver)が必要とされた場合は、CAMが標準サービスで付属する。ペイロード分離後の10秒後に、加熱されたヘリウム加圧器とRCSスラスターを用いてCAMを実施。スラスターは、20°前方に傾けて配置されており、衛星等のペイロードとガス衝突を最小限に抑える様に配置されている。
10.打上げオペレーション
信頼性の高いロケットシステムに仕上げるためには、運用手法も重要であり、以下の配慮がなされている。
- ロバスト性を持った打上げを実施するため、カウントダウンは完全自動化されている。
- 発射台からロケットが離れるまで、何千ものチェック項目を自動的に実施する。
- 第1段目点火後、ロケットエンジンの推力履歴等をチェックし、正常に起動・作動することが確認されるまでは、ロケットは発射台から解放されない。正常でない場合は、安全にエンジンが停止される。
- Falcon1ロケットの設計と、よく訓練されたSpaceXの社員によって、打上げ中断原因に応じて、迅速に復旧再開させる体制を組んでいる。
References
[1] Falcon 1 Launch Vehicle Payload User’s Guide Rev.7, SpaceX
[2] TITAN I SECOND STAGE ENGINE (LR-91)
[3] NERVA (Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)
http://www.daviddarling.info/encyclopedia/N/NERVA.html
[4] The Falcon Launch Vehicle – An Attempt at Making Access to Space More Affordable, Reliable and Pleasant,
Elon Musk, Hans Koenigsmann, Gwynne Gurevich
[4] The Falcon Launch Vehicle – An Attempt at Making Access to Space More Affordable, Reliable and Pleasant,
Elon Musk, Hans Koenigsmann, Gwynne Gurevich
The first article described the system design overview. The second article describes the specific details of the system design. How SpaceX achieves the reliability and low cost of Falcon 1 rocket is described.
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1.Falcon1 Launch Vehicle Overview
Looking at the overall structure of Falcon 1, it is a structure that considers how to secure the reliability as well as cost reduction. In the first issue, we introduced the system design based on past rocket failure cases.
SpaceX conducts a detailed study of past rockets and materials in determining the design, material selection, and manufacturing methods for the specific design of the rocket.
Moreover, Falcon 1 was designed to be reused, at least for the first stage, so that the design margin is high enough to be used repeatedly.
2.Airframe design: first stage
- The first stage is designed for parachute recovery and reuse. For this reason, the design margin is significantly higher than the consumable second stage. The structure is robust.
- The first stage for flight was subjected to more than 190 cryogenic pressurization tests and showed no structural fatigue.
- A patent pending (as of 2008) space-quality aluminum alloy is used.
- The propellant tank bulkhead is the same in the upper and lower sections to improve mass production and reduce cost.
- The fuselage and tank are not monocoque.
- The design of the fuselage and the tank is between the design of the complete pressure stabilization structure and the heavy isogrid structure like Delta II rocket.
- By applying pressure, the structural efficiency is improved, but the structure is not able to support its own weight on the ground and the difficulty of handling is avoided.
- The helium tank for pressurization was a composite overlap Inconel tank made by Arde Corporation, which was the same model used in the Delta IV rocket of Boeing Company.
- The tank is precision-machined from a thick plate. Flanges and connection ports were integrated, and welding was minimized. All major circumferential welds are made using an automatic welding machine. This lowers potential errors and ensures consistent quality.
3.Airframe design: second stage
- The second stage is manufactured from a lithium aluminum alloy to save weight. This is the aluminum alloy with the highest weight-to-strength ratio and is the same as the one used in the space shuttle's external propellant tanks.
- SpaceX will continue to explore material options in the long term, but for certain field applications in space applications, the application of aluminum-lithium alloys will result in a lower total system mass than any material of choice. This design was settled on after considering the inclusion of superalloys and composites that are compatible with liquid oxygen.
- The Falcon 1 enhanced : Falcon1e is equipped with a 1.7 m diameter fairing. The Falcon 1e is equipped with a 1.7-metre diameter fairing, which is a composite ogive shape with a standard aluminium surface and stringers supporting it from the back.
4.Rocket engine
After the Space Shuttle program, the U.S. space program was stagnant until the 2000s, and the development of a new commercial rocket engine was almost non-existent.
Merlin 1A and Kestrel, developed by SpaceX for Falcon 1, were the first kerosene/LOX space engines developed in the United States for a long time. Moreover, it was unprecedented for a single company to manufacture both the rocket body and the engine in-house.
In the development of AtlasV rocket, although the kerosene/LOX system engine was used for the first stage, the development of the rocket engine of the kerosene/LOX system has not been carried out in the United States for a long time because the propellant by LH2/LOX from the kerosene/LOX became mainstream. The RD-180 was imported and used in this situation.
Until the Falcon 1 rocket appeared on the market in the late 2000s, the Rocketdyne RS-27 rocket engine developed in 1971 was the only working kerosene/LOX engine made in the United States, and the Delta II rocket equipped with it was about to be retired at that time.
It is thought that the reason why LH2/LOX which can obtain high specific impulse was not selected is to avoid the handling at the time of launch and the cost caused by it.
- Newly developed pintle-injector type rocket engine. (1st stage: Merlin 1A, 2nd stage: Kestrel)
- These two engines are based on the same design; the Kestrel is a miniaturized version of the Merlin 1A with an extension nozzle made of niobium alloy.
- The wall cooling of both engines adopts the ablator type, which removes heat by vaporizing the ablator material. Although the specific impulse is lowered, it eliminates the need to manufacture complex structures and minimizes the risk of clogging in the flow path, thereby increasing reliability and reducing costs. (Later Merlin1C used regenerative cooling.)
- The second stage, Kestrel, is a gas-pumped system with no pump drive components.
- The first stage, Merlin 1A, uses a turbo-pump system. The gas-pumping system has the fewest number of parts, but it relies on the cryogenic tank structure to contain liquid oxygen, and a full-scale orbit insertion rocket has not been demonstrated.
- In order to make it as simple as possible, a LOX/kerosin fed turbo-pump with a single rotating shaft was adopted, like the former Soviet Union and Russia. The engine cycle used a gas-generator cycle, in which the turbopump was driven by separately generated gas. This is a highly reliable cycle system.
- The second stage, Kestrel, has a re-ignition capability. Therefore, Falcon 1 can function as a virtual three-stage rocket in spite of being a two-stage rocket. There will be more freedom for orbital injection.
- An electric actuator is used for TVC control of the second stage Kestrel. When the system is small, it is lighter than the hydraulic system.
- The TVC-controlled drive hydraulics of the first stage Merlin 1A are designed to be driven by kerosene (RP-1) tapped off from the turbopump's high pressure side. This eliminates the need for a separate hydraulic system, simplifying and lightening the system.
- Roll control is achieved by using the exhaust gas from the gas generation cycle to drive the exhaust nozzle by rotation. This eliminates the need for a separate vernier engine system, which would normally be required. This is the same approach used by Aerojet for the second stage of the TitanI rocket and for the nuclear rocket engine; NERVA.
- The ideas described in paragraphs 9 and 10 reduce the weight of the rocket engine.
First stage of Falcon 1 rocket: Merlin 1A rocket engine
The second stage of the Titan I rocket: the LR91 rocket engine and
Rotationally operated vernier engines (x4) using GG's exhaust gas
NERVA Nuclear Rocket Engine and
Vernier engines using turbine exhaust gas (x2)
5.Recovery System
Although fuselage recovery was accomplished by vertical landing on a Falcon 9 rocket, the idea was to refurbish the first stage of Falcon 1 as well. This was to reduce costs by reusing it.
Until 2020, this plan has not been implemented, but the Falcon1 rocket is designed for a recovery system.
- The first stage will land at sea by parachute, and will be recovered and reused by a ship in the same way as the Space Shuttle Solid Rocket Booster (SRB).
- After landing at sea, the vehicle will be designed to be exposed to seawater for reuse, and the material selection is considered to have been made to withstand seawater.
- The parachute recovery system was purchased from Airbone Systems. This is the same company that manufactures the space shuttle SRB recovery parachutes.
6.Avionics and Guidance Control Systems
- Robustness and redundancy are ensured by using the latest electronic equipment.
- It communicates with the satellite via Ethernet or pass-through cable during the ground standby.
- Ethernet is used as a common standard for Falcon 1, and the network cannot be occupied only by the satellite of the payload, and the control equipment of other rockets and the mission control room are connected with the mission control room during the ground standby.
- The development also has a large Ethenet backbone. This has the effect of reducing complexity and human error in design.
- Guidance Navigation and Control (GNC) uses a ruggedized flight computer and an Inertial Flight Unit (IMU).
- The GNC system includes an S-band telemetry system, an S-band video link, a C-band transponder, and a Bang-Bang controller for tank pressure regulation, batteries, and power distribution (with corresponding controls for two steps on and off).
- The flight computer is an embedded computer, a PC/104 based Pentium class (George), with both digital and analog inputs and outputs.
- The flight computer will interface via Ethernet to the payloads during its stay on the ground and to the first stage rocket engine control computer during the flight.
- A GPS receiver will assist the IMU with navigation updates during the flight.
7.Methods for minimizing the effects of failures
In order to ensure high reliability, the effect of failures is minimized. Specifically, the number of failures is minimized by minimizing the number of independent subsystems. In addition, various tests are conducted on the ground to eliminate the failures.
- The number of failures is minimized by minimizing the number of independent subsystems.
- The TVC-controlled drive hydraulics of the first stage rocket engine is designed to be operated by the hydraulic pressure of kerosene (RP-1) tapped off from the high pressure side of the turbo pump. This eliminates the need for a separate hydraulic system, and simplification and weight reduction of the system have been achieved.
- Roll control is achieved by using the exhaust gas from the gas generation cycle to drive the exhaust nozzle by rotation. This eliminates the need for a separate vernier engine system, which would normally be required separately.
- A comprehensive and rigorous inspection is carried out from the components to the launch system level. Specifically, a full integration test is performed, which includes qualification and operator testing, and includes load testing of the airframe structure, calibration testing, flight system testing, propulsion subsystem testing, and a 5-second burn test of the first and second stages. These are used to identify defects in advance.
- All hardware is subjected to non-nominal environmental testing in addition to nominal value testing and must pass the test for a positive margin. As a specific example, a non-nominals test case is conducted for the second stage separation and fairing separation. The system is tested for geometric misalignment conditions and for unusual pyrotechnic actuation timing and sequences to make sure that the system is OK.
- Even at the time of the actual launch, the diagnostic checks are carried out until the very end. After the first stage engine is started, the rocket system is designed to be released after it is confirmed that all the systems are functioning properly before it is released from the launch pad.
8.Reducing the load impact on payloads and satellites
- The Falcon 1 is a full-stage liquid rocket without a solid rocket booster. It has a low thrust level and a low thrust-to-weight ratio. This makes the environmental conditions gentle for the satellite.
- The launch load given during the first 10 minutes after rocket launch is a determining factor in the lifetime of the satellite. After separation, the satellite spends the rest of its time in microgravity, so such a severe load is only at launch. During flight, the payload is subjected to axial and lateral acceleration. The axial acceleration is determined by the thrust history of the rocket and the drag force received from the atmosphere.
- The maximum lateral acceleration is determined primarily by wind speed, engine gimbal, and other short-term event effects. The vibration environment of the payload is generated by acoustic vibrations in the fairing and by the rocket engine and aerodynamic vibrations. This makes the acceleration time very prolonged in order to minimize the overload on the launch.
9.Payloads and Satellite Separation and Injection Orbit
- It is designed to send a signal to power up payload satellites, etc. after fairing separation. Other power-up configurations are available as options.
- SpaceX is familiar with many payload separation systems, including clamp bands, non-explosive attachment bolts, etc.
- The Lightband electric separation system is the standard service, but the company also carries a 38-inch Marman band separation system.
- Separation is done with non-fireproof, non-impacting equipment, and the separation springs are stifled to provide separation speed with the second stage. The system maintains a tip-off rate within 1°/sec.
- During payload separation, the system can be rotated up to about 6 rpm.
- Almost any orientation can be used during separation. However, it may take up to 15 minutes to achieve some postures before separation.
- Multiple separations are also supported. Rate accuracy during separation is ±2° roll, ±0.5° pitch/yaw, and ±0.1° sec/axis for body rate.
- If a collision avoidance maneuver (CAM) is required in the pre-analysis, CAM is included as a standard service. CAM is performed 10 seconds after payload separation using a heated helium pressurizer and RCS thruster. The thrusters are tilted forward by 20° and positioned to minimize gas collisions with satellite or other payloads.
10.Launch operations
In order to make the rocket system highly reliable, the operation method is also important and the following considerations are made.
- The countdown is fully automated in order to conduct a robust launch.
- Thousands of checks are performed automatically until the rocket leaves the launch pad.
- After the first stage ignition, the rocket will not be released from the launch pad until it is verified that the rocket engine's thrust history and other factors have been checked and that it starts and operates properly. If it is not, the engine is safely shut down.
- The Falcon 1 launch vehicle design and well-trained SpaceX personnel are ready to resume operations as quickly as possible, depending on the cause of the launch interruption.
References
[1] Falcon 1 Launch Vehicle Payload User’s Guide Rev.7, SpaceX
[2] TITAN I SECOND STAGE ENGINE (LR-91)
[3] NERVA (Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)
http://www.daviddarling.info/encyclopedia/N/NERVA.html
[4] The Falcon Launch Vehicle – An Attempt at Making Access to Space More Affordable, Reliable and Pleasant,
Elon Musk, Hans Koenigsmann, Gwynne Gurevich
[4] The Falcon Launch Vehicle – An Attempt at Making Access to Space More Affordable, Reliable and Pleasant,
Elon Musk, Hans Koenigsmann, Gwynne Gurevich
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