SpaceXとブルーオリジンに転職・就職したい人向けに、記事を書いてみました。
1.ITAR規制とグリーンカード取得
米国には、ITAR(International Traffic in Arms Regulations:武器国際取引に関する規則)等といった規制がある。SpaceXの場合は、実際に宇宙機器を作っている企業であり、米国の宇宙技術輸出を許可なく行う事は出来ない。
例を挙げると、設計情報等に関するものは、輸出規制がかかっている。このため、米国の大学研究室においては、航空宇宙工学関係で、実際に企業と連携している場合、注意が必要である。
ITARに引っかかる情報を取り扱っている場合、外国人研究者や留学生を受け入れる事は出来ない。外国人研究者や留学生に対して、教育ほどこす事が、武器輸出と見なされるのだ。
このため、SpaceXやブルーオリジンの社員になるためには、米国市民権、あるいは永住権をもっていなくてはならない。
ITARに関する、ほぼ唯一の日本語書籍
ちなみに、これはNASA職員等であっても同様である。NASAの職員として雇用するためには、米国市民権を持っている必要がある。ジェット推進研究所(JPL)が外国人を雇用しているのは、カリフォルニア工科大学が運営しているからで、それであっても、永住権(グリーンカード)必要である。
という訳で、まず米国の永住権を取得してください。永住権取得には、以下の様な方法があります。
- 配偶者(結婚)・家族 約1年
- 永住権の抽選 約2年
- 米国への投資 約2年以上
- 自己の才能および能力 約1~3年
- 米国の雇用先のサポート 約1~5年
2.SpaceXが募集している職種の一例
永住権取得後に、以下のWebをチェックしましょう。ここに、SpaceXで求めているエンジニア、その他の職種が掲載されています。
SpaceX Careers
http://www.spacex.com/careers/lis
ここから一例として、一部ピックアップしてみましょう。
◆推進技師(MERLIN 1D ROCKET ENGINE)
Merlin1Dロケットエンジンを組み立て、試験を行う工員の募集です。高校卒業でも、就職可能な様ですが、航空宇宙産業の工員として働いた経験があった方が良いみたいです。もちろん、大卒以上の資格を必要とする職種も多々あります。
別職種ですが、推進系を統合するエンジニア等では、航空宇宙産業、軍事産業、高信頼性が求められる産業における就職経験が有利に働くと記載されています。
・高等学校卒業証書またはGED
・航空機またはロケットエンジン関連業務で最低2年の経験
好ましいスキルと経験:
- ロケットエンジンの組立て、据付、取り外し等の訓練を受けている
- A&Pライセンス
- 5年以上の航空宇宙エンジン関連の従事経験
- 圧力、温度及び流量測定装置の知識
- 機械、電気システム、推進エンジンに関する知識
- 数学的知識、コンピュータスキル
- 問題解決と思考決定能力
- 文章作成能力とコミュニケーションスキル
- 単独及びチームの一員として働く能力
- 計器やコンピュータ、解析機器からデータを読み取る能力 などなど
3.Blue Originが募集している職種の一例
BECOME A PART OF HISTORY BY HELPING US
BUILD THE FUTURE
◆エンジン設計エンジニア
ロケットエンジンの設計エンジニアの募集事項です。大卒、業界で7年以上の経験を持っていることを基本的な応募資格としています。
応募資格:
- 機械工学または航空宇宙工学の学士号(最低限)
- 航空宇宙用流体システムおよびコンポーネントの詳細設計における7年以上の経験
- Creo(Pro / E)Wildfire 5以上、Windchill 10の経験
- GD&Tによる解析(ASME Y14.5)
- 製造、統合プロセス、品質管理に関する知識
- バルブ、レギュレーター、ベローズ、継手などのコンポーネントに関する実務知識
- 材料及取扱いの実践的な知識
- 米国市民または永住権保有者
好ましい経験:
・FEA分析ツールの使用に関する知識(ANSYSが望ましい)
ブルーオリジンは、以前よりハードルが下がっている感じがする。5年前に、職種募集をみた時、「無理ゲーやろ・・・」と言わんばかりの内容であった。
具体的な内容は、「RS-68, RL-10, XRS-2200, RS-83, RS-84, Fastrac/MC-1, MB-XX, TR-108などのロケットエンジンの推進機関に精通していること」昔はそういう条件だった。
つまり、LH2/LOX ロケットエンジンのガチエンジニアが欲しかった訳だ。
日本でこの条件で技術者を募集しても応募してくる人は皆無だろうし、米国であっても人材獲得は非常に難しいだろう。文字通り、「ロケットサイエンティスト」を募集していた訳である。そういう訳で無理ゲーであった。
三菱重工で、MB-60(RS-73)に関わったエンジニアなら、ワンチャン行けそうな気もするが・・・Pratt & Whitney Rocketdyneに行かれた方も居るみたいだし。
今では、多少ハードルが下がっていると言える。ご興味ある人は、Let's Try!!
[1] SpaceX Careers, http://www.spacex.com/careers/lis
[2] Blue Origin, https://www.blueorigin.com/careers
[3] 米国の輸出規制, http://www009.upp.so-net.ne.jp/kgm1_ear/index_itar.htm
[4] アメリカは宇宙開発も多国籍, https://toyokeizai.net/articles/-/14078
[5] 5つのアメリカ永住権取得方法,
http://www.usavisa.jp/howto/five-way-acquire.html
[6] Op-ed | 3 things to know if you want to work for SpaceX,
http://spacenews.com/op-ed-3-things-to-know-if-you-want-to-work-for-spacex/
[7] The MB-60 Cryogenic Upper Stage Engine - A World Class Propulsion System
http://www.lpre.de/resources/articles/2009-a-03.pdf
[8] 裏から見た日本の宇宙開発, 前宇宙開発委員会委員長 井口雅一
https://www.soranokai.jp/pages/iguchi_4.html
http://www.nstl.org/styled-6/styled-44/New/web-content/pages/iguchi_4.html
(しかし、「宙の会」の公式ドメイン消滅し、如何わしいサイトに乗っ取られているとは、たまげたなぁ…)
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